当科では、CT、MRI、PET-CT、核医学などの各種画像診断業務と、血管造影手技やCT/USを利用した低侵襲治療・生検などのIVR業務を担当しています。

神戸市立医療センター中央市民病院
放射線診断科部長
安藤 久美子

CTでは320列MDCT1台、64列MDCT6台(救急の1台、ICUの1台を含む)、MRIは4台(1.5Tが3台、3Tが1台)が稼働しており、これらからの画像を読影し診断しています。院内のみならず院外の医療機関からの検査依頼にも迅速に対応しています。

核医学部門には、PET-CT3台、SPECT-CT2台が設置されており、腫瘍、脳血管障害、心疾患、炎症などの診断に用いられています。心臓核医学の診断は循環器内科が担当しています。核医学治療としては、内分泌内科と協力してI-131による甲状腺分化癌、バセドウ病の治療を行っています。また各種の内用療法も施行しています。

バリウムなどを使用する胃や大腸の消化管造影検査も放射線診断医の業務の一つです。

血管造影・IVRに関しては脳・心臓以外の分野を担当し、上腹部においては消化器内科とも連携しながら救急も含めて、塞栓術、動注療法などを施行しています。血管造影装置の一つには上記のCTとは別に、DSAと連動したIVR-CTとしてMDCTを備え、適切な診断・IVRに駆使しています。

診療実績

診療科別統計

CTは平均140例/日、MRIは平均68例/日の検査・診断を施行しています。

IVR(Interventional Radiology)としては血管塞栓術、エコーあるいはCTガイド下生検・ドレナージなど、年間約300件を施行しています。このうち、骨盤骨折や腹腔内出血、喀血、産褥期出血などに対する緊急動脈塞栓術が年間約70件におよびます。

核医学での主な検査は、骨(約1000件/年)・心臓(約600件/年)・脳(約600件/年)・PET-CT(約1400件/年)をはじめとして総数約4000件/年におよびます。また、内分泌内科との協力で施行している甲状腺疾患(分化癌・バセドウ病)に対するI-131治療は年間約80例に及びます。

臨床評価指標ページ

主な疾患・治療法

全身のCT/MRI読影(レポート作成)

放射線診断医の主な仕事の一つで、撮影された画像を評価してレポートを作成しています。CTは上記5台の機器から産み出される検査を平均160例/日、MRIは3台から平均70例/日の診断を施行しています。可能な限り迅速にレポートを作成し担当医の治療方針決定に役立てています。また、CTやMRIの撮影に関しても、放射線技術部や看護部との協力体制のもと、安全で効率的な検査の施行を目指しています。

面と向かって患者さんを診察するわけではないのでイメージがわきにくい仕事かと思われますが、病理診断とともにその病院の医療の質を左右する重要な仕事です。

核医学(PET-CT、一般核医学検査、内用療法)

核医学診断では微量の放射線を放出する放射線医薬品を投与し、対象とする臓器あるいは全身を撮影します。必要に応じてコンピューター処理をし、臓器の機能や病変の活動状態を評価しています。平均してPET/CT 50例/週、一般核医学検査40~60例/週の検査を行っています。

核医学治療では甲状腺癌に対する放射性ヨード治療の他、下記の内用療法を行っています。

診断・治療いずれにおいても関係各科と連携を取りながら、放射線診断科・放射線治療科の医師・技師・看護師と協力し、安全・適切な医療を提供できるよう努めております。

対象
PET/CT
  • 悪性腫瘍に対する病期評価など
一般RI
  • 骨転移評価(骨シンチグラフィ)
  • 脳機能評価(脳血流シンチグラフィ)
  • 心機能評価(心筋シンチグラフィ)など
内用療法
  • 甲状腺癌やバセドウ病に対する放射性ヨード治療
  • 前立腺癌骨転移に対する塩化ラジウム治療
  • 放射性ストロンチウムによる骨転移の疼痛緩和治療
  • 悪性リンパ腫に対するRI標識抗体療法

IVR(インターベンショナルナルラジオロジー、画像下治療)

IVRは日本語訳として最近画像下治療という呼称が採用されましたが、X線透視、超音波、CTといった画像をみながらカテーテルや針をすすめ、病気を治す治療で全身の様々な疾患に応用されています。

当放射線診断科においては脳神経・心臓・大動脈等以外の広い範囲を担当しており、2名のIVR専門医のもとIVR-CTや超音波といった画像機器を駆使して年間300件弱、以下のような手技を行っています。平成29年度より最新鋭の320列CTを搭載したIVR-CTが稼働予定です。

