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検査部タイムズバックナンバー

◆◆特集第4号◆◆        

子宮頸癌検査の実際とHPVの関係について                病理検査室  尾松 雅仁


  子宮頸癌は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスによる感染がほとんどの原因ということが判っています。HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、現在、HPVには100種類以上の型が発見されており、発見順に番号がつけられています。性器粘膜に感染するHPVは発癌のリスクの程度によってハイリスク型とローリスク型に分けられており、ハイリスク型に分類されている型のうち16型、18型が特に発癌に関与しているとされています。
 子宮頸癌は40〜50歳代に好発しますが、近年では40歳未満の女性の子宮頸癌の罹患率が増加しています。しかし、異形成(子宮頸癌になる前の病変)が発見可能なため、定期的な子宮頸癌検診により異形成の段階で発見・治療することにより癌の発症を未然に防ぐ事が出来ます。また、現在では子宮頸癌の原因の大部分を占めるといわれているHPVウイルスの2価ワクチン(16型と18型)や、4価ワクチン(6型、11型、16型、18型)が開発されており、このワクチン接種をすることにより、発癌の予防効果が高いといわれています。
  病理検査室では、子宮膣部・頸部の細胞診検査で、子宮頸癌やその前癌病変がないか、HPVやその他の感染症の検査をしています。そこで今回は病理検査室で行っている子宮頸癌の細胞診検査の実際をご紹介します。

A 細胞診検査の細胞採取および標本作製方法

 子宮頸部は、外側から皮膚・外陰・膣と連続的に扁平上皮で構成されています。そして、子宮の入り口を少し入ったところで上皮を構成する線細胞とぶつかり合うところがあります。子宮頸癌はこの扁平上皮と腺上皮の境界部分(S-C junction)が好発部位であるため、この部分を綿棒、ヘラ、ブラシ、などの器具を使って擦過します。

     
                     S-C junction


  次に、採取された擦過物(smear)をプレパラートに塗抹し、乾燥しないうちに素早く95%アルコール液に入れ、細胞を固定します。その後、パパニコロウ染色を行い、染色された標本を細胞検査士という専門の資格を持った臨床検査技師が顕微鏡下で異常な所見がないかを観察していきます。

       
                パパニコロウ染色用自動染色機



B 各種細胞像とその特徴

@ コイロサイト
  HPVに感染した細胞にみられる変化で、核周明庭といわれる、核周囲に明瞭な空胞が認められます。


         
                  コイロサイト 40倍

A 軽度異形成(mild dysplasia, low-grade squamous intraepithelial lesion [LSIL])
  クラス分類:クラスVa

  表層から中層型扁平上皮細胞の核異型を伴う細胞がみられます。正常細胞と比べ核が大きくなり、濃い紫色に染まります。N/C比(核 / 細胞質 比)の増大がみられます。精査が必要でコルポスコピー(膣拡大鏡)や組織生検を行うことがあります。
         
                      軽度異形成 40倍


B 高度異形成(severe dysplasia, high-grade squamous intraepithelial lesion [HSIL])
   クラス分類:クラスVb
  傍基底型扁平上皮細胞の核異型を伴う細胞が主体にみられます。細胞質に対する核の大きさはより大きくなり、形の不整や切れ込みなどが多く認められ、核はより濃く染色されます。軽度異形成と同様に精査が必要となります。


           
                      高度異形成 100倍

C 扁平上皮癌 (squamous cell carcinoma) 浸潤癌 クラス分類:クラスX

  背景は壊死などが多く汚い印象で、細胞は歪で小型〜大型の悪性細胞が平面的な集塊でみられます。核の大きさは大小様々でばらつきが目立ち、高度異形成などと比べ、より濃く染まるものもみられます。細胞質は紡錘形、ヘビ状、オタマジャクシ状などの形態を示し、オレンジに濃く染まる悪性細胞もみられることがあります。組織検査などの精査を実施し、治療方針を決定します。


   
                     扁平上皮癌 40倍

C まとめ

 大部分の子宮頸癌はHPVの感染で発症する癌です。しかし、今回説明したように細胞診検査による細胞の異形成の確認により、早い時期に発見および治療できる癌です。定期的な子宮頸癌検診の実施やワクチン接種により予防できると考えられます。

*ワクチン接種はかなり高価(当院では、3回分合計で約52,000円前後)ですが、接種費用の助成をしている地方自治体もあります。神戸市では女子中学1年生から高校1年生までは全額助成しています。詳しくは、神戸市のホームページなどでご確認ください。


                     問い合わせ先
                       ・神戸市保健所 予防衛生課 結核・感染症係        
                                TEL 078−322−6788
                       ・当院 
                                TEL 078−302−4321(代表)

《追記6月20日》

 平成25年6月14日に厚生労働省より「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)」の中で、ワクチンの定期接種に関しては「副反応の発生頻度等が明らかになり、適切な情報提供ができるまでの間は積極的に勧奨すべきでない」との通知がなされています。
詳細等は上記問い合わせ先、または各医療機関へご確認ください。

