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検査部タイムズバックナンバー

◆◆特集第7号◆◆        

動脈硬化と脈波図検査(PWV/ABI)
              
生理機能検査 心肺部門 野本奈津美

【はじめに】
日本動脈硬化学会によると、日本人の死因の第1位はがんですが、第2位の心疾患、第3位の脳血管疾患を合わせると
がんと同じぐらいの人々が亡くなっていると報告されています。
これら心疾患や脳血管疾患の大多数は動脈硬化が原因で発症しています。

動脈硬化とは、動脈が年齢とともに変化して血管が弾力性を失い硬くなるとともに、
血管壁にコレステロール等の脂質が沈着し、内腔が狭くなる状態をいいます。
糖尿病、高血圧症や高脂血症といった生活習慣病があると、動脈硬化は発症しやすくなります。
動脈硬化は狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞などの脳血管障害や閉塞性動脈硬化症といった
病気の原因となります。


閉塞性動脈硬化症(ASO:arteriosclerosis obliterans)は、手や足の血管の動脈硬化によって血管が狭くなったり(狭窄)、血管が詰まったり(閉塞)し、末梢への血液の流れが悪くなることで手足に様々な障害が起こる疾患です。主な症状として、下肢冷感や間歇性破行(かんけつせいはこう:数十〜数百m歩くと痛みのため歩けなくなるが、休むと症状が治まる)などがあり、重症になると安静時疼痛、下肢の壊死や皮膚潰瘍などが起こります。

以上のことから、動脈壁の硬さや動脈のつまりを評価することは、さまざまな病気の原因となる動脈硬化の状態を知る上で大変重要です。
これらは、脈波図検査である ABI(足関節/上腕血圧比)およびPWV(脈波伝播速度)という方法で評価することができます。

今回は、動脈壁の硬さや動脈のつまりを簡便かつ非侵襲的に評価することができる脈波図検査(ABI/PWV)について解説します。

【ABI(足関節/上腕血圧比)とは】
 ABI(足関節/上腕血圧比)とは、足関節収縮期血圧/上腕収縮期血圧のことです。計算式は以下のようになります。



 ◎ 健常者では、下肢の血圧は上腕の血圧と同じかもしくは少し高くなっているため、
   ABIは1.00~1.29の範囲に入ります。
 ◎ 下肢血管の狭窄がある場合、下肢の血圧が低くなるためABIが0.9以下になります。
 ◎ 血圧の左右差がある場合も狭窄を疑う所見となります。



 しかし、ABIが0.9以上でも狭窄が起こっている場合があります。血管が75%以上狭窄しないと血圧は急激に低下しないこと、糖尿病などでは動脈の石灰化があるため血管を締め付けるのにより高い圧が必要になり、測定値が高く表現されてしまう場合があることが理由として挙げられます。

そのため、ABIの数値だけでなく波形などを含め総合的に評価することが大切です。

【PWV(脈波伝播速度)とは】
 PWV(脈波伝播速度)とは、心臓から押し出された血液による拍動が動脈を伝わっていく速度のことです。
当検査室ではba PWV(上腕-足首脈波伝播速度:Brachial-Ankle pulse Wave Velocity)を測定しています。計算式は以下のようになります。



 
◎ 健常者では、血管がしなやかで弾力性があり、脈波が血管壁に吸収されるため、速度は遅くなります。
◎ 血管壁が硬く厚いほど、脈波が血管壁で吸収されず速度は速くなります。

 ba PWVには年齢別で基準値があり、年齢ともに高くなります。
50代半ばまでは女性ホルモンの影響で女性の方が男性よりも低い傾向にありますが、60代を超えると差はなくなります。
ba PWVを用いて血管年齢を推測することもできます。



 引用)PWVによる動脈硬化早期診断、監修:西沢良記ほか、発行:協和企画

【検査の実際】
実際の検査の流れをご紹介します。機械と測定中の様子を下図に示しています。                

(1) 仰臥位で5分程度安静にしてから検査を行います。

(2) 上腕(二の腕付近)と足首に血圧計を装着するため、厚手の服は脱いでいただきます。靴下は脱いでいただくか、かかとが見えるように下げていただきます。
 
(3) 血圧計を左右の上腕及び足首に、心電図用の電極を両手首に、心音図用のマイクを胸(肋間)に装着します。

(4) 血圧は4か所同時に2回測定を行います。透析をされている場合や手足に大きな怪我などをされている場合は、検査担当者にお伝えください。
 
(5) 検査中は心音の記録を行っていますので、動いたり、お話したりしないようにお願いいたします。
 
(6) 検査時間はお部屋に入っていただいてから10分程度です。

【最後に】
動脈硬化は無症候性(症状を感じない)に加齢とともに進展しますが、若年者においてもすでに動脈の硬化病変が認められています。
したがって、動脈硬化は決して中・高年者だけの病変ではなく、より早期に診断し、より早い対策をとることが重要です。
脈波図検査(PWV/ABI)は早期の動脈硬化を知るための検査法の一つであり、患者さんの負担も少なく簡便に行うことができます。
下肢症状のある方、生活習慣病などリスクの高い方は是非、主治医に相談してみてください。

【参考文献】 PWVによる動脈硬化早期診断、監修:西沢良記ほか、発行:協和企画




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