CT装置は7台(内320列2台、dual energy 2台)、MRI装置は5台(1.5T2台、3T3台)(3Tは2022年と2023年に導入またはversion up)が稼働しています。院内のみならず院外の医療機関からの検査依頼にも対応しています。放射線診断科ではこれらの読影をおこなっています。
核医学部門には、臨床用のPET-CT2台、SPECT-CT2台が設置されています。また南館先端医療センターには腫瘍、脳血管障害、心疾患、炎症などの診断に用いられています。心臓核医学の診断は循環器内科が担当しています。核医学治療としては、内分泌内科と協力してI-131による甲状腺分化癌、バセドウ病の治療を行っています。また各種の内用療法も施行しています。
バリウムなどを使用する胃や大腸の消化管造影検査も放射線診断医の業務の一つです。
血管造影・IVRに関しては脳・心臓以外の分野を担当し、上腹部においては消化器内科とも連携しながら救急も含めて、塞栓術、動注療法などを施行しています。血管造影装置の一つには上記のCTとは別に、DSAと連動したIVR-CTとしてMDCTを備え、適切な診断・IVRに駆使しています。
診療実績
診療科別統計
CTは平均200例/日、MRIは平均90例/日の検査・診断を行っております。
入院前の胸部単純写真読影年2000件あまり、消化管X線検査おおよそ250件あまり行っています。
IVR(Interventional Radiology)としては血管塞栓術、エコーあるいはCTガイド下生検・ドレナージなど、年間約450件以上を施行しています。おおよそ300件が血管内治療、150例あまりが血管外治療です。骨盤骨折や腹腔内出血、喀血、産褥期出血などに対する緊急動脈塞栓術が年間約100件におよびます。
核医学での主な検査は、骨・心臓・脳などのSPECT検査年間約2000件・PET-CT約2600件総数約4600件/年におよびます。また、内分泌内科との協力で施行している甲状腺疾患(分化癌・バセドウ病)に対するI-131治療は年間約50例に及びます。
主な疾患・治療法
全身のCT/MRI読影(レポート作成)
面と向かって患者さんを診察するわけではないのでイメージがわきにくい仕事かと思われますが、病理診断とともにその病院の医療の質を左右する重要な仕事です。
IVRでは術前カンファレンスで治療方針を詳細に検討し、術後カンファレンスで症例経験を共有することで、技量向上に努めています。
教育にも力を入れており、当科へローテートする初期研修医を対象としてミニレクチャーも実施しています。
他診療科との合同カンファレンスも多数実施しています。現在は救急科、脳神経外科、脳神経内科、外科、消化器内科、泌尿器科、産婦人科、乳腺外科、小児科と定期的にカンファレスを開催しており、画像を通した診断や治療方針の検討、IVR治療の検討などを行っています。
また近接する兵庫県立こども病院の画像カンファレンスにも参加しています。
核医学(PET-CT、一般核医学検査、内用療法)
核医学治療では甲状腺癌に対する放射性ヨード治療の他、下記の内用療法を行っています。
診断・治療いずれにおいても関係各科と連携を取りながら、放射線診断科・放射線治療科の医師・技師・看護師と協力し、安全・適切な医療を提供できるよう努めております。
対象
PET/CT
- 悪性腫瘍に対する病期評価など
- 大血管炎の局在または活動性評価など
一般RI
- 骨転移評価(骨シンチグラフィ)
- 脳機能評価(脳血流シンチグラフィ)
- 心機能評価(心筋シンチグラフィ)など
内用療法
- 甲状腺癌やバセドウ病に対する放射性ヨード治療
- 前立腺癌骨転移に対する塩化ラジウム治療
- ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体放射性核種治療
IVR(インターベンショナルナルラジオロジー、画像下治療)
当院放射線診断科においては脳神経,心臓,大動脈等以外の広い範囲を担当しており、2名のIVR専門医のもと、画像機器を駆使して年間300件強、以下のような手技を行っています。
- 救急IVR(主にカテーテルを用いた止血)
