病院長ご挨拶
当院は神戸市の基幹病院として
市民の生命と健康を守ることを目的に、
患者さん中心の質の高い医療を引き続き
提供しています。
神戸市立医療センター中央市民病院
病院長
木原 康樹
当院は神戸市の基幹総合病院として、地域住民の生命と健康を守ることを専らに、高度で統合的な医療を提供しています。大正13年の開設以来今年で100年を迎えました。神戸市民のご支援に支えられて、私たちはさらに高い医療水準を求め日々努力を重ねています。
1.
救急医療の提供
365日24時間休むことない当院の救命救急センターは、神戸市民最後の砦の呼称に相応しく的確で断らない医療の実践に邁進しています。救急部門は単なる応急処置を提供する場に止まらず、関連診療科が一体となり、病因を解明するとともに、根本治療をめざし高度医療や地域連携に展開していく体制を構築しています。その実績は、厚生労働省救命救急センター評価において平成26年より10年連続で全国1位にランクされています。
2.
高度医療の提供
高度医療を行う目的は、患者身体への負担軽減と安全確保であります。そのためには最先端医療機器のみならず、豊富な実績に裏打ちされた高い技術力と医療者間のチームワークが求められます。当院では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」2台及び国産の「hinotoriTM」1台を擁するロボット手術センターにおいて、泌尿器・婦人科・消化器・呼吸器疾患の低侵襲治療が展開されており、その活動は日々拡大しております。ハイブリッド手術室では、血管内カテーテル手技によるTAVI(経管的大動脈弁形成術)・MitraClip(同僧帽弁形成術)・WATCHMAN(同左心耳閉鎖術)、更には出血性脳卒中に対する緊急カテーテル治療等が日夜実施されており、その質量で地域をリードしています。熟達した心臓血管外科医は小手術創から冠動脈狭窄部バイパス術や僧帽弁修復術を実践しています。New York Times誌 World‘s Best Specialized Hospitalsにおいて当院循環器内科は2021年以降3年連続で世界トップ250病院にランクインしました。新たな領域への診療提供も欠かせません。2021年4月にはリウマチ・膠原病内科を立ち上げ、進展著しい同領域薬物療法の積極的導入を開始しました。また同年には総合聴覚センターを全国で初めて開設し、社会教育問題である小児難聴医療へ人工内耳植え込み術等による挑戦を始めています。
3.
統合的がん診療の提供
がんは国民の健康や生活に対する大きな脅威です。中高年層をターゲットにするため、他の持病に合併する場合や重複がんを経験される場合も少なくありません。患者個人の病態や意向に沿って複合的で統合された治療システムが求められます。当院は、従来の外科治療・化学療法・放射線治療・緩和医療を統合し、その個人に最も相応しいがん治療の提供ができる体制整備を進めています。従来の地域医療連携センターを基盤に総合患者支援センターを整備しております。地域医療機関との連携を更に推進し、緊急時の対応から在宅生活の維持までを視野に入れ、満足度の高い医療提供を進めます。当院は地域がん診療連携拠点病院であり、がん遺伝子パネル検査診断を運用しています。血液内科では2021年より生体医療製剤キムリアやプレヤンジなどのCAR-T療法を導入し、がん免疫療法を展開しています。日本経済新聞(2021年8月31日付)実力病院調査「肺がん」においては、その長期予後成績が関西地域医療機関の第1位にランクされました。
4.
災害に対処し地域に健康と安全を提供
当院は災害拠点病院に指定されており、阪神淡路大震災の教訓をもとにBCPを策定し、非常時への体制・対策を整備しています。昨今の新型コロナウイルス感染症パンデミックも広義の災害と考えられますが、当院は第1種・第2種感染症指定病院として2020年3月より重症患者の収容と集中治療を提供しています。2020年11月には全国医療機関にさきがけて重症感染症患者専用臨時病棟36床を開設し、2024年8月現在では3000名を超える重症患者の診療を実施してきました。当院は総合周産期母子医療センターとしてMFICU6床・NICU11床・GCU12床を運用しており、妊娠母体に安全を保障し生まれた新生児の生育に万全を期しています。また、精神科身体合併症病床(MPU)8床の運用も行っています。
5.
新たな医療知見の創出と人材の育成・提供
医学においては日々新たな知見が生まれ従来の説を覆して行くダイナミズムが働いており、それこそが医療を進める原動力です。その躍動に触発されることは医療者の大きな喜びであり、同時に有能な若者を医療に惹きつける重要な因子でもあります。当院は独自の臨床研究推進センターを擁し、患者の理解と同意に基づき数多くの治験・臨床研究等を率先して実施しています。それら学術活動による当院からの情報発信や知財の創出は、神戸医療産業都市構想の一翼を担っています。臨床研究活動の充実は、教育部・臨床研修センターを中心に整備された卒後研修制度と相俟って多くの優秀な臨床研修医を集めています。将来医療の中核を担う人材を育成していることは、他の医療機関の追随を許さない当院の大きな誇りであります。
略歴
- 1973-1979年
- 京都大学医学部
- 1982-1986年
- 京都大学大学院医学研究科博士課程内科学専攻
- 1986-1989年
- ハーバード大学医学部・ベスイスラエル病院循環器内科
- 1989-2005年
- 富山医科薬科大学助手、京都大学病院助手、
京都大学大学院講師 - 2005-2008年
- 神戸市立中央市民病院循環器内科部長
- 2008-2020年
- 広島大学大学院循環器内科学教授、
広島大学医学部長・副学長歴任 - 2020年-
- 神戸市立医療センター中央市民病院長(第16代)
所属学会、 専門資格等 |
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併任等 |
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