技師長あいさつ

24時365日。絶えることのない患者さんのために。常に患者さんの立場に立って。“信頼されるデータを迅速に”をモットーに、頑張っています。

神戸市立医療センター中央市民病院
臨床検査技術部技師長
川井 順一

現代の医学において、臨床検査は病気の診断と治療のため客観性の高い情報を提供する必須の手段です。臨床検査技術部では、病院が目指す救急医療・高度医療・患者中心の医療に貢献するために、技師一人一人、各部門が一体となって臨床検査に取り組み、信頼性の高いデータを提供するとともに、診療側へ迅速に結果を報告することに努め、患者さんおよび診療の要望に応える検査サービスを提供しています。また、ICTやNST、医療安全など、臨床検査技師の立場からチーム医療に参画しています。そして、無駄のない効率的な業務を実践し、高いコスト意識をもって経費削減にも努めています。病院のポリシーである“断らない医療“の精神を遵守し、24時間365日、“信頼されるデータを迅速に”をモットーに、頑張っています。

部門紹介

臨床検査基準値一覧表

検体検査部門

検体検査では、生化学・免疫検査(血中薬物・内分泌・腫瘍マーカー)、血液学検査(血算・凝固・形態)、一般検査(定性・沈渣・髄液検査)、緊急検査を実施しています。自動分析装置や顕微鏡などいろいろな方法で検査を行い、疾患の診断や治療、経過観察などに役立てるために、迅速に精度の高い検査結果を報告しています。

生化学・免疫検査

生化学・免疫検査では、患者さんから採取された血液(主に血清)や尿、胸水、腹水、髄液などに含まれる成分について検査しています。血液や尿などに含まれる糖、脂質、電解質、たんぱく質などの成分は、臓器の障害により変動します。測定する方法によって、酵素やたんぱく質、脂質、電解質などの生化学検査、ホルモンや腫瘍マーカーなどの免疫検査に分かれます。検体到着から約1時間以内に結果報告し、診察前に検査結果が分かるように努めています。

生化学・免疫検査の項目の一覧表

生化学検査

  • 総たんぱく質
  • アルブミン
  • 総ビリルビン
  • 間接ビリルビン
  • AST (GOT)
  • ALT (GPT)
  • LDH
  • ALP
  • YGPT
  • LAP
  • Ch-E
  • CK
  • CK MB
  • AMY
  • LIP
  • BUN
  • CRE
  • UA
  • Na
  • K
  • Cl
  • Ca
  • IP
  • Fe
  • UIBC
  • Mg
  • TG
  • T-CHO
  • HDL
  • LDL
  • Glu
  • グリコアルブミン
  • HbA1c
  • NAG
  • UTP
  • 血液ガス
  • エタノール
  • アンモニア
  • アンバウンドビリルビン
  • ICG
  • 浸透圧
  • 血中薬物濃度
  • フェニトイン
  • フェノバルビタール
  • カルバマゼピン
  • バルプロ酸ナトリウム
  • テオフィリン
  • ジゴキシン
  • アセトアミノフェン
  • 炭酸リチウム
  • サリチル酸
  • メトトレキサート

免疫検査

  • CRP
  • IgG
  • IgA
  • IgM
  • IgE
  • C3
  • C4
  • pre ALB
  • RF
  • β2MG
  • KL 6
  • sIL 2R
  • NGAL
  • AFP
  • CEA
  • CA19-9
  • CA15-3
  • シフラ
  • CA125
  • インスリン
  • CPR
  • フェリチン
  • プロラクチン
  • コルチゾール
  • TSH
  • T3
  • T4
  • FT3
  • FT4
  • サイログロブリン
  • TGAb
  • TRAb
  • TPOAb
  • HCG
  • GH
  • プロカルシトニン
  • NT Pro BNP
  • PIVKA Ⅱ
  • 好感度PSA
  • SCC
  • LH
  • FSH
  • トロポニンT
  • ACTH
  • iPTH

血液検査

血液検査室では、赤血球、白血球、血小板の数や大きさ、ヘモグロビン濃度などを調べる血液一般検査や、白血球の分類や形態、赤血球や血小板の形態を調べる血液像検査、また、出血しやすい病気や血栓のできやすい病気などを調べる凝固線溶検査を行っています。その他に、血小板機能をみる検査の1つである血小板凝集能、赤血球沈降速度などの検査を行っています。

血液一般・凝固等の項目の一覧表

血液一般・凝固等の項目の一覧表

  • WBC
  • RBC
  • HGB
  • HCT
  • PLT
  • RET
  • 白血球分類
  • 目視鏡検

凝固検査

  • PT
  • APTT
  • フィブリノゲン
  • Dダイマー
  • トロンボテスト
  • ATⅢ
  • クロスミキシング

その他

  • 赤血球沈降速度
  • βD-グルカン
  • マラリア
  • 赤血球抵抗試験
  • 凝集能検査
  • 好酸球
  • 特殊染色
一般検査部門

一般検査室では、尿検査(定性、沈渣)、便検査(便潜血)など、腎臓をはじめ各臓器の疾病の補助診断、及び治療の経過観察に必要な検査を行っています。材料となる尿や便は、人体の排泄物として患者に苦痛を与えず、最も容易に採取できるため、基礎的な検査として用いられています。尿検査では、尿中正常成分の量的変化や異常成分の出現によって腎・尿路系疾患だけでなく、糖尿病などの他の各種疾患の診断にも役立ちます。

尿・便検査項目の一覧表

尿検査

  • 尿定性
  • 尿沈渣
  • 尿中BTA

便検査

  • 便中ヘモグロビン
  • 便脂肪染色

その他

  • 髄液検査
  • 穿刺液Ph、比重
  • 関節液結晶
  • 尿素呼気試験

病理検査

病気の良性・悪性などを正確に診断するための病理組織検査と細胞診検査を、病理診断科の病理医(部長代行・原 重雄先生)の指導のもとで臨床検査技師9名(内 細胞検査士4名、認定病理検査士2名)が業務に携わっています。

病理組織検査は、手術や生検で採取した組織片を一定の操作のあとにHE染色や免疫染色をして、病理医が顕微鏡で組織形態を調べる検査です。特殊な検査として、腎臓疾患などでの蛍光抗体検査、乳癌の薬物療法に関わる検査、分子標的薬の適合に関わる検査などもサポートしています。

細胞診検査は、子宮頚膣部や子宮体部、喀痰、尿、胸水、腹水、その他各種臓器由来の細胞を採取して、一定の操作のあとに染色を行い細胞検査士が顕微鏡で癌細胞などの有無を調べる検査です。当院では昨年2017年度から液状化細胞診(LBC)の方法を用いた検体処理法も導入して診断精度の向上を図っています。

また、術中迅速診断検査、病理解剖の介助、臨床病理カンファレンス(CPC)や臨床医の学会発表の支援、臨床治験なども積極的にサポートしています。さらに、がんゲノム医療連携病院としての病理検査室の役割も果たしています。

検査項目
病理組織検査
2017年度の実績 依頼数15,798件
作製パラフィンブロック数 55,939個
一定の操作 ホルマリン固定⇒切出し(主に病理医が行う)⇒パラフィン浸透(1日から2日かかる)⇒包埋⇒薄切
細胞診検査
2017年度の実績 依頼数11,579件
対象臓器 子宮頚部、子宮体部、気管支、肺、甲状腺、乳腺、唾液腺、胆管、膵管、膵臓、リンパ節、尿、胸水、腹水、髄液、その他(各種臓器から採取した細胞成分が含まれる試料)
免疫染色
2017年度の実績 染色項目4,802項目
依頼件数 10,739件
主な項目 CD3、CD10、CD20、CD34、CK5/6、CK MNF116、CMV、D2-40、MIB-1、p16、p53、p63、Synaptophysin、TTF-1
乳癌の薬物療法に関わる検査
  1. エストロジェンレセプター
  2. プロジェストロンレセプター
  3. Her2 タンパク
分子標的薬に関わる検査
遺伝子関係 Her2 遺伝子、EGFR 遺伝子、ALK 融合遺伝子、RAS 遺伝子、ROS1遺伝子、BRAF遺伝子、MSIなど
蛋白質関係 Her2 タンパク、EGFR タンパク、ALK 融合タンパク、CCR4タンパク、PD-L1 タンパク、CD30など
術中迅速検査
2017年度の実績 術中迅速組織検査の依頼数977件
術中迅速細胞診検査の依頼数131件
病理解剖
2017年度の実績 37件

細胞遺伝子部門

造血器腫瘍の病型診断および治療効果の判定に重要な微小残存病変(MRD)の検出において、従来の形態学的検査や染色体検査に加え、フローサイトメトリー(FCM)によるイムノフェノタイピングやPCR法を用いた造血器腫瘍遺伝子検査の重要性がますます高まっています。

当部門では、骨髄像検査、FCMによる細胞検査、PCR法による遺伝子検査を同一部門内で実施している全国でも稀な検査体制をとっています。これにより、検査結果を総合的に解釈する能力を高めることができ、臨床医や他の検査部門との密なディスカッションをスムーズに行うことが可能となっています。

また、2018年からは8カラー、10カラーといった次世代型フローサイトメーターを採用し、Euro Flowから提唱された抗体パネル、解析法を用いて、更に高感度な検査を行う体制を整えています。遺伝子検査においても、デジタルPCRなどの最新機器を取り入れ、遺伝子変異を従来より高精度に捉えられる検査法を現在検討中です。このように、常に、最新かつ臨床的有用性の高い検査技術の導入・開発を積極的に行っています。

検査項目
骨髄像検査
  1. 骨髄標本の作成
  2. 骨髄像の判読
細胞検査(FCM)
  1. 末梢血リンパ球サブセット検査
    • T細胞・B細胞・NK細胞百分率検査
    • T細胞サブセット百分率検査
  2. 造血器腫瘍細胞抗原検査 (イムノフェノタイピング)
  3. CCR4タンパク
  4. 造血幹細胞移植時におけるCD34陽性造血幹細胞数の測定
  5. 網状血小板比率
  6. 高感度PNH血球検査
  7. 気管支洗浄液 (BAL)におけるT細胞サブセット百分率検査
遺伝子検査(PCR)
  1. 造血器腫瘍遺伝子検査
    • Major BCR-ABL1 mRNA定性・定量検査
    • minor BCR-ABL1 mRNA定性・定量検査
    • RUNX1-RUNX1T1 mRNA定性・定量検査
    • PML-RARA mRNA定性・定量検査
    • CBFB-MYH11 mRNA定性・定量検査
    • NPM1 mutation mRNA定性・定量検査
    • FLT3-ITD mutation mRNA定性検査
    • CEBPA mutation mRNA定性検査
    • DNMT3A mutation mRNA定性検査
    • IDH1 mutation mRNA定性検査
    • IDH2 mutation mRNA定性検査
    • TP53 mutation mRNA定性検査
    • K-RAS mutation mRNA定性検査
    • N-RAS mutation mRNA定性検査
    • RUNX1 mutation mRNA定性検査
    • ASXL1 mutation mRNA定性検査
    • JAK2 V617F mutation DNA定量検査
    • CALR mutation DNA定性検査
    • MPL mutation DNA定性検査
    • IGH/BCL2 DNA定性検査
    • MYD88L265P mutation DNA定性検査
    • BRAFV600E mutation DNA定性検査
    • EZH2 mutation DNA定性検査
  2. 免疫関連遺伝子再構成
    • IGH rearrangement DNA定性検査
    • 高感度IGH rearrangement DNA定性検査
    • IGL rearrangement DNA定性検査
    • TCRB rearrangement DNA定性検査
    • TCRG rearrangement DNA定性検査
    • TCRD rearrangement DNA定性検査
キメリズム解析
  1. 移植前スクリーニング解析
  2. 移植後キメリズム解析
WT1 mRNA定量検査

