各診療科部長・
部門長のご挨拶
「これまでとこれから」
神戸市立医療センター中央市民病院の100周年にあたり、
「これまでとこれから」をテーマにした各診療科部長・部門長からのご挨拶です。
本ページの内容は3月1日現在のものです。
診療科
部門
循環器内科
神戸市立医療センター中央市民病院
循環器内科部長
古川 裕
神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科は、神戸市および神戸医療産業都市の臨床の核となる病院として斯くあるべき循環器診療を提供することを念頭に発展してきました。長い歴史を持つ心エコー図を用いた臨床と臨床研究は以前から国内外でその名を知られた存在でしたが、循環器診療の変遷とともに、不整脈診療や冠動脈CT、心臓MRIなど新たに開発されてきた画像診断や大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症といった弁膜症に対するカテーテル治療などの先進医療・高度医療を、それぞれいち早く導入し、神戸医療圏の患者さんに提供してきました。もちろん、その間も救急部や他診療科とともに神戸の循環器救急医療を支え続けてきています。これからも、各時代おいて、地域や社会が必要とする循環器診療を切れ間なく続けていくこと、臨床研究を介して、より広く医学・医療の発展にも寄与していくことが、当科が果たすべき責務であると考えています。
糖尿病・内分泌内科
神戸市立医療センター中央市民病院
糖尿病・内分泌内科部長
松岡 直樹
糖尿病内科は、救急疾患や手術・化学療法などで他科に入院している患者さんの糖尿病ケアを主に担当し、多職種と協力して治療がスムーズに進むように心がけています。地域の先生方からの治療困難症例や高血糖・低血糖の救急搬送症例も受け入れ、状態が安定したら逆紹介を行い病診連携を積極的に進めています。
内分泌内科は、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓、性腺などの内分泌臓器に生じた疾患を対象としており、内分泌専門医が在籍している中核病院として地域の先生方からの紹介や専門医不在の医療機関から内分泌緊急症の転送を受け入れています。内分泌臓器に発症する腫瘍は、外科的な治療が必要となることが多く、関連診療科と協力して治療に取り組んでいます。
糖尿病内分泌領域においても医療の進歩は著しく、当科では最新のエビデンスに基づいて、地域の先生方と連携し、患者さんに最適な医療を提供できるように努めていきたいと考えています。
腎臓内科
神戸市立医療センター中央市民病院
腎臓内科部長
吉本 明弘
腎臓内科では尿検査異常(蛋白尿、血尿)から腎不全、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)まで、「腎から全身を診る」をモットーに腎臓に関わる様々な症状の診療にあたっています。2011年には新病院に初めて透析センターを設立し、以後、高度先端医療を行える腎臓・血液浄化センターとしての機能を整備・拡充してきました。また、患者さんにより一層腎臓病を理解していただくために、管理栄養士、薬剤師、看護師、検査技師、臨床工学技士らとチーム医療を実践しています。さらに近年、腎不全外科(シャント手術、シャントPTA)分野やOnco-nephrology・Critical Care Nephrology分野の充実にも力を注いでいます。また、腎臓は構造が複雑で様々な機能を有していることからこれまで創薬が困難でしたが、徐々に腎疾患の病態生理が解明されてきた結果、最近ではこの領域における創薬が活発に行われ、腎臓病の治療法が大きく変わろうとしています。今後はAIを用いることでより正確な腎不全の進行予測や腎炎の診断などが可能となり、さらに再生医療や細胞治療の臨床応用も期待されます。これからも患者さんの期待に応え、最高水準で最善の医療を提供できるように、地域の先生方とともに腎疾患診療に努めていきたいと思います。
脳神経内科
神戸市立医療センター中央市民病院
脳神経内科部長
川本 未知
脳神経内科は頭痛、手足のしびれ、ふるえ、認知症といったよくある疾患から、脳卒中、けいれん重積、脳炎などの神経救急、パーキンソン病やALS、多発性硬化症、脊髄小脳変性症などの神経難病、筋疾患や末梢神経障害など多彩な領域を専門的に診療する診療科です。当科ではこれらすべての脳神経疾患に最先端かつ最良の医療が提供できる国内有数の脳神経内科として診療して参りました。また、質の高い人材を確保し、教育をすることも大切にしており、多数の優秀な専門医が当科から巣立っています。
これからも診療や教育を軸としながら、細胞治療や遺伝子治療にも対応できる体制をとり、多くの治験や国内・海外との共同研究に取り組み、治療にとどまらず神経疾患の予防や早期発見につながるようなネットワークを構築し、その拠点施設としての責任を担いたいと考えています。
消化器内科
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長
兼消化器内科部長
猪熊 哲朗
当科が、総合内科から「消化器内科」として独立したのは、昭和49年のことです。その後、平成23年に現病院に移転し、内視鏡センターも一新され、800㎡を越えるスペースに7室の検査室、2室の透視室、広いリカバリースペースを設けました。現在は、ほぼ全例でセデーション(鎮静)を使用し、安心・安楽な検査を提供することで、年間約18000件の検査を実施しています。