検査部ニュース

------学術関係報告---------

【論文発表】
Inoue D, Matsushita A, Kiuchi M, Takiuchi Y, Nagano S, Arima H, Mori M, Tabata S, Yamashiro A, Maruoka H, Oita T, Imai Y, Takahashi T.:Successful Treatment of γ-Heavy-Chain Disease with Rituximab and Fludarabine. Acta Haematol. 128: 139-143, 2012



【学会発表】
○平成24年9月19日 
大阪超音波研究会 大阪国際会議場
発表:菅原雅史、杤尾人司、鄭浩柄、他:「嚢胞性腫瘤様に描出された小児急性虫垂炎の一例」


○平成24年9月19日 
臨床医学検査学会関西支部総会 和歌山県 白浜
発表:野本奈津美、丸岡隼人、那須浩二、老田達雄:「6カラーフロサイトメトリーを用いた形質細胞性腫瘍のイムノフェノタイピング」
発表:山城明子、柴田洋子、田村明代、三木寛二、老田達雄:「検査相談室開設後5年間の報告」
発表:杤尾人司、崎園賢治、竹川啓史、江藤正明:
「アルコール禁患者におけるクロルヘキシジングルコン酸塩による静脈採血時の適正な消毒時間」


○平成24年10月6日  
日本超音波医学会 第39回関西地方会 大阪
発表:竹林真実子、岩崎信広、杉之下与志樹、他:「当院における過去5年間の腹部腫瘤の検討」
発表:岩崎信広、竹林真実子、杉之下与志樹、他:「急性膵炎を伴った膵仮性動静脈奇形(AVM)の一例」
発表:岩崎信広、竹林真実子、杉之下与志樹、他:「アメーバ感染により大腸憩室穿孔を来した一例」
発表:浜田一美、登阪貴子、佐々木翔、他:「濾胞癌術後残存葉にびまん性硬化型乳頭癌の発症を認めた一例」
発表:三羽えり子、荒木直子、岩崎信広、他:「造影超音波を施行した肝悪性リンパ腫の一例」
発表:菅原雅史、杤尾人司、濱田一美、他:「小児に発症した水腎症を伴う穿孔性虫垂炎の一例:嚢胞性腫瘤様に描出された機序について」
発表:野村菜美子、谷知子、紺田利子、他:「心電図上左室肥大が疑われたが、経胸壁心エコー検査にて左室壁肥厚を認めなかった2症例」


○平成24年10月11日
日本聴覚医学会 国立京都国際会館 京都
発表:M田 充生:「聴力検査で軽度の左右差を認めた片側性のAuditory neuropathyの一例」


○平成24年11月5日
日本感染症学会中日本地方学会 アクロス福岡
発表:仁木真理恵、三木寛二、竹川啓史:「rep-PCR解析による緑膿菌の疫学調査」


○平成24年11月30日
日本臨床検査医学会総会 京都
発表:丸岡隼人、老田達雄、石川隆之:「6カラーフローサイトメトリーによるB-ALLのイムノフェノタイピング」


【講演】
○平成24年6月28日
腹部超音波カンファレンス 神戸
講演:岩崎 信広:「腹部腫瘤の超音波診断」


○平成24年7月21日
生理部門システムフォーラム 大阪
講演:川井 順一:「部門システム導入への取り組み」


○平成24年7月26日
第13回神戸グラム染色カンファレンス 神戸ANAクラウンプラザホテル
講演:竹川啓史:「キャッスルマン病患者に発症した蜂窩織炎の1症例」


○平成24年9月21日
救急カンファレンス 
講演:柴田洋子:「安全な輸血のために」


○平成24年9月30日
臨床医学検査学会関西支部総会(和歌山白浜)
講演:竹川啓史:「グラム染色で行うべき最低限の報告」
講演:杤尾人司:「肝細胞癌(HCC)の評価のコツ」


○平成24年9月15日
平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸研修センター
講演:竹川啓史:「真菌および培養困難な微生物について」


○平成24年9月21日
平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
講演:竹川啓史:「微生物検査の概論・検査の基本操作」


○平成24年9月22日
平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
講演:竹川啓史:「培地の観察と判定」


○平成24年9月23日
平成24年度感染管理認定看護師教育課程 神戸大学大学院保健学研究科
講演:竹川啓史:「抗酸菌検査・真菌観察・薬剤感受性の判定等」






あとがき

 秋は学会の季節です。
当臨床検査技術部のメンバーも医学検査学会・超音波学会・感染症学会などに精力的に学会発表を行ないました。H23年H24年採用の新人の発表も5題あり、本人の努力はもとより、指導する者も腕の見せ所といったところでしょうか。 今年は検査室全体で予演会が行なわれました。臨床検査は血液検査、細菌検査、病理検査、超音波検査等と幅広い分野にわかれるため、演者は聴衆に発表内容の予備知識を与えるため、まず、専門用語や測定原理など簡単な講義をして聴衆の理解を深めた後の発表となりました。新人は落ち着いてしっかり発表し、発表後の質疑応答にもりっぱに返答していました。専門外からの切り口での指摘もあり、大いに議論がかわされ意義のある会となりました。
                                                   A.Y

                                                   

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