  • 救急IVR(主にカテーテルを用いた止血)
  • 腫瘍に対するIVR;肝癌に対する化学塞栓療法(TACE)など
  • 動脈瘤、動静脈奇形(瘻)に対する塞栓術
  • CTや超音波を用いたドレナージや生検
  • そのほか:胃静脈瘤に対するBRTO、シャントインターベンション、副腎静脈サンプリングなど

救急IVR(止血)

外傷性出血、危機的産科出血など、主に動脈性出血に対してカテーテルを用いた緊急止血に24時間365日対応しています。また術後出血などの合併症の対応も行っています。塞栓術が主ですが(出血の原因となっている血管を詰めること)血栓除去、溶解やバルーンカテーテルによる血管形成術を行うこともあります。多くの場合足の付け根の動脈からカテーテルを出血部の血管にすすめ、最適な塞栓物質を用いて塞栓します。塞栓物質としては主にゼラチンスポンジ、NBCA、金属コイルを用いています。

対象疾患
外傷 骨盤骨折、腹部実質臓器損傷など(下図)
内因性の出血 消化管出血、腎出血、喀血、動脈瘤破裂など
産科出血 弛緩出血、癒着胎盤など
合併症対応 術後出血など

腫瘍に対するIVR

骨盤骨折・出血に対する止血術

カテーテルを対象臓器の血管まで進め、塞栓を行ったり、悪性腫瘍の場合抗癌剤を注入したりします。塞栓物質と抗癌剤を混ぜて使用したり、吸着させて使用したりすることもあります。以下のような手技を各担当診療科の協力を得て行っております。

対象疾患

  • 肝癌に対する化学塞栓療法(TACE)(下図)
  • 動注リザーバー留置
  • 骨腫瘍の術前塞栓
  • 腎血管平滑筋脂肪腫に対する塞栓術
  • 転移性肝腫瘍に対してのビーズを用いたTACE
  • 上顎癌に対する動注化学療法

動脈瘤、動静脈奇形(瘻)に対する塞栓術

内臓動脈瘤(脾動脈瘤、腎動脈瘤)、内腸骨動脈瘤といった動脈瘤、肺の動静脈奇形(瘻)に対して主にコイルを用いた塞栓術を行っています(下図)。内腸骨動脈瘤では循環器内科や心臓血管外科と協力して、ステントグラフトや手術と組み合わせた治療も行い、より患者さんに最適な治療をめざしています。
肺動静脈奇形に対する塞栓術

CTや超音波を用いたドレナージや生検

CTや超音波といった画像をみながら腫瘍に針を刺して組織を採取したり膿瘍(膿がたまった状態)をドレナージしたりします。主に体の表面から観察できない部分の腫瘍や膿瘍に対して行いますが、手術と比較してより低侵襲(体に対する負担が少ないこと)であることが特徴で、生検においてはより迅速な治療方針の策定、ドレナージにおいては感染症からのより速やかな回復に貢献しています。
CTガイド下生検

その他

  • 門脈系IVR 胃静脈瘤に対するBRTO、肝切除術前処置としての経皮的門脈塞栓術などに対応しています。
  • 透析シャントに対するIVR 腎臓内科と協力して原則として院内発症に対応しています。シャントの閉塞、鎖骨下静脈狭窄にも積極的に対応しています。(下図)
  • 副腎静脈サンプリング
  • 血管内異物回収
  • その他
リクエストがあり、技術的に安全に可能であれば基本的にはどのような手技でも行います。
透析シャント閉塞に対するPTA

臨床研究

臨床研究の実施に関するお知らせ

現在放射線診断科では、下記の臨床研究を実施しております。
この研究では、患者さんの日常診療で得られたデータ(情報)を利用させていただきます。
ご自身のデータがこの研究に利用されることについて、異議がある場合は、情報の利用や他の研究機関への提供をいつでも停止することができます。研究の計画や内容などについて詳しくお知りになりたい方、ご自身のデータがこの研究で利用されることについて異議のある方、その他ご質問がある方は、以下の「問い合わせ先」へご連絡ください。

研究課題名 説明文(PDF)
骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした塩化ラジウム(223Ra)治療におけるイメージングバイオマーカーとしての骨シンチグラフィBSIの有効性評価-国内多施設共同研究 PDF
新型コロナ肺炎の胸部単純レントゲン写真の自動診断 PDF
悪性腫瘍の内部不均一性評価のためのFDG PETのテクスチャー解析の標準化の試み PDF
小児脳のCT標準脳作成 PDF
低悪性度子宮内膜間質性腫瘍の診断におけるMRIの有用性の検討 PDF
日本インターベンショナルラジオロジー学会(以下IVR学会)における、症例登録データベースを用いた医学系研究 PDF