微生物検査部門

各種臨床検体の細菌培養、薬剤感受性検査および免疫学・遺伝子学的感染症検査を実施しています。種々の細菌・ウイルス迅速診断検査も常時行える体制をとっています。また、チーム医療としてICT及びAST活動に積極的に参画し院内感染予防対策に貢献しています。

検査項目

一般細菌検査

  1. 塗抹検査
  2. 培養
  3. 同定検査(質量分析など)
  4. 薬剤感受性検査
  5. 遺伝子検査
    • LAMP法によるマイコプラズマの検出
    • LAMP法による百日咳菌の検出
    • 16S rRNA遺伝子PCR及びシーケンス解析
    • ITS領域遺伝子PCR及びシーケンス解析
    • D1/D2領域遺伝子PCR及びシーケンス解析
    • 各種薬剤耐性遺伝子PCR
    • 菌種特異的遺伝子PCR
    • POT法を用いた型別
抗酸菌検査
  1. 塗抹検査
  2. 培養・同定検査
  3. 薬剤感受性検査
  4. 遺伝子検査
    • LAMP法による結核菌群の検出
    • TaqManPCRによるMycobacterium avium, M.intracellulare,結核菌群の検出
迅速検査
  1. 抗原、抗体及び毒素検出検査(検査材料はそれぞれ異なる)
    • インフルエンザウイルス
    • アデノウイルス
    • RSウイルス
    • ロタウイルス
    • ノロウイルス
    • ヒトメタニューモウイルス
    • デングウイルス
    • 髄膜炎起因菌
    • 大腸菌O-157
    • 肺炎球菌
    • レジオネラ
    • CDトキシン 等
  2. HBV-DNA定量検査
  3. HCV-RNA定量検査
感染症マーカー検査
  1. B型肝炎関連マーカー
  2. C型肝炎関連マーカー
  3. 梅毒検査
  4. HIV関連マーカー
  5. HTLV-1関連マーカー
免疫抑制剤
  1. タクロリムス血中濃度測定
  2. シクロスポリン血中濃度測定
抗MRSA薬
  1. バンコマイシン血中濃度測定

輸血検査管理室

輸血関連の検査のほか、アルブミン製剤を含む血液製剤管理や輸血記録の保存など、輸血に関する業務を一括管理する部署です。血液製剤は、赤血球濃厚液と新鮮凍結血漿を常備しています。緊急性に応じて対応できるよう、緊急輸血体制を整備しています。輸血療法委員会では他職種と共に、安全で効果的な輸血療法のため定期的に討議しています。

また、医師や薬剤師と協力し、末梢血幹細胞の調製、臍帯血・骨髄血の移植、顆粒球輸注やドナーリンパ球輸注など造血幹細胞関連の一括管理を行い、より安全な移植が行えるように尽力しています。

検査項目
血液型検査
  1. ABO式血液型検査
  2. Rh(D)血液型検査
  3. ABO亜型検査
  4. 移植時血液型検査
不規則抗体検査
  1. 抗体スクリーニング検査
  2. 不規則抗体同定検査
交差適合試験
その他の検査
  1. 直接クームス検査
  2. 間接クームス検査
  3. D-L抗体
  4. 抗体価測定

特殊検査部門

今日、インターネット等の普及により中毒に関する情報や様々な薬物毒物を容易に入手する事が可能となりました、この為、中毒の起因となる物質は多種多様ではありますが、起因物質の検索は早急に対応しなければなりません。当部門では簡易測定試薬及び精密分析測定機器を用いて中毒起因物質の検索を実施しています。また、臨床からの要望により分離分析などによる精査も実施しています。

検査項目
  1. 簡易測定試薬による検査
    • 尿中メタノール
    • 尿中有機リン系農薬
    • 尿中カーバメイト系農薬
    • 尿中パラコート
    • 尿中ヒ素化合物
    • 血中青酸化合物
  2. 精密分析測定機器(ガスクロマトグラフ質量分析計:GC/MS)による検査

検査情報管理部門

PFI事業の検体検査業務に関して、委託業務の管理や運用の調整を行っています。検査システムの保守管理や医療の質の向上のため、各種チーム医療にも参画しています (NST、糖尿病教室、腎臓病教室など)。また、患者、臨床へのサービス業務として検査相談室を併設し、診療側へのすべての検査に係わる情報提供、相談対応、苦情対応やホームページ更新、患者向け検査インフォメーションの発行、データベース利用による診療支援、臨床研究治験業務の支援も行っています。

神経生理検査部門

末梢神経系と中枢神経系の神経生理検査と頭頚部血管系の超音波検査を行っています。機能検査は脳波検査、神経伝道検査、誘発電位検査 (聴性脳幹反応、体性感覚誘発電位、視覚誘発電位)、針筋電図検査です。神経生理検査は末梢神経や中枢神経に刺激を与え、神経の電気活動を応用して神経機能を評価する検査法です。近年、この手法を用いた術中神経モニタリングが行われるようになってきており、当検査室でも術中麻酔下で脳機能、脊髄機能をリアルタイムにモニタリングを行い、神経機能温存を目指した手術での要望に応えています。また、人工内耳埋め込み術後の聴覚神経経路の確認のためE-ABRも行っています。

検査項目
神経伝導検査(NCS)
  1. 運動神経伝導検査(MCS,F波)
  2. 感覚神経伝導検査(SCS)
  3. 反復刺激試験
  4. 磁気刺激検査
大脳・脳幹誘発電位
  1. 聴性脳幹反応(ABR)
  2. 体性感覚誘発電位(SEP)
  3. 視覚誘発電位(VEP)
その他誘発電位
  1. 瞬目反射
  2. 磁気刺激運動誘発電位
術中神経モニタリング(IOM)
脳波検査(EEG)
終夜睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)
頚動脈超音波検査
経頭蓋脳血管超音波検査

外来採血部門

一カ月に10,000人を超える外来患者の採血を行っています。自動受付システムにより診察券を通すだけで採血整理券が発行され、その番号により採血ブースまで誘導される仕組みで、採血時には整理券と採血管のバーコードを照合するシステムを導入し患者確認を行っています。

採血ブースは8ブースあり、外来一般採血以外に血液培養の無菌採血や治験症例、癌ゲノム診療の採血も行っています。

南館(検体検査室)

検体検査室では患者中心の医療に貢献するために、5南病棟の緊急生化学検査と血液血算を測定しています。また、肺癌のEGFR遺伝子変異検査を至急で行い、少しでも早く治療方針が決定出来るよう診療を支援しています。

腹部体表超音波検査部門

腹部臓器全般、乳腺、甲状腺、耳鼻科系(耳下腺、顎下腺)、脈管系(大動脈、末梢血管など)を対象とした、スクリーニング検査・症状の原因究明の検査・経過観察の検査・術前術後の評価・急性腹症などの至急対応や超音波造影剤を用いた造影エコーなどにも対応しています。また、カラードプラ・パルスドプラ法を用いた臓器・病変の血行動態評価を行い、良悪性の鑑別、炎症ステージの分類など質的診断も行っています。

腹部体表超音波検査

超音波検査は体外から超音波をあてて、臓器などから跳ね返ってくる信号で画像を作り距離や形から病態を診る検査です。当検査室では腹部超音波検査、乳腺超音波検査、甲状腺超音波検査や上肢下肢の血管超音波検査、造影剤を使用した造影超音波などの特殊検査も実施しています。超音波検査は痛みや身体への害はなく安全な検査です。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。

また、重症下肢虚血の血管再生治療(臨床試験)に係わる皮膚灌流圧測定や動脈超音波検査などを含めた精密検査も行っています。

検査項目

  1. 腹部超音波検査
  2. 乳腺超音波検査
  3. 甲状腺超音波検査
  4. 体表超音波検査
  5. 血管超音波検査(下肢動脈・静脈、上肢動脈・静脈)
  6. 腹部造影超音波検査(精査、スクリーニング)
  7. 乳腺造影超音波検査
下肢動脈精密検査

閉塞性動脈硬化症やバージャー病を対象としたCD34陽性細胞移植による血管再生治療の臨床試験の検査を行っています。これは、患肢の動脈性血行動態を毛細血管レベルの灌流圧や経皮酸素分圧、指尖の動脈圧などを測定して評価する精密検査です。専門的な検査を行い、下肢動脈血管の再生治療前後の評価を行っています。

検査項目

  1. 下肢動脈超音波検査
  2. 皮膚灌流圧測定
  3. 経皮酸素分圧測定
  4. 指尖動脈圧測定

心肺機能検査部門

循環器 (主に心臓)と呼吸器 (主に肺や気管支)の機能について検査しています。循環器の検査には心電図検査 や心臓超音波(心エコー)検査などがあり、心臓の状態を調べます。一方、呼吸器の検査には肺機能検査や気道可逆性試験などがあり、換気機能 (肺の中への空気の換気状態)や酸素と二酸化炭素のガス交換機能を調べています。検査は主に本館で行いますが、一部は南館でも行い患者・診療サービスを行っています。

検査項目

心電図検査

  1. 安静心電図検査
  2. 運動負荷心電図検査(トレッドミル負荷心電図検査)
  3. 携帯型発作時心電図検査
  4. 24時間心電図検査(ホルター心電図検査)
  5. 自律神経機能検査(CVRR)
血圧脈波図検査(PWV・ABI)
皮膚灌流圧検査(SPP)
肺機能検査
  1. 肺活量(VC)
  2. %肺活量(%VC)
  3. 努力性肺活量(FVC)
  4. 1秒量(FEV1)
  5. 1秒率(%FEV1)
  6. 残気量(FRC)
  7. 肺拡散能力(DLCO)
  8. 気道可逆性試験
  9. 呼吸抵抗検査
心臓超音波検査
  1. 経胸壁心エコー図検査(TTE)
  2. 経食道心エコー図検査(TEE)
  3. 負荷心エコー図検査 (運動・薬物)

チーム医療

チーム医療とは、医師と看護師、臨床検査技師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士などの他の医療スタッフがお互いの専門性を生かし、最大限の能力を引き出し合うことによって、患者さん中心の治療をおこなう医療現場の取り組みです。それぞれの専門分野のスタッフが所見を述べ、コミュニケーションを密にすることにより、患者さんにとって最も効果的な治療法や方針が検討されていきます。