医療の進歩は目覚ましく、消化器領域でも新たな技術は次々と導入されています。内視鏡初のAI診断ソフトであるEndo BRAIN-EYEを全国の病院に先駆けて導入し、大腸ポリープの検出率向上に活用しています。治療面では、大腸ポリープを積極的に切除するため、Cold Polypectomyを導入し、年間2000件を超えるポリープ切除をおこなっています。超高齢化社会の日本においては、今後も、癌患者の増加が予想されています。当院では、関連診療科が協力してシームレスで最先端のがん診療を受けることが可能です。
これまでもこれからも、神戸市民の生命と健康を守るために、我々は日々研鑽を積んで参ります。
呼吸器内科
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長
兼呼吸器内科部長
富井 啓介
当科のスタッフは京大胸部疾患研究所(当時)からの派遣が当初主体でしが、当院の研修医制度(レジデント)設立後は当院で研修を受けた医師が主たるスタッフとなり、結核療養所だった玉津病院(廃院)、新規開院した西神戸医療センター、先端医療センターなどへも多数派遣され、神戸市全体の呼吸器診療を支え続けてきました。阪神・淡路大震災時は多発した「避難所肺炎」やインフルエンザなどの院外診療にもあたり、また本邦初のエイズ患者と新型インフルエンザ患者、並びに神戸初の新型コロナ患者も担当いたしました。近年では肺癌や間質性肺疾患に対して他診療科や多職種スタッフとのチーム医療により関西圏で有数の診療実績を誇っています。臨床研究では吸入ステロイド導入が喘息死を激減させたことを世界に先駆けて発表したり、多施設共同研究の主導で世界初の在宅ハイフローセラピー保険承認を得るなどの成果も挙げました。これまで同様今後もさらに一層呼吸器分野でのリーディングホスピタルとして輝き続けられるよう尽力していきます。
血液内科
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長
兼血液内科部長
石川 隆之
当科では良性血液疾患と、急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器悪性腫瘍を担当します。自家および同種造血幹細胞移植にも従来から積極的に取り組んで来ており、当科の移植件数は日本有数の施設となっております。近年、造血器腫瘍の治療に多くの分子標的薬剤が用いられるようになりました。特に悪性リンパ腫や急性リンパ性白血病に対してCAR-T療法という画期的な治療法が導入され、本邦でも2019年3月より保険承認されました。当院では早期導入を目指し、薬剤部・輸血検査管理室・細胞遺伝子検査室・臨床工学技術部と連携して運用体制を構築した結果、市中病院としてはかなり早く、2020年11月に施設認定されています。また、治験や臨床試験にも積極的に取り組んでおり、難治性の症例にも対応しております。今後も、引き続き、世界水準の治療を安全かつ確実にお届けすることを使命として、尽力いたします。
腫瘍内科
神戸市立医療センター中央市民病院
腫瘍内科部長
安井 久晃
腫瘍内科は、2011年の病院の新築・移転を機に設置された「がんセンター」の中核診療科として開設され、外来化学療法を中心とした診療を行ってきました。地域がん診療連携拠点病院として、診断から治療・緩和ケア・地域連携まで、関連部門の協力体制のもとでがん診療を実施できることが、総合病院である当院の強みです。単に延命を目指すだけでなく、患者さんがその人らしい生活を送ることができるよう多職種で支えるサポーティブケアを重視しています。
当科は、がん治療の進歩に貢献しその恩恵をいち早く患者さんに届けるため、ゲノム医療をはじめ、新しい治療法の研究開発(治験や臨床試験)に一貫して取り組んできました。医療スタッフと患者さんが治療方針を一緒に決定するというプロセスを大切にし、最良の治療を納得して受けていただけるようこれからも努めてまいります。
緩和ケア内科
神戸市立医療センター中央市民病院
緩和ケア内科部長代行
西本 哲郎
緩和ケア内科は2012年7月に新設された診療科です。2012年は第2期がん対策推進基本計画の重点課題として「がんと診断されたときからの緩和ケアの推進」が掲げられた年であり、がんを中心とした急性期治療と併行して緩和ケアチームの介入を行い、苦痛の緩和や療養支援のサポートを行って参りました。その後、がん対策基本推進計画の改編とともにがん診療における緩和ケアの位置づけも変化し、がんの治療期だけでなく「がんとの共生」においても必要な医療とされるようになりました。当院では2019年に緩和ケアセンターを設立し、地域の医療機関あるいは介護施設と協働することで、疾患に対する治療経過という時間軸だけではなく、治療をする場所という地域の点においても、切れ目のない緩和ケアを提供できるように努めています。また、緩和ケアは生命を脅かす重篤な疾患をもつ患者さんやそのご家族に提供される医療であり、現在は救急・集中治療の領域での緩和ケア介入も強化しております。緩和ケアを必要とする全ての方のLife(生命、くらし、人生)が豊かになるように、緩和ケアを通じて貢献して参りたいと考えております。
総合内科
神戸市立医療センター中央市民病院
総合内科部長
西岡 弘晶
