歯科・歯科口腔外科 概要

歯科・歯科口腔外科部長

神戸市立医療センター中央市民病院
歯科・歯科口腔外科部長
竹信 俊彦

一般の開業歯科医院では治療が困難な口腔外科的疾患に対して標準的治療を高い水準で行うとともに、最先端の高度口腔外科医療に積極的に取り組んでいます。

心臓病や高血圧、糖尿病、血が止まりにくくなるお薬を服用されるなど、一般の開業歯科医院では治療が困難な方の抜歯や麻酔処置を歯科医院からの紹介で行っています。地域の開業歯科医院と連携していますので、必ず紹介状をお持ちください。虫歯の治療や被せもの、差し歯、ブリッジ、入れ歯の治療、歯周病などの一般的歯科治療は行っておりません。

口腔外科的疾患の取り組み

顎口腔の炎症、顎嚢胞、口腔腫瘍、歯・口腔顎顔面外傷、顎変形症、顎関節疾患、唾液腺疾患、口腔粘膜疾患などの口腔外科的疾患に対して、標準的治療を高い水準で提供できるように努力しています。口腔がんとその他の口腔悪性腫瘍の治療は全て頭頸部外科に集約しており、頭頸部外科の要請時に共同で手術に参画し顎切除・顎骨再建を担当しています。また喪った歯に対してのインプラント治療と歯槽骨再生手術を長年に渡り数多く経験しています。

低侵襲治療への取り組み

また当科では2003年頃よりいち早く内視鏡を取り入れた低侵襲口腔外科手術に取り組んでいます。下顎骨骨折で高頻度に合併する顎関節突起骨折に対して、口腔内から内視鏡支援下に整復固定を行う内視鏡支援下顎関節突起骨折観血的整復固定術は、顔面の皮膚切開を行うことなく骨折部分を固定するため傷跡を残しません。上下顎骨折手術では手術時に適切な咬合を確立し、術後の顎間固定(ワイヤーで上下の歯を縛って口が開かないようにする処置)を行わない治療を目指します。そのため患者さんは翌日から経口摂取が可能です。

唾石症の治療では唾液腺内視鏡による唾石摘出術や口腔内切開による唾石摘出術に数多く取り組んでいます。ほとんどの場合で顎下腺摘出を回避できており、年間50例程の治療を行っています。唾石摘出術は入院全身麻酔で行いますが、入院期間は2泊3日です。

顎変形症の外科的矯正手術を数多く経験しています

歯列矯正治療のみでは改善できない骨格性不正咬合(顎変形症)の外科的矯正治療を矯正歯科専門医と連携して行っています。手術症例は年間70例程度です。上顎では主としてLe Fort I型骨切り術、下顎では下顎枝矢状分割術や下顎枝垂直骨切り術、オトガイ形成術を行います。手術の組み合わせに関わらず、入院期間は1週間程度で手術翌日から口を開けて食事が可能です。自己血輸血は不要です。また先天性疾患の高度顎変形症では顎骨に対する骨延長術や、形成外科と連携して骨格のみならず軟部組織の改善も目指しています。

2年間の初期研修医、3年間の専攻医制度を設けています

当科は日本口腔外科学会および日本顎顔面インプラント学会の指定研修機関に認定されています。また病院歯科では全国でも数少ない5年間の口腔外科認定医を目指した研修医制度を設けています。毎年2名の初期研修医(2年制)と隔年で1名の専攻医(3年制)を全国の優秀な人材から公募しており、毎年多くの歯科医学生の見学や歯科衛生士学生の実習も受け入れています。

口腔外科的疾患:標準的治療を高い水準で

〈医局員〉

歯科口腔外科医療を志す全国の大学歯学部出身者で構成されています。

〈内視鏡手術〉

当科では2003年からこれまで歯科口腔外科分野では顎関節鏡を除いて取り上げられることのなかった内視鏡の応用を開始し、2004年には国内に先駆けて内視鏡支援下 顎関節突起骨折観血的整復固定術および唾液腺内視鏡による顎下腺唾石摘出術に成功しました。現在では唾液腺内視鏡手術、顎関節突起骨折手術を始めとして、外科的顎矯正手術、顎骨腫瘍摘出術、上顎洞内異物除去、高難易度埋伏抜歯など様々な手術に内視鏡を適応し、低侵襲で安全確実な口腔外科手術を実践しています。