臨床検査技師が関わる院内チーム医療
1.栄養サポートチーム
院内の栄養療法に関わり、個々の患者さんの栄養を考える専門のチーム栄養サポートチームです。栄養評価の検査項目を測定し、検査データから分かる栄養状態や全身状態などの情報を提供し、他の医療スタッフと協力して患者さんの栄養管理に携わっています。
2.院内患者教室
院内で行われている患者さん、ご家族向けの教室です。糖尿病教室や腎臓腎臓病教室の様子病教室に参加しており、検査データの説明や簡易機器を使用して一緒に簡単な検査を行います。病気の早期発見や治療効果の判定における検査の重要性について知っていただくことを目指しています。
3.感染管理チーム
院内における感染管理を担当する専門のチームです。MRSAや多グラム染色カンファレンスの様子剤耐性緑膿菌の検出状況とともに化学検査や血液検査のデータを提供し、適切な抗生物質の使用指導や感染予防のための職員教育を行い、院内感染の拡大の防止に努めています。高度先端医療を提供する当院では、院内感染を惹起しやすい免疫力の低下した患者さんが多数入院されています。高度先端医療を医療安全の基盤に立って提供するためには、医療における感染制御が大変重要でその役割を担っています。
4.フットケアチーム

下肢に血流障害や潰瘍のある患者さんに対し、「足を守ること」を目的として活動するチームです。皮膚科医、循環器内科医、慢性疾患看護専門看護師等と症例検討会を実施しています。臨床検査技師は、治療方針決定のために必要となる詳細な血流評価に関わる各種検査を行ないデータを提供しています。

5.医療安全管理チーム

病院で報告されるインシデントレポートは、統計的に“病床数×5”と言われています(当院の場合は年間約3,500事例)。技師長が医療安全管理室の副室長として医療安全管理チームに加わり、多職種と合同で院内の全ての部署から報告されるインシデント事例について原因を明確にして、各部門での対応、改善策の立案、再発防止に向けたPDCAの状況などを検証しています。 また、臨床検査技術部の医療安全文化を推進するために、検査部の事例を検証、改善対策の進捗を監視して検査部門の医療安全をコントロールしています。

6.クリニカルパス

クニニカルパスとは、入院患者さんの病気を治すうえで必要な治療、ケアや検査などの情報を記載した診療スケジュール表であり、医療の標準化と効率化を目的として作成されたものです。患者さんの検査に対する不安を緩和し、安心して検査を受けられるように検査の内容、必要性や注意事項を記載したパンフレットを作成しています。

7.検査相談室

検査相談室は、院内の医療従事者から検査に寄せられるさまざまな相談、問合せ、クレームや要望などの窓口を一元化し、病院業務が円滑に機能することを目指しております。患者さん向けの検査項目の説明を記載した“検査インフォメーション”を発行し、採血室や総合受付などで配布しています。

臨床研究

残余検体(診療後に残った血液、尿、組織などの検体)の研究利用について
研究課題名 説明文
(PDF)

経胸壁心エコー検査を用いた僧帽弁術後(形成術・置換術)症例における心血管イベント関連指標の検討

PDF
担がん患者における直接経口抗凝固薬(DOACs)による深部静脈血栓症の退縮・消失効果の検討:観察研究 PDF
僧帽弁Barlow病におけるmitral annular disjunction(MAD)が心血管イベントに及ぼす影響の検討 PDF
オシロメトリック法およびパルスオキシメータ法による足趾血圧測定の比較 PDF

検査を受ける患者様へ

検査の説明・注意点など

採血・採尿検査

採血や採尿検査によって病気の有無やその程度が判ります。簡単ですが病気を診断する上で非常に重要な検査です。特に注意して頂く事はありません。ただ採血について絶食指示がある場合は、前日午後12時以降の摂食は控えて下さい。水やお茶の飲用は結構です。尿検査については、検査当日の果実や清涼飲料水などの摂取は控えて下さい。

心電図検査

心臓の肥大や狭心症、不整脈の有無などを調べます。胸・手首・足首に、直接電極をとりつけ、心臓から発生する微弱な電流を記録します。痛みや副作用はありません。着脱の簡単なお洋服でお越しください。検査時間は1~2分程です。

ホルター型心電図検査

心電図を長時間記録し、狭心症や不整脈の有無を調べます。胸にシール状の電極を貼り、コードを機械につなげます。機械を装着したまま帰宅し、翌日に機械を返却していただきます。また、解析の参考としますので検査中の行動や症状を記録していただきます。検査開始後は、入浴・シャワーはできません。機器の装着にかかる時間は約15分です。

トレッドミル負荷心電図検査

運動により引き起こされる狭心症や不整脈の有無を調べます。回転するベルトの上を歩行し、徐々にベルトの速度と傾斜をあげて、疲れるまで心臓に負荷をかけます。運動前、運動中、運動後の心電図と血圧を記録します。タオル、運動しやすい靴、女性の方は検査中に着用する大きめのTシャツをご持参ください。検査所要時間は約20分(実際の運動時間:約5~10分)です。

脈波図検査

動脈の狭窄の有無や程度、動脈硬化の程度を調べます。両腕、両足首にカフを巻き、手首に心電図の電極、胸に小さなマイクを取りつけ、両腕、両足の血圧を測ります。足首での血圧測定は、少し痛みを感じる場合があります。測定中は動かないでください。検査前の喫煙はお控えください。また、人工透析をされている方は、お申し出ください。所要時間は約15分です。

心臓超音波検査

心臓の大きさ・形状・動きや血流の速さなどを調べます。上半身裸でベッドに横になっていただき、胸にゼリーを塗り超音波の出るプローベを押し当てて、心臓を観察します。超音波による副作用はありません。プローベを押し当てられることで圧迫感や痛みを感じる場合があります。所要時間は約30分~1時間です。

経食道心臓超音波検査

胃カメラのように管を口に入れて食道から観察することで、経胸壁からでは観察できない部分や詳細に心臓の動きを評価できます。喉に局所麻酔をかけ、約30分の検査時間です。検査前6時間は絶飲食していただきます。

運動負荷心エコー検査

負荷心エコー検査は、運動や薬物で心臓に負担をかけることによって、安静時には認められない心臓の筋肉の動き、心臓の中の血液の流れ方や変化、弁の動きについて超音波を用いて調べる検査です。当検査室では、仰向きで自転車エルゴメーターをこいでいただき、運動中・後の心臓の状態を心エコー検査でモニタリングして心機能を評価しています。

肺機能検査

肺の大きさや気道の状態を調べます。鼻をノーズクリップで挟み、口で息を吸ったり吐いたりしながら検査をします。患者様のご協力が必要です。こちらの声かけに合わせて、検査を進めていきます。少し息苦しさはありますが、痛みはありません。検査所要時間はスクリーニングで約10分、精密検査の場合は約30分です。

気道可逆性検査

喘息のお薬を吸入する前と後で同じ肺機能の検査をして、お薬が効いているかを調べる検査です。

経皮的動脈血酸素飽和度測定

睡眠時無呼吸症候群などの検査に用いられています。血中に酸素が何%含まれているか、小型の機器を指先に挟むだけで検査が出来ます。

睡眠ポリグラフィ検査

睡眠ポリグラフィ検査は、睡眠時無呼吸症候群の原因や程度を調べたり、治療方針を決めるための精密検査です。入院していただいて、「睡眠の状態」「呼吸の状態」「いびきの状態」「体の酸素の状態」などを調べます。検査の際、脳波や心電図、呼吸の様子、血中の酸素量などを調べるために、たくさんの検査センサーをあたま・顔・からだにつけますが、痛みや危険性はなく安全な検査ですので、安心して検査をお受けになってください。

腹部エコー検査

睡眠ポリグラフィ検査は、睡眠時無呼吸症候群の原因や程度を調べたり、治療方針を決めるための精密検査です。入院していただいて、「睡眠の状態」「呼吸の状態」「いびきの状態」「体の酸素の状態」などを調べます。検査の際、脳波や心電図、呼吸の様子、血中の酸素量などを調べるために、たくさんの検査センサーをあたま・顔・からだにつけますが、痛みや危険性はなく安全な検査ですので、安心して検査をお受けになってください。

乳腺超音波検査

乳腺超音波検査は、乳腺内のしこりや状態等を超音波で調べる検査です。検査は乳房にゼリーを塗って行います。痛みや危険性はなく安全な検査です。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。検査時間は10分から30分程度です。タオルを1本お持ちください。女性技師を希望される場合は受付にて申し出てください。(その場合少しお待ちいただく場合があります)

甲状腺超音波検査

甲状腺超音波検査は、甲状腺のしこりや状態等を超音波で調べる検査です。検査はくびにゼリーを塗って行います。痛みや危険性はなく安全な検査です。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。検査時間は10分から20分程度です。タオルを1本お持ちください。

血管超音波検査

血管超音波検査は、下肢の動脈や静脈の血液の流れを調べる検査です。検査は下肢にゼリーを塗って行います。痛みや危険性はなく安全な検査です。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。検査時間は30分から1時間程度です。下肢は広い範囲 (ソケイ部から足首)が検査の対象になるため、ズボンやストッキングなどを脱いで頂いて検査いたします。あらかじめご了承ください。タオルを3本お持ちください。

頭・頸部超音波検査

頭・頸部超音波検査は、くびや頭の中の血管の流れや、動脈硬化の程度を超音波で調べる検査です。検査はくびにゼリーを塗って行います。痛みや危険性はなく安全な検査です。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。検査時間は30分から1時間程度です。

精密聴力検査

精密聴力検査は、耳の「聞こえ」を数種類の項目に分けてより詳しく調べる検査です。所要時間は60分ぐらいです。痛みや危険性はなく安全な検査ですので、安心してお受けになってください。

平衡機能検査

めまいの原因や程度を調べるために、立位でのバランスや特殊なめがねを用いて眼の動きを検査します。眼の周りにセンサーを装着し、動く指標を見ていただいた時や耳に冷温の空気を送り内耳を温度で刺激し一時的なめまいを起こした時の眼の動きを検査します。安全、安心な検査です。メガネやコンタクトは持参。食事摂取は可。

聴性脳幹反応検査

聴性脳幹反応検査は、耳から入った音にたいする脳幹(生命維持をつかさどる大事な脳の中の器官)の反応を記録する検査です。頭に検査センサーをつけた後、耳にヘッドホンをしていただきます。「カチカチ」という音で右耳と左耳を別々に刺激して誘発された脳波を記録します。聴力検査とちがい、スイッチを押して知らせていただく必要はありません。痛みや危険性はなく安全な検査ですので、安心してお受けになってください。所要時間は30分から60分です。