当科は2011年に総合診療科として新設され、2016年に総合内科へと名称変更しました。我が国は超高齢社会となり、複数の疾患を同時に抱えていたり、多臓器に問題があったり、心理社会的問題が絡み合っている患者さんが増え、一つ一つの問題を各々の専門医療によって解決しようとしてもうまくいかないことが多くなりました。そのような場合は問題を総合的にとらえ、治療の順序やバランスを決めることが必要になります。総合内科では、臓器別の枠にとらわれず、内科系の疾患を中心に幅広く外来・入院診療を行い、他診療科とも緊密に連携をとりながら、患者さんやご家族にとって最善の医療を提供できるよう心がけています。また良医育成も重要な任務と考え、医学生や若手医師の臨床教育にも積極的に取り組んでいます。当科はこれからもその時代に求められる医療の一端を担えるよう、社会のニーズに合わせて変化することを恐れず、general mindを忘れず、精進していく所存です。
精神・神経科
神戸市立医療センター中央市民病院
精神・神経科部長
松石 邦隆
これまで精神・神経科は古くは一般病棟を利用したうつ病の短期休養入院と一般精神科外来から始まり、2009年にせん妄ケアチームを立ち上げ(2012年には精神科リエゾンチームに改名)、2016年に精神科身体合併症病棟(MPU)を立ち上げるなど発展を続けてきました。MPUでは我々スタッフは、様々な精神症状を呈する患者さんが手厚い看護によって落ち着きを取り戻していくといった貴重な経験を積ませていただいております。外来診療では一般精神科外来やコンサルテーションリエゾンに加えて、ここ数年間は分子イメージング研究部の強力なサポートを得て認知症治療薬の治験にも力を注いできました。新たな認知症治療薬の導入もあり、これらの経験を生かし超高齢化社会の中で認知症診療にも力を入れていこうと考えております。
膠原病・リウマチ内科
神戸市立医療センター中央市民病院
膠原病・リウマチ内科部長
大村 浩一郎
当科は2021年に新設された診療科で、関節リウマチや稀少疾患である膠原病の診療を行う専門診療科です。「患者さんに優しい世界最高レベルの専門診療を提供する」をキャッチフレーズに、世界の標準治療を確認しながら、それ以上に個々の患者の病態を考えながら治療を組み立てていく個別化医療を目指しています。また、治療だけに目を奪われず患者の社会背景や考え方にも配慮した全人的医療を忘れないように心掛けています。稀少疾患の免疫抑制療法を行う我々の使命は決して急性期医療だけではなく、その患者の一生に責任を持たなくてはなりません。救急を中心とした急性期病院でありながら、個々の患者を大切にする医療に我々は取り組みます。
外科・移植外科
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長
兼外科・移植外科部長
貝原 聡
神戸市の基幹病院である当院の外科では、市民の皆様に質の高く安心した医療を提供できるよう、様々な事に取り組んでいます。なかでも、常に最新の知識と技術を取り入れることで高度な癌治療を安全に提供すること、救急医療の最後の砦(とりで)という意識のもと日中/夜間を問わず24時間/365日体制で緊急手術が行える体制を整えること、に力を注いで参りました。医学の進歩は急速で次の100年間にどのような発展を遂げるか想像出来ませんが、今後も市民の皆様に確かな技術による安全かつ質の高い外科治療を提供することが我々の使命であることには変わりありません。この志を忘れることなく成長し続けることで、今後も市民の皆様が安心して暮らせる街づくりに貢献することをお約束いたします。引き続きご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
乳腺外科
神戸市立医療センター中央市民病院
乳腺外科部長
鈴木 栄治
- 2000年
- Perouらによるintrinsic subtype概念の確立
これにより乳がん悪性度/予後と関連する分子の解明がなされる - 2001年
- HER2分子に対する分子標的治療の開発
- 2004年
- 多遺伝子アッセイによるホルモン受容体陽性乳がんグループのリスク細分化
これにより化学療法回避(de-escalation)の概念が浸透する - 2017年
- 乳がん再発高リスクグループへのescalationの考え方の浸透
HER2陽性やトリプルネガティブ乳がんへの術前薬物療法でpCR(病理学的完全奏効)を目指すintensiveな加療。pCRが得られなかった際の追加薬物療法。
これからの10年治療効果向上の取り組みは引き続き発展していく一方で、今まで以上に安全、安心、満足がキーワードとなり、毒性軽減、QOL維持、AI技術などを取り入れた自動化への取り組みはより一層注力される。神戸市立医療センター中央市民病院乳腺外科では画像/病理診断、薬剤、形成、看護、遺伝、地域医療、緩和医療分野など多職種チームで乳がん診療の発展に今後も邁進していきます。
心臓血管外科
神戸市立医療センター中央市民病院
心臓血管外科部長
江﨑 二郎
心臓血管外科手術は、多くの疾患に対して、術式が確立し、手術中の臓器の保護方法が確立し、手術の安全性が大きく向上しました。また、大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)、僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁クリップ術(MitraClip)、小開胸での開心術(MICS)など、低侵襲手術が広く行われるようになりました。
