急性期の早期リハビリから生活期まで幅広く活用可能なワイヤレス多機能脳酸素モニターの製品開発
この度、神戸市立医療センター中央市民病院は、新潟医療福祉大学、株式会社アステムと共同で、リハビリを受ける患者の頭部に装着し、脳の酸素状態を“見える化”できる、ワイヤレス脳酸素モニター装置「ブロス(BROS(Brain Regional Oxygen Sensor))」(以下「ブロス」)を世界に先駆けて開発しました(医療機器認証済・特許出願中・意匠登録済)。
「ブロス」の装着により、リアルタイムで脳組織酸素飽和度(rSO2)が確認できるようになり、医療現場では、患者に最適なリハビリを安全に積極的に実施できるようになります。また、脳の酸素状態を評価できることで、将来の認知機能低下リスクの把握や認知症予防への応用も期待されています。
詳しくはこちらのホームページ(https://www.irc-web.co.jp/bros)をご確認ください。
計測項目
- 組織酸素飽和度(rSO2)
- 酸素化ヘモグロビン変化量(指標)(ΔO2HbI)
- 脱酸素化ヘモグロビン変化量(指標)(ΔHHbI)
- 総ヘモグロビン変化量(指標)(ΔTHbI)
- 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)
- 脈拍(PR)
- 加速度(X/Y/Z軸)
開発までの経緯
中央市民病院は神戸市の基幹病院として急性期医療における受け入れ体制を整えており、集中治療室などで治療を受ける患者に対して、できる限り早期にリハビリ介入を行っています。これは、その後の機能回復を大きく左右する重要なポイントとなっています。その一方で、リハビリ中の脳の酸素状態を客観的に評価する手段は限られていたため、リハビリ中の脳組織酸素飽和度を、外見上の身体的所見や主観的評価に頼らざるを得ないケースもあり、脳酸素モニターの研究開発につながりました。
本開発を進めるにあたり、中央市民病院は、神戸医療産業都市研究開発補助金を獲得し、この補助金を原資として、新潟医療福祉大学と連携し、急性期の安全性・離床基準・認知症予防・運動処方の革新といった科学的根拠を積み重ねました。また、株式会社アステムを主任研究者として、経済産業省「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」に採択され、3者による共同開発を実施しました。
製品の紹介
- 販売名
- ブロス(BROS)
- 製造販売業者/販売業者
- 株式会社アステム/インターリハ株式会社
- 一般的名称
- 機能検査オキシメータ、パルスオキシメータ
- クラス分類
- 管理医療機器/特定保守管理医療機器 クラスII
- 医療機器認証番号
- 307ADBZX00016000
- 特長
- 複数の医療機器の測定機能を一つにし、ワイヤレス頭部装着型とした。リアルタイムに脳循環の状態などを7つの計測項目で把握可能。歩行練習時や離床時にも使用できる。
今後の予定
本製品は、3者の共同申請により、医療機器認証を取得し、国内で初めて医療現場でリハビリ中に使用できるものとなりました。
現在は、株式会社アステムが、今秋の販売開始に向けて準備を進めています。今後は各学会で最新の知見や機器の有用性を発信するとともに、展示ブースでのデモンストレーションも積極的に行う予定です。
問い合わせ先
- 研究・臨床応用に関する問い合わせ
神戸市立医療センター中央市民病院 リハビリテーション技術部
TEL:078-302-4408(直通) iwaken@kcho.jp
- 製造に関する問い合わせ
株式会社アステム(製造担当)
TEL: 044-833-8453 info@astem-jp.com
- 製品に関する問い合わせ
インターリハ株式会社 (販売担当)
TEL: 03-5829-8035 irc.planning@irc-web.co.jp