グリセロール検査

グリセロール検査は、「メニエール病」などの原因と関係している内耳の働きを調べる精密検査です。内耳は鼓膜のおくにあり、からだの平衡感覚と聞こえ(聴覚)をつかさどる大事な器官です。「メニエール病」はこの内耳にお水(リンパ液)が貯まって腫れることが原因で発病すると言われています。検査では、グリセリンという利尿作用のあるお薬を飲んでいただき聴力検査を行います。検査の所要時間はおよそ4時間です。検査中は、絶食・絶飲となりますので、あらかじめご了承ください。検査当日はお食事をすませてご来院ください。

聴性定常反応(ASSR)検査

聴性定常反応検査は、耳から入った音にたいして反応した脳波を記録する検査です。頭や額に検査センサーをつけた後、耳にヘッドホンをしていただきます。検査音で誘発された脳波を記録し聴力を推定します。聴力検査とちがい、スイッチを押して知らせていただく必要はありませんので、乳幼児・小児の方にも受けていただけます。検査の所要時間は90分から120分です。

脳波検査

脳波とは脳が活動している時に生じる非常に弱い電気活動を波形としてとらえたものです。脳波検査では頭皮に電極というお皿をたくさんつけて電気活動を記録する検査で、ビリビリと電流を流す検査ではなく、痛みのない検査です。脳波検査をすることで、脳が目覚めている状態か、眠っている状態か、けいれんを起こしたり、気を失うような症状が波形の乱れによって生じているのかなどを知ることができます。起きている状態から眠り入る時の波形の記録が特に子供さんでは大切です。また、必要に応じて、深呼吸を続けたり、点滅した光で波形に変化が生じるかを記録します。

神経生理検査

神経生理検査は神経の伝わりや筋肉の働きを調べる検査です。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。また、心臓ペースメーカーに影響を与えることもありません。検査時間は検査内容によって異なりますが、30分から90分程度です。

視覚誘発電位検査

視覚誘発電位検査は、「ものを見る」ための働きをする視神経から視覚領(後頭部にある脳の一部)の通り道の働きを調べる検査です。モニターに映った画像を見ていただいたり、目から光の刺激を入れて、眼球・網膜・視神経からつながった視覚領の反応を記録します。痛みや危険性はなく安全な検査ですので、安心してお受けになってください。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。また、心臓ペースメーカーに影響を与えることもありません。検査時間は、15分から30分程度です。

筋電図検査

筋電図検査は、「手や足に運動の低下」「筋力の低下」「やせ」「痛み」などの原因が神経によるものなのか筋肉によるものなのかを調べる筋肉の検査です。手や足に検査用の細い針を刺して、筋肉の活動を調べます。力を入れたときと安静にしたときの記録を行います。痛みを伴う検査ですが、危険性はなく安全な検査ですので、安心してお受けになってください。妊娠中の方も安心して受けて頂くことができます。また、心臓ペースメーカーに影響を与えることもありません。検査時間は検査内容によって異なりますが、30分から90分程度です。

下肢動脈精密検査

下肢に虚血症状がある場合に行う精密検査です。虚血症状とは間欠性跛行(歩くと脚が痛くなり、休むとまた歩ける)、安静時下肢疼痛、潰瘍、壊疽など様々です。原因(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、血管炎、コレステロール塞栓症など)の検索および治療方針検討の一助となるよう、詳細な検査を行います。検査の内容は上腕と足首(足趾)の血圧測定、皮膚灌流圧測定(毛細血管の血圧)、経皮酸素分圧、血管超音波検査から選択します。これらの検査を組み合わせることにより、血管の狭窄・閉塞病変の有無や部位の特定、潰瘍の治癒予測等が行えます。また、難治性潰瘍に対して実施しているCD34陽性細胞移植による血管再生治療(臨床試験)の適格性や経過観察にも利用されています。複数の検査を同日に行いますので、所要時間は2時間以上となります。

検査室タイムズ“TEKARI”

”TEKARI” 名前の由来

「てかり」とは、布地の一部がこすれて光っていること、皮脂の分泌で額や頬がてかてか光って見えること等をいいます。「てかってるー!」って、言われるとあまりいい気持ちにはなれません。だいたい「てかり」は、避けられている言葉です。しかしながら、脂汗をかきながら頑張る姿にてかりがあって、一生懸命生きている証の一つが「てかり」とも言えます。

我ら検査部が日々切磋琢磨しボロボロになりながらも頑張ってコツコツと築き上げた実績、それは決してきらびやかで華々しいスマートな輝きではありません。しかしながら、この輝きは技術者としての匠(たくみ)の精神や技を彷彿させる、いとおしく尊い輝きとして、“TEKARI(てかり)”と表現できるのではないかと考えました。

検査部自体が自ら光を放つことはありません。臨床からの依頼があってこそ、”きらり”と、輝ける部門です。臨床からの光を受けて、てかてかと輝き続けたいと思っております。

我らが検査部のそれぞれの部門の旬の話題の特集や、最新の検査部ニュースを “TEKARI(てかり)” として紹介します。定期的に更新してゆきますので、是非、覗いてみてください。

”TEKARI”最新号

◆◆特集第26号◆◆

外来採血室のご紹介

外来採血室 山本剛

採血により身体中を流れている血液成分を調べることで、「病気の診断」や「病状の把握」を行うために必要な医療行為です。採血は静脈から血液を採取するため安全性の高い手技になりますが、まれに「採血合併症」が起こることもあります。採血で確認したい生体情報が採血合併症の危険性より高いと判断された場合に担当医より採血がオーダーされます。「採血合併症」については後述しますが、採血の必要性と危険性をご理解した上で採血を受けて頂きますようお願いします。

2.採血を受けられる患者さんへのお願い

医療安全の観点から採血時に以下の内容について確認を行います(図1)。該当する方は採血時に採血スタッフにお申し出ください。

1)採血を行う腕の確認

採血は駆血帯(くけつたい)で静脈にある血液をせき止めて行いますが、駆血帯を巻くことができない場合があります。下記に該当する患者さんは事前にお申し出ください。

①人工透析用のシャント造設がある方
②化学療法の為にポート留置されている方
③血糖自己管理用のリブレを装着されている方
④上皮小体の植え込みがある方

また、アレルギー歴がある場合も採血時にお申し出ください。

⑤アルコールに対するアレルギー歴がある:アルコール以外の消毒薬を使います。
⑥テープに対するアレルギー歴がある:絆創膏や紙包帯を使います。

2)採血合併症についてのご案内

採血時はまれに次のような健康被害(採血合併症)を生じることがあります(図2)。

①神経損傷:刺した場所の痛みや手先のしびれ感がでます。
②皮下血腫(青あざ):採血した後に止血が十分でないときにできます。
③アレルギー:消毒用アルコールやテープでかぶれて赤くなったり、かゆくなったりします。
④血管迷走神経反射(気分不良):刺した時に神経の反射で起こします。血圧が低下したり、頻脈になります。

3.採血までの流れ
1)受付

①受付は自動受付機、またはC受付(有人)で行います。診察券をご準備ください。
②受付で『受付番号』の発番をおこなってください。番号が出ない場合はC受付(有人)で発券を行ってください。
③受付時間の開始時間は以下の通りです。
 ア)自動受付機:AM7:30から開始しています。
 イ)C受付(有人):AM8:15から開始します。
なお、自動受付機でも内容確認が必要な場合は「受付Cカウンターへお越し下さい。」と表示されます。その場合はC受付(有人)にお回り頂くことがあります。ご了承ください。
④掲示板に『受付番号』が表示されるまで外待合でお待ちください。表示されたら採血室にお入りください。
⑤長袖を着用している場合は採血する側の腕を出してお待ちください。

2)採血の準備

①採血台の掲示板に『受付番号』が表示されたら採血台までお進みください。
②『受付番号票』を採血担当者にお渡しください。名前の確認時に必要です。
③本人確認のため「お名前」と「生年月日」をお聞きします。
④項目(レニン採血など)によっては30分間安静後に採血を実施することがあります。担当医の指示に従ってください。
⑤糖負荷試験の場合はブドウ糖液を飲んだ後に30分、60分、120分後に採血を行います。

3)採血の実施

①主に肘から採血を行いますので、採血枕に肘を乗せてください。
②親指を中にして軽く握ってください。
③肘は伸ばして採血をします。
④肘で採れない場合は前腕や手背で採血をさせて頂くことがあります。
⑤車いすをご利用している場合は座ったままで採血を行います。その場合は順番が前後することがございます。ご了承ください。
⑥気分がすぐれないとき、過去に気分不良になった場合は、ベッド上で採血をしますのでお申し出ください。
⑦抜針後は採血した場所を5分間しっかりと押さえてください(圧迫止血)。血液をサラサラにするお薬を服用している方は10分間しっかりと押さえてください。

4.採血室の混雑状況

午前中は大変混雑しますので、採血のみで来院される方は14時以降が比較的空いており、おすすめです(図3)。採血室の待ち時間解消のためにご協力お願いします。

当院臨床検査技術部はISO15189の認定を取得しております。外来採血室ではTAT(turn around time:検査にかかる応答時間)管理により患者さんの待ち時間改善に努めております。2019年度から2020年度にかけては待ち時間短縮するためにスタッフの配置や業務内容を改善し待ち時間を大幅に短くすることができました(図4)。今後も継続的に待ち時間調査を行い、更なる待ち時間短縮に努めてまいります。

5.外来採血室の概要

①外来採血室は9ブース設置し、臨床検査技師と看護師が採血の担当をしています。
②臨床検査技師による採血業務は検体検査や生理検査に関わらず全ての職員が対応しています。
③採血患者数は毎日500~700名程度です。
④採血システムはシスメックスCNAで構築されており、採血管供給装置はBC-ROBO 8001 RFIDを2機設置しています。
⑤新人教育用に年間を通して色々な研修を行っています。

6.その他

①当日は採血しやすい服でご来院ください。
②袖が詰まった服装の場合は肘で採血ができなかったり、止血が十分に行えない場合があります。

”TEKARI”バックナンバー

◆◆特集第1号◆◆ 遺伝子検査:FLT3変異とNPM1変異”について

遺伝子検査:FLT3変異とNPM1変異”について

遺伝子検査:FLT3変異とNPM1変異”について

細胞遺伝子検査室では、フローサイトメトリー*1という手法を用いた細胞レベルの検査とPCR*2という手法を用いた遺伝子レベルの検査を実施しており、主に白血病や悪性リンパ腫などの血液腫瘍に関連する検査を担当しています。この10年間で血液腫瘍の分野における研究は目覚ましいものがあり、診断および治療は飛躍的な進歩を遂げました。白血病の確定診断において、今や遺伝子検査は不可欠なものとなっており、詳細な病型の分類に用いられています。そして、得られた検査結果は各病型に最適な治療方針を決定することに役立てられています。

タイトルにある“FLT3変異とNPM1変異” *3は、急性骨髄性白血病との関連で注目されている遺伝子異常です。PCRという手法を用いて、急性骨髄性白血病の診断時における”FLT3変異とNPM1変異”の有無を検査することにより、化学療法に対する治療効果の予測をすることが可能となり、治療方針を決定する上で重要な情報を主治医に提供することができます。また、遺伝子異常が発見された場合は、遺伝子の詳細なパターン解析を行い、個々の患者さん毎に最適な検査方法を構築することで、微小残存病変*4 を検出することが可能となり、治療効果を正確に判定することができます。