今後は、低侵襲手術をより多くの方に行えるように努めていくのと同時に、従来通りの開胸手術・開腹手術においては、より安全性を高め、より手術時間の短縮に努め、身体への負担をできるだけ少なくできるように努めていきたいと存じます。より多くの方に、侵襲の少ない、安全な心臓手術や血管手術を受けていただき、元気になって、元の生活に戻っていただけるように努めたいと存じます。
泌尿器科
神戸市立医療センター中央市民病院
泌尿器科部長
山﨑 俊成
泌尿器科では、排尿、結石、尿路感染といった良性疾患から腎尿路/男性生殖器の悪性疾患まで幅広い疾患を内科的/外科的に扱っており、治療内容も多岐にわたります。2000年以降は泌尿器科診療も大きく変遷し、特にこの10年は日進月歩で新しい治療薬や手術機器が開発され日常診療に導入されました。当科では低侵襲医療として腹腔鏡・ロボット手術の導入と発展に尽力しており、2000年台には開腹手術から腹腔鏡手術へ移行し、2014年のダ・ヴィンチ導入後は10年で泌尿器科の腫瘍手術はほぼ全てロボット支援手術に置き換わり、日本でも有数のロボット手術実施数を誇る施設となっています。2022年より当院でも国産手術支援ロボットであるhinotoriを導入し活用していますが、今後は多種多様なロボットやAIの導入によりこれまで以上に洗練された術式へと改良を進めていく時代が来ると考えられます。泌尿器がんや排尿疾患は高齢になって出てくるものも多いため、超高齢化社会において泌尿器科が果たすべき役割は今後も大きくなると考えています。悪性疾患では早期発見が多くなり、これまで以上に治療選択肢が増えます。また、排尿の問題など良性疾患では普段の生活の質の向上が最も重要な治療目標となります。常に最新の技術や知識に精通し、治療選択肢を増やす努力を続けることはいつの時代も変わりません。これからもそれぞれの患者さんにとって最適な治療を安全に提供できるように努めていきたいと考えています。
脳神経外科
神戸市立医療センター中央市民病院
脳神経外科部長
太田 剛史
当科は、1966年の開設当初から質の高い脳神経外科診療と学術活動を実践してきました。我々は、脳卒中や神経外傷に対する救急診療および脳腫瘍等のあらゆる脳神経外科疾患の治療において、神戸市民に貢献するプロフェッショナルな集団です。
脳神経外科は日進月歩の分野です。我々は、従来の治療を漫然と継続するのではなく、より優れた新たな治療に積極的に取り組む進取果敢な姿勢を持っています。それぞれの疾患や患者さんの状態を考慮し、「あなたの病気をあなたのために治療する」ことを心がけています。
私たちは、次の100年に向けてさらなる発展を続けることを約束します。変わらないのは顔の見える、人間味のある診療です。これまで同様、市民目線で地域の先生方に紹介され、救急隊に選ばれることを目指します。私たちはこれからも、患者さんに寄り添う神戸の脳神経外科であり続けます。
整形外科
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長
兼整形外科部長
安田 義
整形外科では、関節外科、リウマチ外科、脊椎外科、手外科、スポーツ整形など各分野に専門医をそろえて、あらゆる整形外科疾患に対していつでも治療できる体制を整えてきました。当院が「1年365日、24時間、断らない救急医療」をモットーとして掲げていることから、多発外傷、脊椎損傷、切断肢、重症感染症などの3次救急医療にも24時間対応できる体制を整えてきました。さらに、臨床研究にも注力してその成果を臨床に還元できるように努力してきました。
今後さらに高齢者が増加し、運動器疾患を担当する整形外科の医療需要は益々増加すると考えられますので、高齢化により増加する運動器疾患、外傷に対する診療をさらに強化する所存です。また高齢化に伴う介護需要を少しでも減少させるためには運動器疾患の予防が肝要ですので、神戸市の運動器疾患予防の中核となるように診療機能をさらに充実させていく所存です。
形成外科
神戸市立医療センター中央市民病院
形成外科部長
片岡 和哉
形成外科では、身体全身、乳幼児から高齢者まで広く体表面の病変を扱う外科です。唇顎口蓋裂、耳介変形、多合趾症などの体表先天異常、皮膚等の悪性良性腫瘍、頭頚部、乳房などの悪性腫瘍切除後の再建外科、顔面骨骨折、顔面外傷、体表面外傷、熱傷などの外傷、眼険下垂などの変性疾患、褥瘡・難治性潰瘍など、術後の肥厚性瘢痕・ケロイドなど広範な分野を扱う外科です。当科としても、形成外科が一般に扱う分野は網羅しています。来る者は拒まずの方針で全力を挙げて対処しています。
100周年を迎え、AIの発展、IT化の広がりの中、医療を取り巻く環境も大きく変化してきています。形成外科としては、このような時代でも、患者さん、社会への必要度は大きく変わることはないと考えています。今後も、これまでの方針は大きく変えずこのまま進めていきます。手術手技など、より研鑽を積み、より洗練させ、社会の要求に応えていこうと考えています。
産婦人科
神戸市立医療センター中央市民病院
産婦人科部長
青木 卓哉
