臨床病理科

病理診断科部長 今井幸弘

神戸市立医療センター中央市民病院
病理診断科部長
今井 幸弘

診療に必要な情報を臨床へ
---病理診断の書面でなく、その結果としての適時適正な医療と、それを支える深い疾患理解を達成目標に---

病理医5名と臨床検査技師9名で主に以下の業務を行っています。(2016年12月現在)

病理診断が臨床に提供する情報には2つの側面があります。

一つは治療方針を立てるためのデータです。炎症か腫瘍か、その種類、広がりなどを診断し、特に癌の診療では重要な鍵を握っています。

もう一つは、疾患理解のための解析です。日々の病理診断で、個々の症例を注意深く調べて、起こっていることを臨床医に還元していく中で、私たち(病理医、臨床医)自身がそれぞれの疾患を深く理解することが、現在、将来の診断、治療の足場を固めていくのだと、私たちは考えています。

広い間口、的確な診断

豊富かつ多彩な症例

〈豊富かつ多彩な症例〉

年間に病理組織検体 約13,000件、細胞診 約10,500件、術中迅速診断 約800件、病理解剖 約40件の診断を行っています。通常の胃生検から移植関連の特殊な症例まで幅が広いこと、転移性腫瘍の診断、受診中の疾患と異なる臓器での合併症、偶発の別疾患、臨床的に何科の疾患かよくわからない症例などの横断的な症例が多いこと、症例数の多さに比例して(実際はそれ以上に)稀な疾患が多いことが当科の特徴として挙げられます。

正確かつ治療に則した診断

〈正確かつ治療に則した診断〉

近年、悪性腫瘍(癌、肉腫など)に対する侵襲的な(癌をつぶすために体のほかの部分にも害のある)治療を行うには、病理組織診断がほぼ必須になっています。抗がん剤は「増殖が早い癌細胞を殺す薬」から「特別な種類の癌によく効く薬」に代わりつつあり、病理組織での癌の組織型(癌の種類)の診断が必要ですし、癌組織に起こっている遺伝子異常を調べるには、採取した組織、細胞に問題の腫瘍が含まれているのを顕微鏡で確認しておく必要もあります。新しい検査、新しい治療薬、治療法が次々と導入される今日、臨床の現場で必要とされている情報のポイントは目まぐるしく変化していますし、当院での独自の要求もあります。また、直接話さないと伝わりにくい事もあるので、臨床各科とカンファレンスを積極的に行っています。リンパ腫関連、肝生検、肝移植関連、腎生検など、特殊領域の診断に関しては院外の専門家の応援を得ており、それ以外の領域に関しても近隣の病理医や時には海外にもコンサルトして診断の標準化に努めています。また、治療に関連した乳癌ホルモンレセプターやHER2蛋白、肺癌のALK蛋白、T細胞性リンパ腫のCCR4蛋白をはじめ、免疫染色の約80種類は院内で施行し、診断にかかる期間を圧縮しています。


肺がんの組織型