現時点で”FLT3変異とNPM1変異”を検査することのできる医療機関は限られています。当検査室では全国に先駆けて2008年より検査を開始しており、100例以上の実績があります。今回ご紹介した検査のみならず、臨床医と密な連携を取りながら、常に最新かつ最良な検査方法の導入や新規開発に積極的に取り組み、得られた成果は国内外に発信していきたいと考えています。

*1:フローサイトメトリー
フローサイトメーターという機器と特殊な試薬を用いて、特定の細胞におけるタンパク質の有無を網羅的に測定し、細胞の特徴を解析する手法
*2:PCR
サーマルサイクラーという機器と特殊な試薬を用いて、極わずかな量の遺伝子を増幅させ、遺伝子異常の有無などを解析する手法
*3:FLT3変異とNPM1変異
FLT3変異とNPM1変異は急性骨髄性白血病の予後を予測する因子として注目されている。WHO分類第4版では遺伝子変異を伴う急性骨髄性白血病が独立した病型として設けられており、その中のひとつにNPM1変異が含まれている。一方、FLT3変異については一病型として定義されていないが、診断時に変異解析を行うことが推奨されている。
*4:微小残存病変
顕微鏡では発見できない極少数の白血病細胞の残存状態

検査部ニュース

新規検査項目

*平成23年11月 院内実施化となった検査項目

  1. グリコアルブミン
  2. マグネシウム

学術関係報告

論文発表

  • 竹川 啓史:
    真菌同定の実際 Ⅱ 糸状菌 Mucor,Rhizopus, Rhizomucor, Absidia, Cunninghamella, Syncephallastrum
    臨床と微生物 38;551-557.2011.論文

発表・講演等 平成23年7月~12月

  • 平成23年7月9日
    京都府臨床検査技師会生理検査分野研修会 腹部超音波検査 ハンズオン&レクチャーコース
    講師:岩崎 信広 「消化管―腫瘍性病変」
  • 平成23年7月23日
    日本消化器がん検診学会 近畿支部超音波部会 第12回 総会・学術集会
    教育講演:岩崎 信広 「USと血流」
  • 平成23年6月25日
    第111回日本循環器学会地方会 研修医のための教育セッション
    ハンズオン講師:紺田 利子
  • 平成23年8月20日
    和歌山県臨床検査技師会 生理検査分野研修会
    教育講演:岩崎 信広 「ステップアップ消化管超音波」
  • 平成23年9月20日
    第111回 兵庫県臨床検査技師会 微生物検査研修会
    講師:竹川 啓史 「シリーズ:真菌検査② ~マスターしよう真菌検査法~」
  • 平成23年9月17日
    消化管エコーライブセミナー
    講師:岩崎 信広 「ステップアップ消化管超音波検査 -症例から学ぶ診断への道標-」
  • 平成23年9月25日
    兵庫県臨床検査技師会 腹部超音波実技講習会
    講師:岩崎 信広 「装置の設定と検査における注意点、肝臓の解剖と生理」
  • 平成23年10月9日
    兵庫県臨床検査技師会 腹部超音波実技講習会
    講師:岩崎 信広 「胆道系の解剖と生理」
  • 平成23年10月16日
    兵庫県臨床検査技師会 腹部超音波実技講習会
    講師:岩崎 信広 「膵臓の解剖と生理」
  • 平成23年10月23日
    兵庫県臨床検査技師会 腹部超音波実技講習会
    講師:岩崎 信広 「腎臓の解剖と生理」
  • 平成23年10月15日
    先端医療財団 CAS-CARE超音波検査講習会
    講師:佐々木 一朗
  • 平成23年10月29日
    Echo Heart Izumo 2011
    講演と実技指導:紺田 利子 「不明熱の精査」
  • 平成23年10月29日
    Echo Heart Izumo 2011
    講演と実技指導:川井 順一 「胸痛の精査」
  • 平成23年11月6日
    兵庫県臨床検査技師会 丹但地区学術研究会
    講師:岩崎 信広  「消化管腫瘍性病変の超音波診断」
  • 平成23年11月13日
    日本超音波医学会 第38回関西地方会学術集会
    発表:岩崎 信広 「ドプラ検査が有用であった大腸angioectasiaの一例」
  • 平成23年11月13日
    日本超音波医学会 第38回関西地方会学術集会
    発表:岩崎 信広 「リンパ管腫内出血の一例」
  • 平成23年11月17日
    第170回大阪腹部超音波研究会
    発表:岩崎 信広 「消化管疾患の造影超音波検査 当院における現況」
  • 平成23年11月27日
    消化管エコーハンズオンセミナー
    講師:岩崎 信広
  • 平成23年11月13日
    日本超音波医学会 第38回関西地方会学術集会
    発表:竹林 真美子 「スクリーニング検査で発見された膵腫瘍の一例」
  • 平成23年11月17日
    第170回大阪腹部超音波研究会
    発表:竹林 真美子 「スクリーニング検査で発見された膵腫瘍の一例」
  • 平成23年11月5日
    第17回神戸臨床フォーラム
    教育講演:丸岡 隼人 「血液腫瘍診断におけるflow cytometryおよび遺伝子検査」
  • 平成23年11月19日
    第58回日本臨床検査医学会学術集会
    発表:丸岡 隼人 「6-color flow cytometryを用いた成熟リンパ系腫瘍のimmunophenotyping」
  • 平成23年12月7日
    救急オープンセミナー
    講師:岩崎 信広 「急性腹症における超音波検査」
  • 平成23年12月21日
    救急オープンセミナー
    講師:佐々木 一郎 「救急医療における脳死対応セミナー」
  • 平成23年12月18日
    第111回超音波検査学会医用超音波講義講習会
    講師:岩崎 信広  「急性腹症における超音波検査の進め方」

◆◆特集第2号◆◆
造影超音波検査の進歩

生理機能検査室 岩崎 信広

造影超音波検査

腫瘤性病変の血流動態的評価は診断や治療方針の決定においてきわめて重要である。超音波を用いた血流動態の評価法として、従来よりカラードプラ検査が用いられているが、血球からの反射音波のみを利用しているため、反射音波が弱ければ感度が低下する。しかし、造影超音波検査は造影剤が強い反射源となるため、より高感度に血流動態を評価することが可能である。

超音波用造影剤:SonazoidⓇ

SonazoidⓇは肝腫瘤性疾患の診断を目的とした超音波造影剤である。この造影剤は化学的に安定なガスであるペルフルブタン(PFB;図1)を内包させた製剤で、投与後は呼気中に排泄される。2007年1月の販売開始後5年が経過しているが重篤な副作用はほとんど報告されていない。CT検査・MRI検査など他の造影剤を用いる画像診断法では一定の割合で重篤な副作用があり、造影剤に対して過敏症が有る場合は施行できないが、造影超音波検査はこれらの患者様においても施行が可能であり、肝腫瘤性疾患における唯一の血流動態的診断法となる場合がある。

当院における造影超音波検査の現況

造影超音波検査は造影モードの搭載された専用機器が必要である。腹部超音波検査室にはハイエンド超音波検査診断装置*1が6台配置されており、造影剤販売当初から積極的に取り組んできている。また、検査には高度な技術と知識が必要とされるが、精通した複数の技師が常任し臨床からの様々な要望に対応している。当院では造影超音波検査をスクリーニング造影検査と精査造影検査に区分し実施している。スクリーニング造影検査は腫瘤の存在診断を主たる目的としている。造影剤の投与は外来中央処置室で行い、その後、超音波検査室に移動してKupffer相*2(post vascular phase)における欠損像の有無について観察している。一方、精査造影検査は主に腫瘤の質的あるいは鑑別診断を目的としている。造影剤投与直後の血管相*3(vascular phase)およびKupffer相の観察を行うため、造影剤投与から検査終了まですべてを腹部超音波検査室内で行っている。さらに、多発性に腫瘤が認められる症例や他部位に新たに欠損像が認められた場合、病変部血管相の評価のため、造影剤を再投与し工藤ら1)の提唱した「Defect Reperfusion Ultrasound Imaging*4」を行っている(図2)。したがって、スクリーニング造影検査に比べ、検査時間が1時間程度必要になる場合もあり、午後から1人/1時間の予約枠で施行している。また、肝細胞癌の治療ではラジオ波焼灼治療*5(Radiofreequency Ablation:RFA)時に病変部が認識困難な場合、「Defect Reperfusion Ultrasound Imaging」を用いて、安全かつ的確にRFAが施行できるよう治療支援として積極的に施行している。

*1 ハイエンド超音波診断装置:最新の技術を採用し、高機能・高性能を追求した超音波診断装置。
*2 Kupffer相:造影剤(マイクロバブル)の一部は細網内皮系(肝臓ではKupffer細胞)に取り込まれる。Kupffer細胞を有さない腫瘍は造影されず、腫瘍と正常肝組織のコントラストの差が明瞭化し、腫瘍の存在診断が可能となる造影剤投与後5~10 分以降の時相。
*3 血管相:肝腫瘤性病変内、辺縁及びその周辺の血管を造影することができる造影剤投与直後から3分までの時相。
*4 通常の超音波検査で検出不能の結節をKupffer相で欠損像(Defect)として検出した後、造影剤を再投与しDefectを呈した結節が動脈血流を有するか否か再灌流(Reperfusion)を判定する手法。
*5 ラジオ波焼灼治療:超音波ガイド下に電極針を体外から病変部まで穿刺し、ラジオ波を通電することにより発生する高熱で病変部を凝固壊死させる治療法。

造影超音波検査の応用

現在、造影超音波検査は肝腫瘤性疾患の診断だけでなく、治療支援として肝癌の局所治療の穿刺ガイドや治療評価にも応用されるようになってきた(研究レベルでは造影剤を加熱作用増強剤としてマイクロバブルを用いた強力集束超音波治療法(HIFU)の検討も行われている)。また、肝切除においては術中造影超音波検査も広がってきている。術中造影では肝臓に直接プローブをあてることができるため、より詳細な観察が可能となり、体外からでは検出できない小さな病変も検出できる。したがって、切除範囲など術式の決定や変更における有用な指標となっている。

症例

1. 肝細胞癌:早期血管相(図3)

肝S6に1㎝大の内部不均一な高エコー腫瘤(矢印)が認められる。造影剤投与10秒後から腫瘤全体が濃染している。

2. 門脈腫瘍塞栓:再還流像(MFI)(図4)

門脈(P6)内に淡い充実性エコーが認められる(矢印)。MFIで内部を走行する腫瘍内血管が明瞭に描出されている。

3. 小腸悪性リンパ腫:血管相(図5)

回腸に限局性の壁肥厚を認め、層構造は不明瞭化している(矢印)。早期濃染および腫瘍内を樹枝状に走行する血管構築が捉えられている。

4. 転移性肝癌:Kupffer相(図6)

肝S6に1.5㎝大の明瞭な欠損像が捉えられている(矢印)。

結語

当院では造影超音波検査の導入により、肝腫瘤性疾患における診断能が飛躍的に向上した。また、肝癌の治療支援における役割も大きく、今後は術者の育成をはじめ検査・治療体制を更に充実させていきたいと考えている。

1) Kudo M,Hatanaka K,Maekawa K:Newly developed novel ultrasound technique, defect reperfusion ultrasound imaging, using sonazoid in the management of hepatocellular carcinoma.Oncology, 2010 Jul;78 Suppl 1:40-5. Epub 2010 Jul 8.