私は2000年に産婦人科医として当院で研修を開始しました。当時、在籍している医師は10人でしたが、それでも他施設に比べると多くの産婦人科医が配置され、基幹病院として機能していました。現在はより高度な医療が必要とされ、産婦人科医は18人在籍しています。周産期部門では総合周産期母子医療センターの認定を受け、地域の妊婦さんと赤ちゃんの安心と安全を目指して、正常妊娠から合併症妊娠、切迫早産や産後出血などの患者さんをできる限り受け入れています。少子化が進んでいますが、妊娠年齢の上昇などに伴ってハイリスク妊娠は増加しています。今後もNICU(新生児集中治療室)や他の診療科と連携し、安心して出産ができるように努力していきます。
婦人科部門では,腹腔鏡手術やロボット手術といった患者さんへの侵襲が少ない手術が広がり、婦人科がんの薬物治療では、分子標的製剤や遺伝子に関連した薬剤が導入され大きな変化がありました。今後も高度先進医療を積極的に取り入れ、侵襲が少ない治療をさらに推し進めていきます。
呼吸器外科
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長
兼呼吸器外科部長
高橋 豊
呼吸器外科は平成17年に胸部外科(心臓外科)から分かれた、あと少しで二十歳を迎える若い診療科です。この20年で胸腔鏡手術が呼吸器外科領域の標準術式となりました。これまでも家族や自分が受けたいと思う医療の実践を目指していましたが、これからもその目標が変わることはありません。以下の3点に邁進いたします。
- ・真の低侵襲手術
- ロボット支援手術や単孔式胸腔鏡手術を積極的に取り入れてゆくと同時に、手術を受けられる患者さんの体への負担、侵襲が少ない低侵襲胸腔鏡手術を追求してゆきます。
- ・断らない呼吸器外科
- 病院内の連携により他病院では手術を断られるような肺癌手術や救急症例の緊急手術にも積極的に取り組み、病院の総合力を患者さんに還元します。
- ・持続可能な呼吸器外科
- 病院内、科内での連携を重視し、多様性を受け入れ、若手医師、看護師、コメディカルも働きやすい持続可能な呼吸器外科を目指します。
耳鼻咽喉科
神戸市立医療センター中央市民病院
耳鼻咽喉科部長
山本 典生
耳鼻咽喉科は、当院開院時から設置された6つの科のひとつです。開院以来100年間、聴覚、平衡覚、顔面神経、嗅覚、味覚、嚥下、音声などのコミュニケーションや飲食、体平衡に関連した機能の治療、耳鼻咽喉の炎症のコントロール、鼻、咽頭、気管といった気道疾患の治療など多岐にわたり地域の医療に貢献してきました。
特に、鼓室形成術やアブミ骨手術といった聴力改善手術を数多く手がけ、両側高度感音難聴に対する人工内耳手術をこれまで850件以上行い、2021年設立の総合聴覚センターと共に本邦で有数のハイボリュームセンターとして活動しています。
この100年間で、顕微鏡や内視鏡手術、人工内耳の導入などさまざまなイノベーションが耳鼻咽喉科で起こってきました。2024年には根本的治療がないとされていた感音難聴の遺伝子治療の成功も発表されました。当科では過去100年と同様、これからも最新の医療を市民の皆様に届けられるよう努力をしてまいります。
頭頸部外科
神戸市立医療センター中央市民病院
頭頚部外科部長
篠原 尚吾
頭頸部外科は、舌がんや喉頭・咽頭がんなどの頭頸部がん、および甲状腺がんや甲状腺・副甲状腺機能亢進症の外科治療などを専門的に扱うために、2010年に独立した比較的新しい診療科です。外来診療は耳鼻咽喉科と合同で行い、入院診療を専門のスタッフが担当しています。2010年の発足以来専門のスタッフは部長を含め常時2名、耳鼻咽喉科との併任スタッフの力を借りて診療を続けてきましたが、2013年には全国65位の頭頸部がん患者数(病院情報局データより)となり、現在もその患者数を維持しています。
頭頸部がんの治療は近年様々な進歩を遂げ、再発転移症例に対する免疫チェックポイント阻害剤、照射野内の再発や二次癌に対する光免疫療法やボロン中性子捕獲療法(BNCT)など治療の選択肢が多くなってきています。患者さん毎に最適な医療を目指すよう心掛けたいです。
皮膚科
神戸市立医療センター中央市民病院
皮膚科部長
長野 徹
皮膚泌尿器科分離以降、長野 徹 が5代目の部長となり2010年着任いたしました。神戸市・兵庫県の基幹病院として24時間体制でのオンコール対応を維持し現在はスタッフ3名 レジデント3名の体制となっております。
①皮膚良性・悪性腫瘍手術
②潰瘍・壊疽などの循環障害
③自己免疫性水疱症
④膠原病・重症乾癬などの難治性炎症性疾患
⑤急性感染症
⑥重症薬疹
などが入院患者の主たる疾患になっています。
最近10年ほどで皮膚科領域でも様々な変化がありました。特に難治性疾患の代表であった尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、悪性黒色腫も治療の風景は一変いたしました。しかし依然として難治性の湿疹、皮膚炎群の炎症性疾患、皮膚リンパ腫、悪性黒色腫以外の皮膚がんの進行例についてはエビデンスに基づいた治療が確立しておりません。常にアンテナを張り巡らし新しい試みを世界に発信していく必要があります。今後ともご支援・ご指導よろしくお願いいたします。
麻酔科
神戸市立医療センター中央市民病院
麻酔科部長
美馬 裕之
当院麻酔科は中央手術室の麻酔と重症管理を担当するICU(現GICUとEICU)を、病院開設後かなり早期から整備し、病院の移転、人の入れかわりなどを乗り越えて、いまも日々、日本有数の手術件数・管理症例数を維持しています。
