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検査部タイムズバックナンバー

◆◆特集第19号◆◆        

神経伝導検査について
              生理機能検査神経部門 田中佑果


【はじめに】
 私たち人間は歩いたり、話をしたりと当たり前のように生活しています。もし神経に障害が発生すれば、こうした日常の単純な動作さえ困難になってきます。 今回はこうした神経系の疾患を診断する神経機能検査について説明します。 神経機能検査は主に、どの神経に異常があるのか、またどの位置が障害されているのかなどを調べる検査をしています。 当院では、神経伝導検査、体性感覚誘発電位(SEP)、反復刺激検査、聴性脳幹反応(ABR)など色々な検査を行っていますが、 今回はその中でも代表的な神経伝導検査を紹介します。

 神経は脳や脊髄にある「中枢神経」とそこから全身に分布する「末梢神経」とに分類されます。さらに末梢神経は、 脳が命令を出すことによって手足を動かす「運動神経」と、手足で感じた感覚を脳に伝える「感覚神経」に大きく分類されます。 神経伝導検査では、この運動神経と感覚神経に電気刺激を与え興奮させることで、その反応を筋肉や神経上から記録し、 神経の速さや伝わり方を評価します。

-こんな部屋で検査します-

○検査の流れ
・仰向けになって寝ていただきます。
・電極を手足に貼ります。
・次に刺激電極で皮膚の上から微弱な電気を流し、測定していきます。
電気といっても低周波の肩こりの治療器と同じようなものです。個人差はありますが、ピリピリとした痛みを伴う場合があります。
1つの神経につき数ヵ所刺激します。(上肢の場合だと手首・肘・二の腕など、下肢の場合だと足首と膝裏など)
・最後にメジャーで刺激間の長さを測ります。
※検査時間はだいたい30分くらいですが、目的とする神経が多かったりすると1時間ほどかかるときもあります。




-測定中の図-

○検査結果
刺激すると、このような波形が出てきます。



 運動神経を刺激して得られる波形は複合筋活動電位(compound muscle action potential:CMAP)、 感覚神経を刺激して得られる波形は感覚神経活動電位(sensory nerve action potential:SNAP)と言われ、 この波形から主に次の4つの項目をみて波形を解析していきます。
① 潜時(Latency):波形が立ち上がるまで→刺激してから筋肉あるいは神経が興奮するまでの時間
② 持続時間(Duration):波形の立ち上がりから基線に戻るまで→神経伝導速度にばらつきがないかどうか
③ 振幅(Amplitude):基線と頂点との差→刺激が伝わった神経の数
④ 神経伝導速度:メジャーで測定した刺激間の距離÷潜時
※神経伝導速度の正常値は上肢が50~60cm/s、下肢が40~50cm/sです。

○検査結果の解釈
神経細胞は、下図のように神経細胞体から軸索が伸び、軸索の周りに髄鞘が取り巻いています。軸索は神経情報を伝達する働きを、髄鞘は伝達速度を速くするという働きがあります。



末梢神経の異常は軸索の障害、髄鞘の障害および両者が混在した病変に大別することができます。

〈軸索の障害〉
軸索が変性することで神経の情報を伝達できなくなるため振幅が小さくなりますが、神経伝導速度は正常範囲であることが多いです。主な疾患は、外傷や血管炎、薬物等の中毒によるものなどがあります。
〈髄鞘の障害〉
髄鞘が障害されることで神経線維によって神経伝達速度にばらつきが生じるため、CMAPは多相性となり、持続時間が長くなります。主な疾患は、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、シャルコー・マリー・トゥース病などがあります。

○神経伝導検査の注意事項
 神経伝導検査は皮膚の温度や身長、年齢などで検査結果が変わります。また、微弱な電気を流すのでピリピリとした痛みを感じることがありますが、 身体への悪影響はないので安心して検査を受けていただくことができます。

○最後に
 神経機能検査は、生理機能検査の中でも心電図や超音波検査に比べて比較的受ける頻度の少ない検査です。 神経の検査と言われてもあまりイメージできない分野だと思うので、分からないことや気になることがあれば、気軽に質問してください。また、特にこの検査は力が入ってしまうと正しい波形が得られないため、検査が進まなくなってしまいます。最良の結果を得るためには患者さんの協力が必要です。一緒に頑張りましょう。


〈参考文献〉 神経伝導検査 ポケットマニュアル、医歯薬出版株式会社 臨床検査学講座第3版 生理機能検査学、医歯薬出版株式会社

検査部ニュース

------学術関係報告---------

【論文発表】
1.杤尾人司:教科書には書いていない採血のコツ12:血管迷走神経反応(VVR)の回避法「患者を笑顔に」
 検査と技術44:293, 2016
2.玉木恵里子, 杤尾人司, 木川雄一郎, 今井幸弘, 黒田真百美, 荒木直子, 登阪貴子, 橋本一樹,
 簑輪和士, 加藤大典:造影超音波検査で化学療法前後のVascularityの変化を評価した
 乳腺のMyeloid Sarcomaの1例, 日本超音波医学会2016- Vol.43 (No.3):509-514
3.杤尾人司, 玉木恵里子、今井幸広、岩崎信広、鄭浩柄、杉之下与志樹、簑輪和士、猪熊哲朗:
 ソナゾイド造影超音波の残存を認めた血管筋脂肪腫におけるCD68陽性細胞の腫瘍内局在について, 
 肝臓 2016,57:302-304