検査部ニュース
新規検査項目

*平成24年4月 院内実施化となった検査項目

  1. 抗サイログロブリン抗体(Tg-Ab)
  2. 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO-Ab)
学術関係報告

発表・講演等 平成24年1月~3月

  • 杤尾人司、他:
    アルコール禁患者におけるクロルヘキシジングルコン酸塩による静脈採血時の適正な消毒時間:採血シミュレーションを加えた細菌学的検討
    医学検査Vol.61:374-379, 2012

発表・講演等 平成23年7月~12月

  • 平成24年2月24日
    第21回 腹部エコー実技講習会 「下肢静脈エコー」
    講義:簑輪 和士  実技:黒田・浜田一・荒木・三羽
    参加医師数18名
  • 平成24年2月25日
    兵庫県技師会腹部超音波実技講習会 「消化管エコー」
    実技:簑輪 和士・岩崎 信広
  • 平成24年3月3日  場所 京都テルサ
    第5回 脳波・筋電図セミナー  講師
    佐々木 一郎 : 「法的脳死判定」
  • 平成24年3月15日  場所  中央市民病院 講堂
    第109回 腹部超音波カンファレンス  発表
    「消化管疾患診断のためのフローチャートを考える」
    岩崎 信広:「当院における消化管疾患診断のフローチャートについて」
    竹林 真実子:「典型的な消化管疾患のUS診断フローチャート」
    三羽 えり子:「消化管疾患診断フローチャートの問題点」
  • 平成24年3月24日  場所 但馬地域地場産業振興センター
    第 10 回北近畿 Heart Imaging 研究会 発表
    川井 順一:「経食道心エコー法および3次元心エコー法による僧帽弁閉鎖不全症の評価」

◆◆特集第3号◆◆
微生物検査室の紹介

微生物検査室 仁木 真理恵

微生物とは、細菌、酵母、ウイルスなど肉眼では観察できない生物のことで、人が生きていく上で必要不可欠な存在です。微生物と聞くと何となく嫌なイメージを抱きがちですが、人の体内にも100兆個以上存在しており、これらを常在菌とよんでいます。例えば、腸の中で生息している大腸菌などの腸内細菌は、食べ物の消化を助けたり、新たに侵入してきた菌を排除したりして私たちの体を守ってくれています。しかし、免疫力が低下している人にとっては、これらの常在菌が感染症の原因菌(病原微生物)になることもあります。また、病原性大腸菌O-157やカンピロバクターなど、体内に入り人に害を与える微生物(病原微生物)もいます。微生物検査室ではこのような病原微生物の情報を主治医に提供しています。

微生物検査室の役割は大きく分けて4つあります

①一般細菌検査

喀痰、尿、膿、血液など患者さんの検体を用いて病原微生物の有無を検査しています。まず、提出していただいた検体をスライドガラスに塗りグラム染色*1を行います。グラム染色により、濃紫色に染まるグラム陽性菌とピンク色に染まるグラム陰性菌に分けられます。これらを顕微鏡で観察し、染色された色や細菌の形態等から菌種の推測を行います。グラム染色は細菌の分類や同定をするうえで最も重要な工程になります。

次に、検体を数種類の培地に塗布し、ふ卵器で培養させます。一晩培養させると、肉眼では見ることができなかった細菌が培地上で発育し、増殖して集落(コロニー)を形成し、目に見える大きさになります。数種類の培地に塗布することで、培地による発育の有無や集落の色、形状からある程度の菌名が推測できます。

集落が形成されるとその細菌の同定と薬剤感受性検査を行います。同定検査ではブドウ糖や乳糖を分解できるかなど、細菌が持っている性質を調べることにより細菌の種類を決定します。一方、薬剤感受性検査では患者さんの検体から検出された病原微生物に効く薬剤を調べています。同定と薬剤感受性検査は一部の菌を除いて写真のような同定パネルを用いて全自動細菌分析装置により行っています。

②迅速抗原検査

便や尿中に排泄される病原菌の抗原*2を調べることで、病原菌の有無について迅速な報告が可能となっています。通常の培養検査による細菌の検出は2日以上かかりますが、迅速抗原検査の場合は15~30分以内に結果を報告することができます。当院では、インフルエンザウイルス抗原検査、便中ロタウイルス抗原検査、咽頭粘液アデノウイルス検査、尿中肺炎球菌抗原検査、尿中レジオネラ抗原検査などを行っています。

尿中肺炎球菌抗原検査:左が抗原陽性、右が抗原陰性

③抗酸菌検査

結核菌などの抗酸菌検査も当院で行っています。塗抹検査では蛍光染色とチール・ネンゼン染色を行います。これらの染色は抗酸菌以外の細菌は染色されないので、他の一般細菌と区別がつきます。

抗酸菌は発育が遅いものが多く培養には時間がかかるため、培養結果が出るのに1~2カ月かかることもあります。しかし、PCR法*3も同時に行うことで、半日以内に結果を報告することが可能になります。

④院内感染対策

感染制御チーム(ICT)の一員として、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、MDRP(多剤耐性緑膿菌)、ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌などの院内感染の原因となる細菌の検出状況を調査し、院内感染防止に努めています。また、病棟内の水周りに院内感染の原因菌となる薬剤耐性菌がいないか環境調査を行い、アウトブレイク*4の防止にも努めています。

しかし、それでもアウトブレイクが発生した際には、遺伝子解析による疫学的調査を行っています。この遺伝子解析にはパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)が広く用いられていますが、簡便性および迅速性に乏しいため、当院ではDiversiLabという特殊な機械による遺伝子解析を行い迅速に対応するようにしています。

1番と4番は別々の患者由来の菌。2と3は1番の患者の部屋の水周りにいた菌。5は4番の患者の部屋の水周りにいた菌。すなわち、右図では1と2は98.3%の相同性*5があり、ほぼ同一の菌株であると証明できますが、1と4の相同性は65.5%なので異なる菌株由来ということになります。

患者さんへのお願い

微生物検査室では生き物を扱っているため、早急に結果を報告することが難しいこともありますが、出来るだけ早く病原菌を見つけ出し適切な抗生剤の情報を主治医に提供できるよう日々努力しています。

しかし、せっかく検体を提出していただいたのにも関わらず、検査に不適切な検体もあります。例えば、喀痰の場合は唾液の含まれる粘液状のものだと口腔内には常在菌がたくさんいるため、病原微生物以外の菌のみが発育してしまい、検査結果の意味がなくなってしまいます。正確な検査結果を報告するために、喀痰を提出していただく際には、まずはうがいをし、口腔内の常在菌をできるだけ減らしてから、膿性な喀痰を提出していただくようにお願いします。

*1 グラム染色:細菌がもつ細胞壁の構造の違いにより、濃紫色に染まるグラム陽性菌とピンク色に染まるグラム陰性菌に分類される。

*2 抗原:体内に入ってきた時に生体防御のため免疫反応を引き起こす物質(微生物の構造タンパクなど)の総称。この免疫反応の原理が臨床検査に用いられている。
*3 PCR法:サーマルサイクラーという機械と特殊な試薬を用いて、細菌がもつDNAを増幅させることにより、ごく少量の細菌の有無を容易に確認できる方法。
*4 アウトブレイク:一定期間内に、特定の場所で同一菌種による感染症が発症すること。
*5 相同性:遺伝子の特定の部分が進化的に共通の祖先をもっているもの。相同性の割合が高いものが同じ菌株由来だと判断できる。

あとがき

この6月から、2階生理検査室の待合廊下にかわいいお花が飾られるようになりました。この花は生理検査室や採血室の職員が、自宅の庭や貸し農園、道ばた?に咲いたり育てたりしている花を持ち寄って飾っています。お店で売っているような華やかな花ではありませんが、野の花であるがゆえに、かえってほっと心が落ち着き和むような気がします。

また、花を飾っていると患者さんや他の職員から「お花かわいいですね」と話し掛けていただいたりして、野の花効果は色々なところに発揮されるようです。

光り輝くような豪華で華麗な花ではなく、普段は気付かれないようにそっと咲きほころびながらも、横を通り過ぎる人の風景の中で心を和ませている野の花。

医師や看護師のように患者さんとずっと関わりを持つわけではなく、検査や採血の少しの時間だけに触れあう私たち臨床検査技師も、その短い時間だからこそ野の花のようにそっと、患者さんに気持ちよくまた安心して良い検査を受けていただけるように努めたいと思っています。

◆◆特集第4号◆◆
子宮頸癌検査の実際とHPVの関係について

病理検査室  尾松 雅仁

子宮頸癌は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスによる感染がほとんどの原因ということが判っています。HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、現在、HPVには100種類以上の型が発見されており、発見順に番号がつけられています。性器粘膜に感染するHPVは発癌のリスクの程度によってハイリスク型とローリスク型に分けられており、ハイリスク型に分類されている型のうち16型、18型が特に発癌に関与しているとされています。

子宮頸癌は40~50歳代に好発しますが、近年では40歳未満の女性の子宮頸癌の罹患率が増加しています。しかし、異形成(子宮頸癌になる前の病変)が発見可能なため、定期的な子宮頸癌検診により異形成の段階で発見・治療することにより癌の発症を未然に防ぐ事が出来ます。また、現在では子宮頸癌の原因の大部分を占めるといわれているHPVウイルスの2価ワクチン(16型と18型)や、4価ワクチン(6型、11型、16型、18型)が開発されており、このワクチン接種をすることにより、発癌の予防効果が高いといわれています。

病理検査室では、子宮膣部・頸部の細胞診検査で、子宮頸癌やその前癌病変がないか、HPVやその他の感染症の検査をしています。そこで今回は病理検査室で行っている子宮頸癌の細胞診検査の実際をご紹介します。

A 細胞診検査の細胞採取および標本作製方法
子宮頸部は、外側から皮膚・外陰・膣と連続的に扁平上皮で構成されています。そして、子宮の入り口を少し入ったところで上皮を構成する線細胞とぶつかり合うところがあります。子宮頸癌はこの扁平上皮と腺上皮の境界部分(S-C junction)が好発部位であるため、この部分を綿棒、ヘラ、ブラシ、などの器具を使って擦過します。
S-C junction
次に、採取された擦過物(smear)をプレパラートに塗抹し、乾燥しないうちに素早く95%アルコール液に入れ、細胞を固定します。その後、パパニコロウ染色を行い、染色された標本を細胞検査士という専門の資格を持った臨床検査技師が顕微鏡下で異常な所見がないかを観察していきます。
パパニコロウ染色用自動染色機
B 各種細胞像とその特徴