手術や集中治療はいまや手術室・ICUの中だけで完結するものではありません。周術期、多職種チームといわれて久しく、また救急ICUでは急性期の緩和という概念もでてきました。野戦病院としての過去を引き継ぎつつ、これからは単なる延命ではない、生の質の充実を目指して、病院のインフラとして横断的な活動に励んでいきたいと思っています。マンパワー不足が大きな足かせになっておりますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
歯科・歯科口腔外科
神戸市立医療センター中央市民病院
歯科・歯科口腔外科部長
谷池 直樹
2024年3月に当院は創立100周年の節目を迎えましたが、前身の市立神戸診療所が大正13年(1924年)に開院された当初から歯科も設置されておりましたので、当科は病院とともにその歴史を刻んできたことになります。開院当初は、地域の歯科医院の数も充足していなかったため、虫歯などのいわゆる一般歯科治療を主体としていたようです。しかしながら、時代の変遷とともに一般歯科治療を担う歯科医院数は増加し、総合病院における歯科の役割も変遷して参りました。現在では、当科は地域の歯科医院では対応困難な口腔外科疾患に特化して診療を行なっております。
節目の100年を迎えましたこの先も、「100年の絆で紡ぐ信頼の医療」をこれからも継続・発展させ、総合病院における歯科口腔外科のより良いあり方を模索しつつ、スタッフ一同で職務を遂行していきたいと考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。
小児科・新生児科
神戸市立医療センター中央市民病院
小児科・新生児科部長
濱畑 啓悟
小児科は臓器や疾患ではなく年齢によって対象を決定する診療科です。そのため様々な臓器や疾患を問わず、「子どもの総合医」としての機能が期待されています。当院の小児科はこれまで長らく小児の総合診療科として神戸市の小児医療の中心的な役割を果たしてきました。2016年に兵庫県立こども病院が移転してからは、より急性期医療に機能を集中し、こども病院と補完的な形で機能分担しています。
近年少子高齢化、格差の拡大が問題視されており、小児科医療にも深刻な影響を与えています。社会における格差の拡大は子どもの間にも貧困問題を顕在化させる一方で、小児虐待の深刻化と言った暗い影響も与えています。
当院には神戸市民の救急の最後の砦として、安全と安心を提供することが期待されています。その機能を今後とも安定して提供する一方で、未来の日本を支える子どもの心身の安全と正常な発達を見守るため、予防医学や心身医学にも力を入れていく方針です。
病理診断科
神戸市立医療センター中央市民病院
病理診断科部長
原 重雄
病理診断業務は時代とともに大きく変遷しています。診断件数についてみると、記録の残っている1980年代~90年代は9,000件前後でしたが、2000年代に入ると10,000件を超えるようになり、現在は約15,000件前後で推移しています。さらに近年では、がんの個別化医療やがん遺伝子パネル検査が臨床現場に導入されたことにより、これまでの病理診断業務に加え、ゲノム検査に関連した新たな業務が大幅に増加していることも特徴です。このような時代背景からも、次世代を担う病理診断医の育成は喫緊の課題であります。当院でこれまで病理診断研修を行った病理専攻医はのべ13名であり、特に専門医機構による現行の専攻医育成システムが2017年度に始まってからは6名となっています。その時代になしうる最高の医療に貢献することを目指し、当科では引き続き人材育成にも力を入れていきたいと思います。
放射線診断科
神戸市立医療センター中央市民病院
放射線診断科部長
安藤 久美子
当院の放射線科の歴史は1936年レントゲン室設置に始まります。1950年放射線射線設立、2003年画像診断・放射線治療科を経て、2012年放射線治療科と放射線診断科になりました。その間、1970年X線透視、1975年核医学、血管造影、1978年CT、1988年MRI、2011年PETCTを導入、2009年にはPACS導入でフィルムレスとなり、2022年には胸部単純写真のAI診断ツールを導入しました。
現在CT装置8台、MRI装置5台、PETCT2台を有し年間おおよそCT52000件、MRI21000件、核医学5000件を読影、IVRは24時間体制で約400件を行っています。
これからも放射線技師、看護師とともに、安全迅速な検査を目指すとともに、日々成長するAIを使いこなし専門性の高い画像診断と、新しいデバイスを適時導入しハイレベルなIVRの提供していきます。
放射線治療科
神戸市立医療センター中央市民病院
放射線治療科部長
小久保 雅樹
放射線治療科は2011年の新病院移転を機に画像診断・放射線治療科からがんに対する放射線治療を専門にする科として独立しました。2017年には隣接する先端医療センター病院の機能を吸収しました。
医療技術の進歩により、手術を行わなくてもがんの根治が得られるようになってきました。当部門では様々な放射線治療機器や治療技術を用いることにより、患者さんの負担の少ない低侵襲医療を提供しています。負担が少ないため、高齢の方や心不全など併存疾患等で手術ができない方でも可能です。ほとんどの患者さんは通院で治療が可能です。既に積極的な抗がん治療を行っていない、在宅診療や訪問診療などの患者さんでも、骨転移の疼痛緩和や腫瘍出血の止血などを目的とした日帰りでの治療が可能です。
今後は、今まで以上に総合病院の利点をいかして他科との連携を重視し、神戸市民のがん治療の砦の一施設として、更なる高精度医療を実施していきます。
