本文へスキップ

臨床検査技術部のオリジナルサイトです。

検査予約の取り消しや変更は下記までご連絡ください。 

検査予約変更センター(受付時間:月~金 13時~17時)
℡ 078(302)4520

検査部タイムズバックナンバー

◆◆特集第21号◆◆        

乳がんと病理検査
              病理検査室  森本 美咲


 最近話題となっている「乳がん」は、女性がかかるがんの中で最も多く、年々増加していると言われています。乳がんの一般的なスクリーニング検査としては、問診、触診、マンモグラフィー、超音波検査などがあります。臨床的に疑いがあると、MRI検査や病理検査などが行われ、悪性所見がないかどうか判断されます。
 今回は、乳がんを疑われた場合や実際に乳がんと判明した場合、どのような病理検査(病理診断)が行われているのかを簡単にご紹介します。
  ※病理検査については「特集第13号 病理検査室の紹介」をご覧ください。

  乳がんに関する病理検査には大きく2つの役割があります。

 1つ目は、乳房にしこりなどがある場合に病変の一部を採取して、がんかどうかを顕微鏡で調べます。 痛み止めとして局所麻酔を行い、注射針より太い針で病変組織を採取します。採取された組織を標本にして顕微鏡で観察し、良性か悪性かを判断します。



 2つ目は、乳がんと診断された場合に、乳がんの種類や性質、大きさ、進行度、転移の有無などを調べます。例えば、下の写真はどちらも乳がんですが、種類の異なる乳がんです。乳がんの種類によって組織の見え方にも違いがあり、臨床的予後が異なります。



 さらに、乳がんの治療にも病理検査は深く関わっています。乳がんの治療は原則的には外科的切除(手術)であり、抗がん剤などの薬物療法(ホルモン療法、化学療法、分子標的治療)と放射線療法が併用されます。 乳がんの進行度や転移の有無が治療方針に関係するというのはご存知の方も多いと思いますが、薬物療法の方針も病理検査により決定されることがあります。

 乳がんには、女性ホルモンの一種であるエストロゲンやプロゲステロンが強く結合するエストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PgR)を持っているがん細胞があります。 例えば、エストロゲン受容体を持っているがん細胞では、エストロゲンがその受容体に結合してがん細胞を増殖するように刺激します。このような乳がんでは、 エストロゲンが結合できないようにブロックするホルモン療法が有効になります。ホルモン受容体の有無は、病理検査の免疫染色*1によって調べることができます。



 また、分子標的治療薬*2が積極的に治療に使われるようになってきました。乳がんでは、細胞の表面に存在し、 乳がんの増殖に関係しているとされているタンパク質(HER2)の作用を抑制する薬が注目されています。 HER2タンパクを持っている乳がんには分子標的治療薬が適応となるため、当病理検査室ではHER2タンパクの有無も免疫染色を用いて調べています。



 簡単にですが、乳がんと病理検査についてお話させていただきました。今回は紹介できませんでしたが、手術中に病変部の摘出範囲を決めるための「術中迅速検査」や、乳房から採取した細胞や分泌物を検査する「細胞診検査」も行っています。このように、病理検査は乳がんの診断、治療方針の決定に深くかかわっており、とても重要で不可欠な検査です。乳がんだけに限りませんが、迅速に正確な結果を提供できるようにスタッフ一同努力しています。

 〈語句説明〉 *1免疫染色:組織や細胞に含まれるタンパク成分を染め出す染色。
        *2分子標的治療薬:がんの発生や増殖などに関係する特定のタンパク質や遺伝子を
                 ターゲットにして、がん細胞の増殖を抑える薬。

検査部ニュース

------学術関係報告---------

【学会報告、講演】
1. 竹川啓史:臨床検査の現場で行う「真菌同定」の現状と課題.
第28回日本臨床微生物学会総会・学術総会, 長崎, 2017.1.21
2. 佐々木一朗:誘発電位測定.第10回関西脳波・筋電図セミナー,京都,2017.1.21
3. 丸岡隼人:FCMの測定原理とデータの見方・考え方.
第27回日臨技近畿支部血液研修会. 大阪府.2017.2.4
4. 尾松雅仁:アミノ酸含有電解質製剤の投与制限実施前後でのBacillus cereus菌血症発 生件数の変化、
第32回日本静脈経腸栄養学会学術集会、岡山、2017.2.23.
5. 中 彩乃:悪性黒色腫に免疫染色を施行した1例、兵庫臨床細胞学会
第33回総会、神戸、2017.3.4.


あとがき

 新緑が眩しい季節になりました。皆様いかがお過ごしですか?窓から差し込む光がとてもキラキラしていて、思わず出掛けたくなってしまいますよね。さて、そんな過ごしやすい季節もあっと言う間、すぐに梅雨の憂鬱な季節に突入します。「ばいう」とはもともと中国から伝わった言葉で、当初は「黴雨」(黴[かび]がよく生えるため)という字だったところを、6月にその実が熟す梅の字に変えて「梅雨」となったという節があります。この梅の実はじめじめとした梅雨の時期の心身の不調によい効果があるそうです。一日一粒の梅干しと素敵な傘で梅雨を乗り切りましょう!

神戸市立医療センター中央市民病院神戸市立医療センター中央市民病院

〒650-0047
神戸市中央区港島南町2丁目1-1
[地図]
Tel. 078(302)4321
Fax. 078(302)75370

クリニック案内 - ビルダークリニック