泌尿器科

泌尿器科部長 川喜田睦司

神戸市立医療センター中央市民病院
泌尿器科部長
川喜田 睦司

泌尿器科の特徴と歴史、取り扱う臓器・疾患

診療業務のあらまし

高齢化社会に伴い、泌尿器科疾患は年々増加傾向にあり、特に前立腺疾患,悪性疾患が多く見られます。癌の進行症例でも根治を目指した拡大手術を行う一方で、より低侵襲の腹腔鏡手術を積極的に導入しております。腎癌では4~5cmの突出したものであれば、ロボット支援の腹腔鏡で部分切除を行います。それより大きなものや複雑なものは開放手術での部分切除、あるいは腹腔鏡での腎摘除術を行います。前立腺癌では、平成18年に腹腔鏡手術の施設認定を取得、平成19年には前立腺癌の密封小線源治療を導入し、さらに平成26年1月よりda Vinciによるロボット支援前立腺全摘除術を導入しました。また、前立腺肥大症に対するレーザー核出術(HoLEP)、バイポーラー核出術(TUEB)、尿失禁・性器脱に対する手術なども多く手がけております。生体腎移植も年4~5例あり、夫婦間移植も行っております。ABO不適合移植ではリツキサン投与によって脾臓摘出を回避します。ドナー腎摘は腹腔鏡手術により行われ健康な方のQOLをなるべく損なわないよう心がけております。

特徴

当科では毎朝ミーティングを行って日々変化する患者さんの状態を全員が把握できるよう努力しております。また、疾患ごとの治療方針をコンセンサスミーティングで統一し、どの医師が担当しても最新・最良の診断・治療を受けていただけるようにしております。当院の基本理念のひとつに、「24時間体制で救急医療を実践する」とあり、当科でも終日当直あるいは待機にて救急疾患に対応しております。手術の画像、病理をレビューすることにより、スキルの向上と根治性の向上に役立てています。さらに腹腔鏡手術には高度な技術が要求されるため、経験の浅いスタッフは日々ドライボックスで練習するほか、生体での腹腔鏡手術の習得のため、学会認定の泌尿器科腹腔鏡技術認定医による技術指導のもと、大型動物での実習を行っています。da Vinciによるロボット支援手術は年間100件を超え、全国でも有数の施設となっています。またメーカーの手術見学指定施設にもなる見込みで全国からda Vinciの取り扱い資格を取得希望する医師が集まってくるものと予測しております。

神戸市立中央市民病院は、昭和56年に布引から現在のポートアイランドに新築移転しました。泌尿器科は移転当時、松尾光雄部長(現神戸市健康保険組合健康管理センター)のもと診療が行われていました。平成8年に竹内秀雄部長(現公立豊岡病院院長)が着任され、腎癌に対する開放腎部分切除術、腹腔鏡手術の導入など手術療法の改良に尽力されました。平成14年に川喜田睦司が着任して現在に至っております。当科は京都大学香川大学獨協医科大学泌尿器科との関連が深く、現在のスタッフはこの3大学の出身ですが、他大学出身で当院において研修をして専門医をめざす専攻医も受け入れています。

泌尿器科(ひにょうきか)は尿路および性器を扱う診療科であります。尿路とは腎臓、尿管、膀胱、尿道などであり、性器は精巣(睾丸)、精巣上体(副睾丸)、精管、前立腺、精嚢、陰茎など男性の生殖器と、腟などの女性の生殖器を一部扱います。腎臓の上にあってホルモンを分泌している副腎も扱います。

取り扱う臓器・疾患

取り扱う病気は、これらの臓器の腫瘍(副腎腫瘍、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌)、炎症(腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎)、尿路結石、前立腺肥大症、機能障害(神経因性膀胱、性機能障害、男性不妊、男性更年期、腎不全)、外傷などです。腎移植も手がけています。また男性思春期にかかわる様々な悩みに対応するための専門外来も設置しています。これらの病気に対して、最新の知識、技術を取り入れ、診断・治療をしています。

診療内容・特長

〈腹腔鏡手術〉

腹部に小さな穴を数個あけ、内視鏡を挿入し、炭酸ガスで腹部内を充満させてテレビモニターを見ながら操作手術する方法で、開腹手術に比べ痛みが少なく、術後の回復も早く早期退院が可能です。内視鏡で拡大して見えるため繊細な剥離が可能で、腹部内圧が高いことと合わせて出血量が非常に少ないのが利点のひとつです。副腎腫瘍に対する副腎摘除術、無機能腎や腎癌に対する腎摘除術、腎癌の腫瘍部分だけを切除する腎部分切除術、腎盂尿管癌に対する腎尿管全摘除術、腎盂の出口が細くなる腎盂尿管移行部狭窄症に対する腎盂形成術、小児で精巣が陰嚢内に下降していない状態の停留精巣に対する精巣固定術など多くの適応があります。前立腺癌は平成18年4月より保健適応となり当院は平成18年8月より施設認定をクリアして保険診療を開始しました。これまで1600件以上の腹腔鏡手術を行い、重篤な合併症はありません。ここ数年では年間200件ほどになっております。

〈腎癌に対する腎部分切除術〉

腎臓は左右ふたつあり、通常は片方だけでも充分機能は果たせます。しかし、残った腎臓に癌が出来る可能性があります。他の原因で腎臓の働きが悪くなって腎不全になるかもしれません。腎癌が比較的小さくて表面に近い場合には、腫瘍だけを切除して残りの正常部分を温存することが可能です。腎の血管を一時遮断して、出血を最小限にして腫瘍を切除し、切除断面を縫い合わせます。腹腔鏡手術で行えば創が小さくてすみます。当科ではこれまでに260例以上の腹腔鏡下腎部分切除術を行い、ロボット手術も40例を超えました。