救命救急センター・救急部
神戸市立医療センター中央市民病院
救急科部長
有吉 孝一
「葬送のフリーレン」という漫画があります。主人公のフリーレンは冒険隊の一員であるエルフ(妖精)で寿命が千歳を超えるのです。40年ぶりに会った仲間の人間(短命種と呼ばれている)は年老いており、「久しぶりだな~」と感激して懐かしがるのですが、このエルフ(長命種)は見た目も若いままで変わらず冷静に振舞うのです。「つい、こないだ会ったばかりじゃん」と。
阪神・淡路大震災は29年前です。避難所で配給された菓子パン、おにぎりなど炭水化物ばかりの冷たい食事、クラッシュ症候群、肺塞栓、トイレに滞積する排泄物。時を経て令和6年能登半島地震でも、まったく同じことが起きています。災害対応の時間軸はエルフに合わせねばならないと思いました。人間でなく、地球の時間が相手ということです。
救命救急センターは重篤患者対応のみならず地域医療機関、医師会、行政機関との連絡調整、連携推進を行うほか災害時の医療に関する他機関との調整、病院前救護の統括も行います。新型コロナパンデミックは言うまでもなく、今後は南海トラフ地震に向けて、より地域が一丸となって対応する救急・災害医療が求められます。
リハビリテーション科
神戸市立医療センター中央市民病院
リハビリテーション科部長
幸原 伸夫
かつてのリハビリテーションのイメージは脳卒中や骨折の機能回復であったが、近年心疾患、呼吸器疾患、がん、神経難病、ICU患者、大きな手術前後などにその適応が拡大し、病早期からのリハビリテーションが社会復帰への最良の手段の1つと認識されるようになった。このなかで多くの需要に対し、セラピストの数が追いつかないのが大きな課題である。有能な人材の育成はもちろんのこと、今後はロボットやAIを用いた効率の良いリハビリテーションも考えていく必要がある。また、当院のみならず回復期リハビリテーション病院や在宅リハビリテーション、訪問看護ステーション、デイケアなどと連携した「地域全体で患者を支えるリハビリテーション」という流れが定着していくだろう。
看護部
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長・看護部長
藤原 のり子
現在、看護部の職員数は1200名前後(パート含む)で、助産師・看護師・歯科衛生士・看護補助者という職種が、患者さんのケアを行っています。
看護部の理念は、「豊かな感性と高度な専門的知識と技術をもって患者中心の質の高い看護を提供する」です。特に、患者さんの身体的側面を的確にアセスメントし、苦痛を軽減し回復に向けて援助すること、身体面だけではなく精神面や社会的側面をしっかり理解しケアすることに力を注いでいます。また、リンクナース会や委員会などの活動を活発に行っています。それらの活動を通じて看護職全体の知識・技術を向上させ、患者さんのケアに還元しています。
常に、最も患者さんに近い立場の専門職として、住み慣れた地域に一日でも早く戻って生活できるように、多職種と協働しながらチーム医療を提供しています。
薬剤部
神戸市立医療センター中央市民病院
薬剤部部長
室井 延之
私たち薬剤師は、責任をもって安全で効果的な薬物治療の提供に貢献します。調剤室の中はもとより、薬剤師外来、入院前準備センター、救命救急センター、化学療法センター、入院中の病棟薬剤業務、手術室での薬剤業務などの薬物治療のあらゆる場面で、患者さんへの服薬指導から副作用のモニタリングまで継続した薬学的管理を実践しています。そして、投与後の体内動態・反応性、副作用対策に関する研究により薬のプロファイルを科学し、薬の治療効果を高め、副作用を減らす取り組みを進めて安全な薬を育てていきます。さらに、一人一人の患者さんの日常生活を考え、退院後も患者さんが安心して薬物治療を続けられるように、保険薬局とも連携を深め、患者さんの健康をサポートしていきます。
放射線技術部
神戸市立医療センター中央市民病院
放射線技術部技師長
福井 達也
放射線技術部は、専門知識と技術に基づいた放射線診断と放射線治療の診療支援を担う部門です。また、放射線にかかる被ばく管理、危機管理、法律に基づく管理も行っています。
日々進歩、高度化する放射線技術に対応するため、より高度な技術や専門知識が求められますので部門ごとに認定・専門資格取得を進めております。
現在では3D画像を用いることが当たり前になってきています。これからは今以上にAI(人工知能)が進歩し使いこなす必要があると思います。AI技術を有用に使いこなし、臨床の適応を生み出していくための研究と人材育成にも注力していきます。
臨床検査技術部
神戸市立医療センター中央市民病院
臨床検査技術部技師長
川井 順一
「これまで」
医療において、検査結果は診断、治療方針の決定、予後推定に影響を及ぼすことから、検査室には精確な検査結果を提供する能力が問われます。当検査室は、2019年に国際規格であるISO 15189の認定を受けています(下図)。これによって、これまで以上に検査結果の精確性が向上し、良質な検査結果を提供できています。また、チーム医療の必要性が明確化され、臨床検査技師もチーム医療へ積極的に参画し、患者本位、患者中心の医療を提供しています。
「これから」
団魂の世代が高齢者となる2040 年の課題である労働人口の減少を補うために、人工知能 (AI:Artificial Intelligence) などのテクノロジーを活用して労働の自動化を進める必要があります。また、神戸市4病院の検査データの標準化により、複数の病院で検査データを活用できる仕組みを構築し、神戸市民への地域一体となった医療の提供を目指します。