① コイロサイト

HPVに感染した細胞にみられる変化で、核周明庭といわれる、核周囲に明瞭な空胞が認められます。
コイロサイト 40倍

② 軽度異形成(mild dysplasia, low-grade squamous intraepithelial lesion [LSIL])
クラス分類:クラスⅢa

表層から中層型扁平上皮細胞の核異型を伴う細胞がみられます。正常細胞と比べ核が大きくなり、濃い紫色に染まります。N/C比(核 / 細胞質 比)の増大がみられます。精査が必要でコルポスコピー(膣拡大鏡)や組織生検を行うことがあります。
軽度異形成 40倍

③ 高度異形成(severe dysplasia, high-grade squamous intraepithelial lesion [HSIL])
クラス分類:クラスⅢb

傍基底型扁平上皮細胞の核異型を伴う細胞が主体にみられます。細胞質に対する核の大きさはより大きくなり、形の不整や切れ込みなどが多く認められ、核はより濃く染色されます。軽度異形成と同様に精査が必要となります。
高度異形成 100倍

④ 扁平上皮癌 (squamous cell carcinoma) 浸潤癌
クラス分類:クラスⅤ

背景は壊死などが多く汚い印象で、細胞は歪で小型~大型の悪性細胞が平面的な集塊でみられます。核の大きさは大小様々でばらつきが目立ち、高度異形成などと比べ、より濃く染まるものもみられます。細胞質は紡錘形、ヘビ状、オタマジャクシ状などの形態を示し、オレンジに濃く染まる悪性細胞もみられることがあります。組織検査などの精査を実施し、治療方針を決定します。
扁平上皮癌 40倍

C まとめ

大部分の子宮頸癌はHPVの感染で発症する癌です。しかし、今回説明したように細胞診検査による細胞の異形成の確認により、早い時期に発見および治療できる癌です。定期的な子宮頸癌検診の実施やワクチン接種により予防できると考えられます。

*ワクチン接種はかなり高価(当院では、3回分合計で約52,000円前後)ですが、接種費用の助成をしている地方自治体もあります。神戸市では女子中学1年生から高校1年生までは全額助成しています。詳しくは、神戸市のホームページなどでご確認ください。

問い合わせ先

神戸市保健所 予防衛生課 結核・感染症係
TEL 078-322-6788
当院
TEL 078-302-4321(代表)

《追記6月20日》
平成25年6月14日に厚生労働省より「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)」の中で、ワクチンの定期接種に関しては「副反応の発生頻度等が明らかになり、適切な情報提供ができるまでの間は積極的に勧奨すべきでない」との通知がなされています。詳細等は上記問い合わせ先、または各医療機関へご確認ください。

検査部ニュース
学術関係報告

論文発表

  • Inoue D, Matsushita A, Kiuchi M, Takiuchi Y, Nagano S, Arima H, Mori M, Tabata S, Yamashiro A, Maruoka H, Oita T, Imai Y, Takahashi T.:Successful Treatment of γ-Heavy-Chain Disease with Rituximab and Fludarabine. Acta Haematol. 128: 139-143, 2012

学会発表

  • 平成24年9月19日
    大阪超音波研究会 大阪国際会議場
    発表:菅原雅史、杤尾人司、鄭浩柄、他:「嚢胞性腫瘤様に描出された小児急性虫垂炎の一例」
  • 平成24年9月19日
    臨床医学検査学会関西支部総会 和歌山県 白浜
    発表:野本奈津美、丸岡隼人、那須浩二、老田達雄:「6カラーフロサイトメトリーを用いた形質細胞性腫瘍のイムノフェノタイピング」
    発表:山城明子、柴田洋子、田村明代、三木寛二、老田達雄:「検査相談室開設後5年間の報告」
    発表:杤尾人司、崎園賢治、竹川啓史、江藤正明:
    「アルコール禁患者におけるクロルヘキシジングルコン酸塩による静脈採血時の適正な消毒時間」
  • 平成24年10月6日
    日本超音波医学会 第39回関西地方会 大阪
    発表:竹林真実子、岩崎信広、杉之下与志樹、他:「当院における過去5年間の腹部腫瘤の検討」
    発表:岩崎信広、竹林真実子、杉之下与志樹、他:「急性膵炎を伴った膵仮性動静脈奇形(AVM)の一例」
    発表:岩崎信広、竹林真実子、杉之下与志樹、他:「アメーバ感染により大腸憩室穿孔を来した一例」
    発表:浜田一美、登阪貴子、佐々木翔、他:「濾胞癌術後残存葉にびまん性硬化型乳頭癌の発症を認めた一例」
    発表:三羽えり子、荒木直子、岩崎信広、他:「造影超音波を施行した肝悪性リンパ腫の一例」
    発表:菅原雅史、杤尾人司、濱田一美、他:「小児に発症した水腎症を伴う穿孔性虫垂炎の一例:嚢胞性腫瘤様に描出された機序について」
    発表:野村菜美子、谷知子、紺田利子、他:「心電図上左室肥大が疑われたが、経胸壁心エコー検査にて左室壁肥厚を認めなかった2症例」
  • 平成24年10月11日
    日本聴覚医学会 国立京都国際会館 京都
    発表:濵田 充生:「聴力検査で軽度の左右差を認めた片側性のAuditory neuropathyの一例」
  • 平成24年11月5日
    日本感染症学会中日本地方学会 アクロス福岡
    発表:仁木真理恵、三木寛二、竹川啓史:「rep-PCR解析による緑膿菌の疫学調査」
  • 平成24年11月30日
    日本臨床検査医学会総会 京都
    発表:丸岡隼人、老田達雄、石川隆之:「6カラーフローサイトメトリーによるB-ALLのイムノフェノタイピング」

講演

  • 平成24年6月28日
    腹部超音波カンファレンス 神戸
    講演:岩崎 信広:「腹部腫瘤の超音波診断」
  • 平成24年7月21日
    生理部門システムフォーラム 大阪
    講演:川井 順一:「部門システム導入への取り組み」
  • 平成24年7月26日
    第13回神戸グラム染色カンファレンス 神戸ANAクラウンプラザホテル
    講演:竹川啓史:「キャッスルマン病患者に発症した蜂窩織炎の1症例」
  • 平成24年9月21日
    救急カンファレンス
    講演:柴田洋子:「安全な輸血のために」
  • 平成24年9月30日
    臨床医学検査学会関西支部総会(和歌山白浜)
    講演:竹川啓史:「グラム染色で行うべき最低限の報告」
    講演:杤尾人司:「肝細胞癌(HCC)の評価のコツ」
  • 平成24年9月15日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸研修センター
    講演:竹川啓史:「真菌および培養困難な微生物について」
  • 平成24年9月21日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
    講演:竹川啓史:「微生物検査の概論・検査の基本操作」
  • 平成24年9月22日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
    講演:竹川啓史:「培地の観察と判定」
  • 平成24年9月23日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
    講演:竹川啓史:「抗酸菌検査・真菌観察・薬剤感受性の判定等」
あとがき

秋は学会の季節です。当臨床検査技術部のメンバーも医学検査学会・超音波学会・感染症学会などに精力的に学会発表を行ないました。H23年H24年採用の新人の発表も5題あり、本人の努力はもとより、指導する者も腕の見せ所といったところでしょうか。 今年は検査室全体で予演会が行なわれました。臨床検査は血液検査、細菌検査、病理検査、超音波検査等と幅広い分野にわかれるため、演者は聴衆に発表内容の予備知識を与えるため、まず、専門用語や測定原理など簡単な講義をして聴衆の理解を深めた後の発表となりました。新人は落ち着いてしっかり発表し、発表後の質疑応答にもりっぱに返答していました。専門外からの切り口での指摘もあり、大いに議論がかわされ意義のある会となりました。

◆◆特集第5号◆◆
検体検査の流れについて -検体採取から結果報告まで-

一般検査室  依岡 麻未、 生化学検査室  宮崎 千尋

当院の検体検査室は2階と3階に位置しています。2階の採尿室の奥に一般検査室があり、主に採尿室から提出された尿の分析を行っています。また、採血室で採血された血液は搬送トレイで3階に搬送され、生化学検査、免疫検査、血液検査部門で分析を行っています。

当院の検査室では、正確な検査結果を迅速に報告するために様々な取り組みをしています。診察までに検査結果を提供できるよう、外来診察前検査では検査室に検体が届いてから1時間以内に結果を報告する即時報告を実施しています。即時検査対象項目は、肝機能や貧血の一般的な検査項目ばかりではなく、ホルモンや腫瘍マーカーまで100項目近くの検査を対象としています。また、検査結果から判断して、直ちに治療が必要な病態を表す検査値(パニック値)が検出された場合には、臨床検査技師が担当医に緊急連絡する体制をとっています。さらに、24時間365日緊急検査が実施できる体制を整え当院の救急医療を支援しています。

今回は患者さんから採血・採尿された後の検体が検査され結果が出るまでの流れを簡単にご紹介します。

食事や運動などによって影響を受ける血液検査項目についてはご理解いただけましたでしょうか?

前日や当日の運動や食事、飲酒、喫煙などで検査結果に影響を与え、変動してしまう場合があります。より正確な検査結果を提供するためには患者さんの協力が不可欠ですので、担当医から絶食等の指示がありましたらお守りいただくようお願いします。

また、スタッフ一同、迅速で正確な検査結果を各診療科に提供できるよう努力しておりますが、検査内容によっては時間がかかりますので、診察当日の検査の場合は、診察予約時間の1時間前には採血・採尿を済ませておくようお願いいたします。

学術関係報告

論文発表

  • Inoue D, Matsushita A, Kiuchi M, Takiuchi Y, Nagano S, Arima H, Mori M, Tabata S, Yamashiro A, Maruoka H, Oita T, Imai Y, Takahashi T.:Successful Treatment of γ-Heavy-Chain Disease with Rituximab and Fludarabine. Acta Haematol. 128: 139-143, 2012

