記者提供資料(2026年9月25日)
地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院
臨床研究推進センター 吉田・中島 TEL:078-302-4321(代表)

この度、神戸市立医療センター中央市民病院が主体となって実施した医師主導治験※1により、脳血管内カテーテル治療で使用する医療機器が薬事承認※2 されましたので、お知らせいたします。
この医療機器は、カテーテルと呼ばれる細い管を使って、脳の病気がある部位まで進め、特殊な液体により血管を塞ぐ治療に用いられます。脳の病気がある部位への血流を減らすことで、治療をより安全に行えることが期待されています。
なお、中央市民病院が主体となって実施した医師主導治験で、薬事承認を取得した医療機器は、本件で5件目となります。

1.薬事承認された医療機器

(1)名称

PHIL(フィル)システム

(2)使用目的

PHILシステムは血管塞栓術※3に 用いる液体の塞栓物質です。 外科的手術を要する脳動静脈奇形※4に対しては、摘出術前に血流を減少させる目的で行う血管塞栓術に使用されます。
また、外科治療、放射線治療、経静脈的塞栓術では根治的な治療が困難な硬膜動静脈瘻(ろう)※5に対して行う経動脈的血管塞栓術にも使用されます。

(3)類別等
項目 詳細
医療機器類別 器51 医療用嘴管(しかん)及び体液誘導管
医療機器承認番号 30700BZX00334000(2025年12月19日承認)
クラス分類 クラスⅣ(高度管理医療機器)
製造販売元 テルモ株式会社

2.医師主導治験の概要

(1)治験名
  • 脳動静脈奇形に対するPHIL液体塞栓システム(PH-112)を用いた摘出前塞栓術に関する安全性及び有効性を評価する多施設共同単一群試験※6(PH01試験)
    (脳動静脈奇形の方を対象に2019年8月から2022年11月まで実施)
  • 硬膜動静脈瘻に対するPHIL液体塞栓システム(PH-112)を用いた塞栓の安全性及び有効性を評価する多施設共同単一群試験(PH01-2試験)
    (硬膜動静脈瘻の方を対象に2019年8月から2021年5月まで実施)
(2)治験調整医師(所属は治験実施当時、敬称略)
医療機関名 PH01 PH01-2
神戸市立医療センター中央市民病院 坂井信幸
神戸市立医療センター中央市民病院 坂井千秋
京都大学医学部附属病院 永井洋士
国立循環器病研究センター 山本晴子
(3)治験実施者(所属は治験実施当時、敬称略)
医療機関名 PH01 PH01-2
神戸市立医療センター中央市民病院 坂井信幸 今村博敏
広南病院 松本康史/坂田洋之
昭和大学藤が丘病院 寺田友昭/津本智幸
筑波大学附属病院 松丸祐司
埼玉医科大学国際医療センター 神山信也
順天堂大学医学部附属順天堂医院 大石英則
京都大学医学部附属病院 石井暁
兵庫医科大学病院 吉村紳一
富山大学附属病院 桑山直也
岡山大学病院 杉生憲志
名古屋大学医学部附属病院 泉孝嗣
大阪医療センター 藤中敏之
[注釈・用語解説]
※1医師主導治験
:医師自らが企画・立案し、実施する治験のこと。
※2薬事承認
:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づき、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が有効性及び安全性を審査し、厚生労働大臣が医療機器等の製造販売を承認すること。
※3血管塞栓術
:頭を開ける手術を行わず、足の付け根などからカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、脳の病気がある場所まで進めて、金属製のコイルや特殊な液体などを使って血管を塞ぐ治療です。
※4脳動静脈奇形
:脳の動脈と静脈の間にある毛細血管の一部が生まれつき欠けているため、もろい血管の塊(ナイダス)ができる病気です。脳出血の原因になることがあります。
※5硬膜動静脈瘻
:脳の表面を覆う硬膜という膜の中で、本来は直接つながっていない動脈と静脈がつながり、異常な血液の通り道(シャント)ができる病気です。
シャントを通じて高い圧力の動脈血が静脈に流れ込むことで、血液のバランスが崩れ、脳出血や脳梗塞を起こすことがあります。
※6多施設共同単一群試験
:複数の医療機関が共通の研究計画に基づいて実施する臨床試験です。治験に参加された方全員に、同じ条件で治験薬(または治験機器)を使用していただき、その効果や安全性を評価します。この結果をもとに、厚生労働省からの承認取得を目指します。