【学会報告、講演】
1.森田明子:急性骨髄性白血病におけるFLT3-ITD発現量の意義.
 第17回日本検査血液学会、福岡、 2016.8.6.
1.丸岡隼人:HRM解析を用いたAML遺伝子変異スクリーニング法.
 第17回日本検査血液学会,福岡,2016.8.6.
2.白石祐美, 丸岡隼人, 山本駿, 矢野由希子, 末岡馨, 老田達雄:
 HRM解析を用いたAMLにおけるRAS遺伝子検査法の確立. 第65回日本医学検査学会, 神戸, 2016.09.03
3.香原美咲, 松下隆史, 中村真実子, 南佳織, 菅原雅史, 佐々木一朗, 杤尾人司, 簑輪和士:
 手根管症候群では近位部の伝導速度が低下する-MCV、F波を用いた検討-.
  第65回日本医学検査学会, 神戸, 2016.09.03
4.野本奈津美, 田村明代, 内藤拓也, 中村真実子, 仁木真理恵, 森田明子, 角田敏明, 老田達雄:
 当院臨床検査技術部におけるTeam STEPPS導入への取り組み. 第65回日本医学検査学会,
 神戸, 2016.09.04
5.奈須聖子,竹川啓史,野上美由紀,仁木真理恵,内藤拓也,野村菜美子,神田彩,﨑園賢治:
 当院における過去10年間の血液培養検査の解析. 第65回日本医学検査学会, 神戸, 2016.09.04
6.森田明子、丸岡隼人、田代章人、尾松雅仁、井本秀志、上原慶一郎、今井幸弘:
 胸水細胞診を契機に早期診断に至ったTリンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)の一例.
 第65回日本医学検査学会, 神戸, 2016.09.03.
7.菅原雅史、井本秀志、松浦亮一郎、井本秀志、老田達雄:
 盲腸検体におけるEBER-ISH非特異反応についての検討. 第65回日本医学検査学会, 神戸, 2016.09.03.
8.杤尾人司、(森恵里子)、荒木直子、岩崎信広、簑輪和士、占野尚人、鄭浩柄、杉之下与志樹:
 超音波検査が有用であった食物残渣が充満した食道憩室(Zenkar憩室)の一例 
 日本超音波医学会第43回関西地方会学術集会, 大阪, 2016.10.29
9.松下隆史、岩崎信広、佐々木一朗、杤尾人司、江藤正明、鄭浩柄、
 杉之下与志樹、猪熊哲朗、大西栄次郎、今井幸弘:大腿神経原発後腹膜神経鞘腫の一例 
 日本超音波医学会第43回関西地方会学術集会, 大阪, 2016.10.29
10.松下隆史、香原美咲、中村真実子、浜田一美、佐々木一朗、幸原伸夫:
 脛骨神経F波最小潜時と脛骨神経体性感覚誘発電位(SEP)P40との相関
 -F波最小潜時からみたP40の予測-.第46回日本臨床神経生理学会 学術大会,福島,2016.10.27
11.田中佑果、登阪貴子、岩崎信広、佐々木一朗、杤尾人司、簑輪和士、
 鄭浩柄、杉之下与志樹、猪熊哲朗、島田誠一:超音波検査が有用であった卵巣滑脱ヘルニアの一症例 
 日本超音波医学会第43回関西地方会学術集会, 大阪, 2016.10.29
12.岩崎信広、シンポジウム「腹部超音波検査の進歩と新たなる展開」
 消化管超音波検査の原石-“initial 5 minutes” Ultrasonography in the gastrointestinal desease-
 日本超音波医学会第43回関西地方会学術集会, 大阪, 2016.10.29
13.香原美咲, 岩崎信広, 佐々木一朗, 杤尾人司, 杉之下与志樹, 鄭浩柄, 猪熊哲朗:
 異なる臨床経過をたどったGVHD腸炎の2例. 日本超音波医学会第43回関西地方会学術集会,
 大阪, 2016.10.29
14.山本駿,太田光彦,紺田利子,角田敏明,菅沼直生子,野本奈津美,大畑淳子,
 谷知子,加地修一郎,古川裕:消化管の解剖学的位置異常に心エコー図検査が有用であった一例.
 日本超音波医学会第43回関西地方会学術集会, 大阪, 2016.10.29


あとがき

日に日に寒さが増してきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
そろそろコタツとみかんが恋しい季節となりましたね。みかん2~3個で1日分のビタミンCがとれるそうです。みかんのビタミンCには寒い冬を乗り切るためのパワーがたっぷりつまっているので、みかんを食べて冬を元気に乗りきりましょう! インフルエンザなどの流行時期となりますので、体調にお気をつけてお過ごしください。

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