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検査部タイムズバックナンバー

◆◆特集第2号◆◆        

造影超音波検査の進歩      生理機能検査室 岩崎 信広


【造影超音波検査】
腫瘤性病変の血流動態的評価は診断や治療方針の決定においてきわめて重要である。超音波を用いた血流動態の評価法として、従来よりカラードプラ検査が用いられているが、血球からの反射音波のみを利用しているため、反射音波が弱ければ感度が低下する。しかし、造影超音波検査は造影剤が強い反射源となるため、より高感度に血流動態を評価することが可能である。

【超音波用造影剤:SonazoidⓇ】
SonazoidⓇは肝腫瘤性疾患の診断を目的とした超音波造影剤である。この造影剤は化学的に安定なガスであるペルフルブタン(PFB;図1)を内包させた製剤で、投与後は呼気中に排泄される。2007年1月の販売開始後5年が経過しているが重篤な副作用はほとんど報告されていない。CT検査・MRI検査など他の造影剤を用いる画像診断法では一定の割合で重篤な副作用があり、造影剤に対して過敏症が有る場合は施行できないが、造影超音波検査はこれらの患者様においても施行が可能であり、肝腫瘤性疾患における唯一の血流動態的診断法となる場合がある。



【当院における造影超音波検査の現況】
造影超音波検査は造影モードの搭載された専用機器が必要である。腹部超音波検査室にはハイエンド超音波検査診断装置*1が6台配置されており、造影剤販売当初から積極的に取り組んできている。また、検査には高度な技術と知識が必要とされるが、精通した複数の技師が常任し臨床からの様々な要望に対応している。当院では造影超音波検査をスクリーニング造影検査と精査造影検査に区分し実施している。スクリーニング造影検査は腫瘤の存在診断を主たる目的としている。造影剤の投与は外来中央処置室で行い、その後、超音波検査室に移動してKupffer相*2(post vascular phase)における欠損像の有無について観察している。一方、精査造影検査は主に腫瘤の質的あるいは鑑別診断を目的としている。造影剤投与直後の血管相*3(vascular phase)およびKupffer相の観察を行うため、造影剤投与から検査終了まですべてを腹部超音波検査室内で行っている。さらに、多発性に腫瘤が認められる症例や他部位に新たに欠損像が認められた場合、病変部血管相の評価のため、造影剤を再投与し工藤ら1)の提唱した「Defect Reperfusion Ultrasound Imaging*4」を行っている(図2)。したがって、スクリーニング造影検査に比べ、検査時間が1時間程度必要になる場合もあり、午後から1人/1時間の予約枠で施行している。また、肝細胞癌の治療ではラジオ波焼灼治療*5(Radiofreequency Ablation:RFA)時に病変部が認識困難な場合、「Defect Reperfusion Ultrasound Imaging」を用いて、安全かつ的確にRFAが施行できるよう治療支援として積極的に施行している。

*1 ハイエンド超音波診断装置:最新の技術を採用し、高機能・高性能を追求した超音波診断装置。
*2 Kupffer相:造影剤(マイクロバブル)の一部は細網内皮系(肝臓ではKupffer細胞)に取り込まれる。Kupffer細胞を有さない腫瘍は造影されず、腫瘍と正常肝組織のコントラストの差が明瞭化し、腫瘍の存在診断が可能となる造影剤投与後5~10 分以降の時相。
*3 血管相:肝腫瘤性病変内、辺縁及びその周辺の血管を造影することができる造影剤投与直後から3分までの時相。
*4 通常の超音波検査で検出不能の結節をKupffer相で欠損像(Defect)として検出した後、造影剤を再投与しDefectを呈した結節が動脈血流を有するか否か再灌流(Reperfusion)を判定する手法。
*5 ラジオ波焼灼治療:超音波ガイド下に電極針を体外から病変部まで穿刺し、ラジオ波を通電することにより発生する高熱で病変部を凝固壊死させる治療法。



【造影超音波検査の応用】
現在、造影超音波検査は肝腫瘤性疾患の診断だけでなく、治療支援として肝癌の局所治療の穿刺ガイドや治療評価にも応用されるようになってきた(研究レベルでは造影剤を加熱作用増強剤としてマイクロバブルを用いた強力集束超音波治療法(HIFU)の検討も行われている)。また、肝切除においては術中造影超音波検査も広がってきている。術中造影では肝臓に直接プローブをあてることができるため、より詳細な観察が可能となり、体外からでは検出できない小さな病変も検出できる。したがって、切除範囲など術式の決定や変更における有用な指標となっている。

【症例】
1. 肝細胞癌:早期血管相(図3)

肝S6に1㎝大の内部不均一な高エコー腫瘤(矢印)が認められる。造影剤投与10秒後から腫瘤全体が濃染している。

2. 門脈腫瘍塞栓:再還流像(MFI)(図4)

門脈(P6)内に淡い充実性エコーが認められる(矢印)。MFIで内部を走行する腫瘍内血管が明瞭に描出されている。

3. 小腸悪性リンパ腫:血管相(図5)

回腸に限局性の壁肥厚を認め、層構造は不明瞭化している(矢印)。早期濃染および腫瘍内を樹枝状に走行する血管構築が捉えられている。

4. 転移性肝癌:Kupffer相(図6)

肝S6に1.5㎝大の明瞭な欠損像が捉えられている(矢印)。

【結語】
当院では造影超音波検査の導入により、肝腫瘤性疾患における診断能が飛躍的に向上した。また、肝癌の治療支援における役割も大きく、今後は術者の育成をはじめ検査・治療体制を更に充実させていきたいと考えている。

1) Kudo M,Hatanaka K,Maekawa K:Newly developed novel ultrasound technique, defect reperfusion ultrasound imaging, using sonazoid in the management of hepatocellular carcinoma.Oncology, 2010 Jul;78 Suppl 1:40-5. Epub 2010 Jul 8.



                      

検査部ニュース

------新規検査項目---------


*平成24年4月 院内実施化となった検査項目
①抗サイログロブリン抗体(Tg-Ab)
②抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO-Ab)

------学術関係報告---------

【論文発表】

○杤尾人司、他:
アルコール禁患者におけるクロルヘキシジングルコン酸塩による静脈採血時の適正な消毒時間:採血シミュレーションを加えた細菌学的検討 
医学検査Vol.61:374-379, 2012

【発表・講演等】平成24年1月~3月

○平成24年2月24日
第21回 腹部エコー実技講習会 「下肢静脈エコー」
講義:簑輪 和士  実技:黒田・浜田一・荒木・三羽
参加医師数18名

○平成24年2月25日
兵庫県技師会腹部超音波実技講習会 「消化管エコー」
実技:簑輪 和士・岩崎 信広

○平成24年3月3日  場所 京都テルサ
第5回 脳波・筋電図セミナー  講師
佐々木 一郎 : 「法的脳死判定」

○平成24年3月15日  場所  中央市民病院 講堂
第109回 腹部超音波カンファレンス  発表
  「消化管疾患診断のためのフローチャートを考える」
岩崎 信広:「当院における消化管疾患診断のフローチャートについて」
竹林 真実子:「典型的な消化管疾患のUS診断フローチャート」
三羽 えり子:「消化管疾患診断フローチャートの問題点」

○平成24年3月24日  場所 但馬地域地場産業振興センター
第 10 回北近畿 Heart Imaging 研究会 発表
川井 順一:「経食道心エコー法および3次元心エコー法による僧帽弁閉鎖不全症の評価」


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