- 腫瘍に対するIVR;肝癌に対する化学塞栓療法(TACE)など
- 動脈瘤、動静脈奇形(瘻)に対する塞栓術
- CTや超音波を用いたドレナージや生検
- そのほか
救急IVR(止血)
外傷性出血、危機的産科出血、喀血、消化管出血など、主に動脈性出血に対してカテーテルを用いた緊急止血に24時間365 日対応しています。また術後出血などの合併症の対応も行っています。塞栓術が主ですが、血栓除去、溶解やバルーンカテーテルによる血管形成術を行うこともあります。多くの場合足の付け根の動脈からカテーテルを出血部の血管にすすめ、最適な塞栓物質を用いて塞栓します。塞栓物質としては主にゼラチンスポンジ、NBCA、金属コイルを使用しています。
対象疾患
外傷 | 骨盤骨折、腹部実質臓器損傷など(下図) |
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内因性の出血 | 消化管出血、腎出血、喀血、動脈瘤破裂など |
産科出血 | 弛緩出血、癒着胎盤など |
合併症対応 | 術後出血など |
腫瘍に対するIVR
骨盤骨折・出血に対する止血術
カテーテルを対象臓器の血管まで進め、 塞栓を行ったり、抗癌剤を注入したりします。塞栓物質と抗癌剤を混ぜて使用したり、 吸着させて使用したりすることもあります。以下のような手技を各担当診療科の協力を得て行っております。
対象疾患
- 肝癌に対する化学塞栓療法(TACE)
- 動注リザーバー留置
- 骨腫瘍の術前塞栓
- 腎血管平滑筋脂肪腫に対する塞栓術
- 転移性肝腫瘍に対してのビーズを用いたTACE
- 上顎癌に対する動注化学療法
動脈瘤、動静脈奇形(瘻)に対する塞栓術
CTや超音波を用いたドレナージや生検
特殊な生検としては、ドリル型の生検針を用いた骨生検、頸静脈からアプローチして肝生検するTJLB (Trans-Jugular Liver Biopsy)など行っています。
その他
- 透析シャントに対するIVR
- 胃静脈瘤に対するバルーン閉塞下逆行性経静脈的硬化術(BRTO)
- 肝切除術前処置としての経皮的経門脈塞栓術(PTPE)
- 副腎静脈サンプリング
- リンパ管造影
- 非閉塞性腸管虚血(NOMI)に対する持続動注療法
- 異物除去
- デンバーシャント
- 食道気管支瘻に対する塞栓
- 高度側弯を伴う脊髄筋委縮症に対するヌシネルセン髄注
- フォンタン術後静脈-肺静脈シャントに対する塞栓術
- その他
臨床研究
臨床研究の実施に関するお知らせ
現在放射線診断科では、下記の臨床研究を実施しております。
この研究では、患者さんの日常診療で得られたデータ(情報)を利用させていただきます。
ご自身のデータがこの研究に利用されることについて、異議がある場合は、情報の利用や他の研究機関への提供をいつでも停止することができます。研究の計画や内容などについて詳しくお知りになりたい方、ご自身のデータがこの研究で利用されることについて異議のある方、その他ご質問がある方は、以下の「問い合わせ先」へご連絡ください。
研究課題名 | 説明文(PDF) |
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腹腔動脈狭窄に伴う動脈瘤形成、動脈瘤破裂の原因の検討 | |
ヒトパレコウイルス髄膜脳炎の頭部画像所見の検討 | |
デタッチャブルコイルのカテーテル内での意図的早期離脱と生理食塩水フラッシュによる留置法の有用性と安全性の検討 | |
脾動脈解離に関する研究 | |
超音波内視鏡下吸引穿刺法によって生じた出血に対する血管塞栓術の有効性、安全性の検討 | |
肝被膜下血腫に対する経皮的動脈塞栓術の有効性、安全性の検討 | |
新型コロナ肺炎の胸部単純レントゲン写真の自動診断 | |
悪性腫瘍の内部不均一性評価のためのFDG PETのテクスチャー解析の標準化の試み | |
小児脳のCT標準脳作成 | |
低悪性度子宮内膜間質性腫瘍の診断におけるMRIの有用性の検討 | |
日本インターベンショナルラジオロジー学会(以下IVR学会)における、症例登録データベースを用いた医学系研究 |