臨床工学技術部
神戸市立医療センター中央市民病院
臨床工学技術部技士長
坂地 一朗
1997年に2名が配属され、血液浄化、CRRT、人工呼吸器の点検や機器管理を担当することから始まりました。その後担当業務は拡大して、現在では31名で業務を行っています。救急・映像医学部門ではIVRセンターでアブレーションやカテーテル治療業務、E-ICU/CCU・救急病棟での医療機器の管理業務。手術部門では人工心肺業務やカテーテル治療業務、da Vinci やhinotori等手術支援ロボットを介した診療支援。臨床支援技術部門では人工呼吸器、内視鏡、植え込みデバイス関連業務。集中治療・血液浄化部門では血液浄化や細胞治療とG-ICU/G-HCUでの医療機器の管理業務。中央医療機器管理部門では院内全体の機器の点検・管理やトラブル対応を担当しています。このように100年のうちの27年間ですが病院全体に高度で安全・安心な臨床支援を行うようなりました。これからは、これまでに蓄積した知識や技術、経験をもとに、医療安全の向上や経営支援、医療機器の開発に向けて取り組みを進めたいと考えています。
リハビリテーション技術部
神戸市立医療センター中央市民病院
技師長代行
酒井 英樹
神戸市立医療センター中央市民病院
技師長代行
岩田 健太郎
日本のリハビリテーション医療の歴史は浅く、社会の変化や技術の進歩と共にその役割や方法が進化し続けています。過去10年で、当院のリハビリテーション部門は17名から90名へと大幅に拡張しました。この間、緊急性の高い患者さんへの迅速な対応、多職種連携による手厚いリハビリテーションを通じて、数多くの患者さんの命の回復を支えてきました。これからは、先端技術の導入や地域医療との緊密な連携、専門人材の育成を進めることで、リハビリテーション医療の新境地を切り開いていきます。患者さんの早期回復だけでなく、急性期から生活期まで、より広範囲にわたる連続的なサポートで、患者さん一人ひとりのニーズに応える持続可能なリハビリテーション体制を構築し、長期的な健康維持への貢献を目指します。歴史が浅い職種であるからこそ、多くの若いスタッフが活躍しており、これまでの成果を基に未来への発展を目指し、積極的に取り組んでまいります。
栄養管理部
神戸市立医療センター中央市民病院
栄養管理部副部長
岩本 昌子
日本人を取り巻く栄養の問題はこの20年ほどで大きく変化しました。昔は「食の欧米化」による過食や活動量の低下が生活習慣病の大きな原因だったとされ、とにかく「食べない」ように栄養指導をすることが殆どでした。しかし、超高齢化社会を迎えた現在、フレイル・サルコペニアや嚥下障害、がんなどの治療に伴う低栄養に対する栄養管理の重要性が高まり、いかに「食事・栄養を摂る」かという指導や介入にシフトしてきています。また、急性期の患者に対する栄養療法が必須になるなど、ここ数回の診療報酬改定で栄養に関する事項が新設・改定され、管理栄養士も医療従事者として責任や技術をもって対応することが求められています。栄養療法はどの患者にとっても大切な治療の一部です。すべての方々に適した栄養療法を提供できるよう、今後も管理栄養士は一丸となって一層努力していきたいと考えています。
臨床研究推進センター
神戸市立医療センター中央市民病院
臨床研究推進センター長
橋田 亨
2017年11月に隣接する先端医療センター病院を統合したことを機に臨床研究推進センター(Center for Clinical Research and Innovation)を立ち上げました。神戸医療産業都市の中核機関として、生命の維持と生活の質の向上につながる新たな医療を創造し、医療の発展と市民の健康増進に貢献することを目標に掲げてきました。関係機関や企業と幅広く連携することで他の公的病院にはない研究力の維持向上を目指しています。治験や臨床研究を行うためには、患者さんの権利や安全を守るために、被験者の保護、データの信頼性や倫理性・科学性の確保のための手順、資金や支援の透明化などが厳格に求められております。当センターでは、それらの様々な法令、規則を遵守し、新しい医療の開発に積極的に貢献していきます。今ある国際共同治験、臨床研究の経験を活かして組織と機能の拡充に努め、さらに国際化を進めていきたいと考えています。
事務局
神戸市立医療センター中央市民病院
事務局長
南部 法行
事務局の職員は、直接患者さんの治療に携わる訳ではありません。だからこそ、医療職の先に存在している患者さんを思い、現場の最前線で奮闘する医療職を支えることで、最高の医療の提供を実現することが事務局の役割だと考えています。この為、医療職から必要とされる事務局であり続けることが大切であり、大きな責任感を持って日々の仕事と向き合っています。
当院は、2009年度に独立行政法人へ移行し、2011年度にはPFIによる病院運営を開始するなど、事務局の体制や業務内容に大きな変革がありました。このような変革により、現在の事務局には、様々なバックボーンを持った職員が集まり業務にあたっています。
当院は、医療職の奮闘により救急日本一の評価を受けております。事務局においても所属間の垣根を超えた「チーム事務局」として、日々の仕事に向き合い、日本の病院をリードできるような存在を目指したいと考えています。