学会発表

  • ○平成24年9月19日
    大阪超音波研究会 大阪国際会議場
    発表:菅原雅史、杤尾人司、鄭浩柄、他:「嚢胞性腫瘤様に描出された小児急性虫垂炎の一例」
  • 平成24年9月19日 
    臨床医学検査学会関西支部総会 和歌山県 白浜
    発表:野本奈津美、丸岡隼人、那須浩二、老田達雄:「6カラーフロサイトメトリーを用いた形質細胞性腫瘍のイムノフェノタイピング」
    発表:山城明子、柴田洋子、田村明代、三木寛二、老田達雄:「検査相談室開設後5年間の報告」
    発表:杤尾人司、崎園賢治、竹川啓史、江藤正明:
    「アルコール禁患者におけるクロルヘキシジングルコン酸塩による静脈採血時の適正な消毒時間」
    発表:秋田豊和, 高野弘美:「輸血検査受託施設への新人教育プログラム導入の試み」
    発表:鈴木久惠, 井上史江, 宍戸裕貴子, 上野寿行:「当院におけるDダイマー定量値と疾患関連性の検索」
    発表:長谷川美幸, 海妻哉予子, 木内峰代, 秋田豊和 :「自動電気化学発光免疫分析装置cobas e411によるTgAb 及びTPOAb測定試薬の基礎的検討」
  • 平成24年10月6日  
    日本超音波医学会 第39回関西地方会 大阪
    発表:竹林真実子、岩崎信広、杉之下与志樹、他:「当院における過去5年間の腹部腫瘤の検討」
    発表:岩崎信広、竹林真実子、杉之下与志樹、他:「急性膵炎を伴った膵仮性動静脈奇形(AVM)の一例」
    発表:岩崎信広、竹林真実子、杉之下与志樹、他:「アメーバ感染により大腸憩室穿孔を来した一例」
    発表:浜田一美、登阪貴子、佐々木翔、他:「濾胞癌術後残存葉にびまん性硬化型乳頭癌の発症を認めた一例」
    発表:三羽えり子、荒木直子、岩崎信広、他:「造影超音波を施行した肝悪性リンパ腫の一例」
    発表:菅原雅史、杤尾人司、濱田一美、他:「小児に発症した水腎症を伴う穿孔性虫垂炎の一例:嚢胞性腫瘤様に描出された機序について」
    発表:野村菜美子、谷知子、紺田利子、他:「心電図上左室肥大が疑われたが、経胸壁心エコー検査にて左室壁肥厚を認めなかった2症例」
  • 平成24年10月11日
    日本聴覚医学会 国立京都国際会館 京都
    発表:濵田 充生:「聴力検査で軽度の左右差を認めた片側性のAuditory neuropathyの一例」
  • 平成24年11月5日
    日本感染症学会中日本地方学会 アクロス福岡
    発表:仁木真理恵、三木寛二、竹川啓史:「rep-PCR解析による緑膿菌の疫学調査」
  • 平成24年11月30日
    日本臨床検査医学会総会 京都
    発表:丸岡隼人、老田達雄、石川隆之:「6カラーフローサイトメトリーによるB-ALLのイムノフェノタイピング」

講演

  • 平成24年6月28日
    腹部超音波カンファレンス 神戸
    講演:岩崎 信広:「腹部腫瘤の超音波診断」
  • 平成24年7月21日
    生理部門システムフォーラム 大阪
    講演:川井 順一:「部門システム導入への取り組み」
  • 平成24年7月26日
    第13回神戸グラム染色カンファレンス 神戸ANAクラウンプラザホテル
    講演:竹川啓史:「キャッスルマン病患者に発症した蜂窩織炎の1症例」
  • 平成24年9月21日
    救急カンファレンス 
    講演:柴田洋子:「安全な輸血のために」
  • 平成24年9月30日
    臨床医学検査学会関西支部総会(和歌山白浜)
    講演:竹川啓史:「グラム染色で行うべき最低限の報告」
    講演:杤尾人司:「肝細胞癌(HCC)の評価のコツ」
  • 平成24年9月15日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸研修センター
    講演:竹川啓史:「真菌および培養困難な微生物について」
  • 平成24年9月21日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
    講演:竹川啓史:「微生物検査の概論・検査の基本操作」
  • 平成24年9月22日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
    講演:竹川啓史:「培地の観察と判定」
  • 平成24年9月23日
    平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
    講演:竹川啓史:「抗酸菌検査・真菌観察・薬剤感受性の判定等」
あとがき

いった。 にげた。 そして、さろうとしている。
2013年の月々ことである。
ホームページ更新予定日は過ぎた。時の流れがはやい。はやすぎる。
ありがたいことだ。
やることは多い。多すぎる。でもやれることがありがたい。
しあわせなことだ。
しかし、できていない。だから“時”がたつのがはやい。

検査部タイムズ「TEKARI」誕生からはや1年。
3か月に1度のわずか4回の更新ではあるが継続している。
着実に成長している。
立派になっている。
なにしろ内容がいい。寄稿者に感謝する。
2歳の誕生日を目指して、さあ、また一年ガンバロウ。
「神戸から世界へ発信、神戸中央市民病院 臨床検査技術部」

H.T

臨床検査技術部実績

検査実績 2019年度
部門名称 項目 件数
採血 外来採血室 152,723
腹部エコー 腹部超音波 11,099
造影超音波 181
体表エコー 体表(乳腺・甲状腺・血管等)超音波 6,498
頭頸部エコー 頭・頸部超音波 2,461
心エコー 経胸壁心臓超音波 11,576
経食道心超音波 842
運動負荷心超音波 17
薬物負荷心超音波 5
心電図 安静心電図 36,611
肺機能 肺機能 4,425
聴力平衡・神経機能 聴力平衡機能 6,955
神経機能検査 1,918
術中神経モニタリング 137
脳波 脳波 1,559
輸血 ABO血液型検査 17,731
抗体スクリーニング検査 19,816
輸血製剤 自己血 351
赤血球濃厚液 19,771
新鮮凍結血漿 10,906
濃厚血小板 27,880
アルブミン製剤 1,350
微生物 一般細菌検査 131,548
結核検査 4,638
微生物迅速検査 4,005
微生物遺伝子検査 10,406
感染症スクリーニング検査 107,097
細胞遺伝子 フローサイトメトリー 2,684
細胞遺伝子検査 4,178
病理 組織検査 15,485
細胞診検査 10,420
電子顕微鏡検査 37
免疫抗体・遺伝子検査 5,379
解剖件数 31
検体検査 生化学検査 4,829,979
免疫検査 223,077
血液検査 784,205
尿一般検査 108,638
緊急検査 緊急検査 800,846
治験・臨床研究 取扱い件数 959

各種認定資格取得者数
部門名称 項目 件数
病理 国際細胞検査士 3名
細胞検査士 6名
二級臨床検査士 5名
認定病理検査技師 2名
輸血 認定輸血検査技師 2名
細胞治療認定管理師 5名
生理検査 超音波検査士(消化器) 13名
超音波検査士(循環器) 13名
超音波検査士(体表臓器) 5名
超音波検査士(血管) 1名
超音波検査士(泌尿器) 1名
超音波検査士(健診) 1名
超音波指導検査士(腹部) 1名
二級臨床検査士(呼吸生理学) 1名
認定技術師(術中脳脊髄モニタリング) 2名
専門技術師(神経伝導) 1名
専門技術師(脳波) 1名
認定脳神経超音波検査士 2名
血管診療技師 2名
フットケア指導士 1名
微生物 認定臨床微生物検査技師 2名
感染制御認定微生物検査技師 2名
二級臨床検査士(微生物) 2名
検体検査 認定血液検査技師 6名
認定一般検査技師 2名
認定救急検査技師 1名
緊急臨床検査士 13名
二級臨床検査士(臨床化学) 4名
二級臨床検査士(血液学) 11名
二級臨床検査士(免疫血清学) 2名
その他 NST専門臨床検査技師 1名
認定クリニカル・トキシコロジスト 1名
一般毒物劇物取扱者 4名
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者 3名
有機溶剤作業主任者 3名
エックス線作業主任者 1名
第2種ME技術者 1名
臓器移植院内コーディネータ 3名
医用質量分析認定士 1名
医療情報技師 1名

所属学会
日本医真菌学会 日本医療情報学会 日本化学療法学会
日本環境感染学会 日本感染症学会 日本肝臓学会
日本検査血液学会 日本循環器病学会 日本静脈経腸栄養学会
日本心エコー図学会 日本神経生理学会 日本性感染症学会
日本造血細胞移植学会 日本組織細胞化学会 日本中毒学会
日本超音波医学会 日本超音波検査学会 日本聴覚医学会
日本フットケア学会 日本分子生物学会 日本脈管学会
日本輸血細胞治療学会 日本臨床衛生検査技師会 日本臨床化学学会
日本臨床救急医学会 日本臨床検査医学会 日本臨床細胞学会
日本臨床生理学会 日本臨床微生物学会 脳神経超音波学会
病理技術研究会 日本臨床検査自動化学会  

採用情報

神戸市民病院機構には4病院があり、このうち臨床検査技師が業務に従事している部署(臨床検査技術部)がある病院は中央市民病院、西市民病院、西神戸医療センターの3病院になります。各病院の臨床検査技術部では、検体検査(一般検査、血液検査、生化学検査、免疫・血清検査)は検査センターに院内で業務委託するブランチラボ方式を採用し、輸血検査、微生物検査、病理検査、生理検査(心電図、超音波、肺機能、脳波、筋電図、聴力検査など)および採血業務は院内の職員で担当しています。これらの検査は “信頼されるデータを迅速に” をモットーとし、臨床へ検査情報を提供することで診断や治療の一端を担っています。また、臨床支援として、感染管理チーム (ICT) や栄養サポートチーム (NST)、糖尿病療養指導チームなどの一員としてチーム医療にも取り組んでいます。

教育体制

研修プラグラムについては、新規採用者に対してオリエンテーションや新規採用者研修を、また日当直業務(特に輸血)、採血業務の集中研修を受けていただきます。部署に配属後は、各部署の研修プログラムに基づいて教育、トレーニングを受けていただきます。キャリアアップとしては、規定の在職期間がきましたら、試験による主任選考を受験することができます。主任になりましたら担当者としての業務に加え、係・チーム等を一定取りまとめる役割を担ってもらいます。スキルアップの一つとして、資格取得助成制度があります。各専門分野の資格取得を目指す職員に対しては、資格取得助成制度を申請することで受験にかかる費用の支援を受けることができます。

はたらく環境について

勤務時間は8時45分から17時30分までの勤務で、休暇には年次有給休暇やリフレッシュ休暇、誕生日休暇があります。また、女性には産前産後休暇や育児休暇、子どもの看病をしなければならないときには看護休暇が取得できます。男性にも妻の出産のときに出産補助休暇や育児参加休暇が取得できます。このように、結婚してお母さん、お父さんになっても働きやすい環境が整っています。

業務については、マニュアルなどがしっかりしていて、一人でできるようになるまでに先輩方にしっかり確認してもらえます。わからないことがあれば先輩方がしっかり教えてくれるなど気にかけてもらえる雰囲気があります。また、学会発表で発表しようとすると先輩方や医師の先生方もしっかりとサポートしてくれます。

先輩からのメッセージ

  • 周囲の状況を見て、自分のできることを判断し、臨機応変に行動することを意識して頑張っています。
  • 学生時代に勉強したことの他にも様々な検査法が出てくるし、先生とのコミュニケーション(電話報告)などをしなければならないので、そういった点を意識して頑張っています。
  • 資格取得のために働きながらの試験勉強は大変でしたが、さまざまな症例を経験できるので勉強になりました。また、先輩方の指導もあるので、安心して試験勉強ができます。
  • 超音波検査では医師の先生方と検査を行うことで、検査所見の確認をしてもらったり、コメントを頂いたり、ディスカッションもしてくださるので勉強になります。