アルツハイマー病による軽度認知障害または認知症の新薬レカネマブ(レケンビ®)について

 新しい作用機序を持つアルツハイマー病治療薬であるレカネマブ(販売名:レケンビ®)が、2023年12月20日に発売となりました。当院でもレカネマブ治療を対象とした、レカネマブ外来予約枠を1月9日より設けます。
この薬剤は厚生労働省が定めた最適使用推進ガイドライン(外部リンク)に従って使用することとなっており、当院ではこの薬を安全・適正に使用できるよう体制を整えています。受診からレカネマブ(レケンビ®)投与までは以下のような流れとなります。

1.外来予約

 レカネマブ(レケンビ®)の投与対象はアルツハイマー病による軽度認知障害または軽症認知症に限定されます。すなわち、アルツハイマー病以外による認知症の方や、アルツハイマー病による認知症であっても進行している方は、投与対象外と判定される場合があります。原則、かかりつけ医の紹介によりレカネマブ外来の予約を取っていただきます。病状が進行していると思われる場合は、脳神経内科もしくは精神神経科の初診外来を受診していただきます。初回の外来でスクリーニング検査を行い、レカネマブ(レケンビ®)投与対象となる可能性がある方は次のステップにすすみます。

2.レカネマブ(レケンビ®)投与までの外来・検査の流れ

 レカネマブ(レケンビ®)の投与対象になるかどうかは臨床診断に加えて、様々な検査によって厳格に規定されています。特に重要なのが、脳へのアミロイドβの蓄積が認められることと、副作用リスクの高い特有の脳MRIの異常がないことです。過去にMRI検査を施行したことがあっても、改めて定められた撮影条件による脳MRI検査を受けていただきます。脳MRI検査で除外規定に当てはまらなかった場合は、脳血流シンチグラフィーなどの検査を経て、アミロイドβの蓄積を証明する検査として、アミロイドPET検査と腰椎穿刺によるバイオマーカー検査どちらか一方を受けていただきます。専門医がこれらの検査を、それまでの検査結果等と合わせ、総合的に検討し、レカネマブ(レケンビ®)の投与の対象に該当するか否かを判断します。投与対象となった場合、外来で投与を開始します。

3.レカネマブ(レケンビ®)の投与

 2週間に一度来院していただき、静脈点滴で薬剤を投与します。点滴にかかる時間は約1時間半です。初回投与時は、投与終了から1時間程度、観察のため待機していただきます。投与後に発熱や関節の痛みといったアレルギー反応が出る場合がありますので、解熱鎮痛剤を処方します。また、投与開始から半年程度は脳の腫れや脳の出血などの副反応を生じる可能性があるため、定期的な脳MRI検査が必要です。

以上が大まかな診療の流れとなります。

4. 外来予約枠

脳神経内科 月曜~金曜 午前
精神・神経科 月曜~金曜 午前   

5. 注意事項

  • レカネマブ初診外来は脳神経内科及び精神・神経科でそれぞれ行います。ご予約時には診療科をご指定下さい。なお、脳神経内科及び精神・神経科のどちらにご紹介いただいても、検査や治療内容は原則同じとなります。
  • MMSEは直近3か月以内の評価をお願いいたします。
  • MMSE 21点以下はレカネマブ投与の対象外となります。MMSE 21点以下で当院の受診を希望される場合は、通常の初診外来へご紹介をお願いいたします。
  • MMSE未実施の場合は、脳神経内科及び精神・神経科の初診外来へのご紹介をお願いいたします。
  • MRI検査を実施されている場合は、画像データのご準備もお願いいたします。
  • 受診当日は必ず患者さんの普段の状態をご存じのご家族と一緒に受診していただくようにご案内下さい。
FAX予約・お問い合わせ先

地域医療連携センター TEL:078-302-6031   FAX:078-302-2251