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検査部タイムズバックナンバー

◆◆特集第15号◆◆        

見逃しません!!輸血後感染症!!
              輸血検査管理室  吉田 昌弘


●輸血による感染症とは?

 現在、我が国で輸血を受ける患者数は年間約120万人と言われています。このように輸血は誰もが受ける可能性のある身近な医療であり、患者さん自身でその安全性を正しく理解していくことが大事になってきます。
 輸血とは血液を作る力が低下しているとき、あるいは出血をして貧血状態になったときに、他人の血液で補う治療法です。


 この輸血において、切り離すことのできない問題として輸血によるウイルス感染症があげられます。
輸血によるウイルス感染症対策として、赤十字血液センターにて高感度にウイルスを検出できる核酸増幅検査(NAT)を導入したことにより、 検査の精度は以前と比較して格段に向上し安全性が高まったといえます。

 赤十字血液センターでNATが導入されて以降、当初の500検体プール法※1(1999年~2000年)から50検体プール法(2000年~2004年)、 20検体プール法(2004年~2014年)、さらには1検体ずつ個別(2014年8月~)にNATが行われるように検査が厳格化されました。

 しかし、献血者がウイルス感染直後のいわゆる『感染ごく初期』の場合、このNATをもってしても検出することは困難であり、 検査でウイルスが検出できない時期(ウインドウピリオド)が発生することになります。 現在は、輸血後のウイルス感染は限りなくゼロに近づいていますが、完全にゼロにすることができないのが現状です。

 ※1 検体プール法  検体をある程度まとめて検査する方法。
 まとめて行うので手間がかからないが、検体数が多ければ多いほど検出感度が悪い。


 このような背景から、2004年4月1日に「生物由来製品感染等被害救済制度」が創設されました。
この制度は、輸血製剤を適正に使用したにもかかわらず、その製品が原因で感染症等に罹患した場合、迅速に救済するための制度です。万が一、輸血によって何らかの病原ウイルスに感染した場合、上記制度で救済を受け、医療費、医療手当、障害年金などの給付を受けることができます。
そして、この救済制度を受けるためには輸血前後の感染症検査が必要となってきます。

 当院では2014年4月輸血実施分より、患者さんが輸血後3~4ヶ月後に感染症検査を受けていただくため、「輸血後感染症のおすすめ」のダイレクトメールをご自宅宛てに郵送しています。
  
そこで輸血後感染症検査に関わる様々な疑問を質問形式でお答えしていきます。


◎輸血後感染症って?その頻度は?
輸血が原因でB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エイズウイルス(HIV)などのウイルス感染症に罹患することです。 2014年8月から1検体ずつ個別にNATを行うように検査が厳格化していったことで、さらに検出感度が高くなり、輸血後感染例数は、 B型肝炎ウイルスが年間1例未満、C型肝炎ウイルスとAIDSウイルスに関しては数年~10年に1例未満になると推定されています。

◎検査項目は?
当院では、厚生労働省の「輸血療法の実施に関する指針」に準拠し、HBV核酸増幅検査、HCVコア抗原検査、 HIV抗体検査の3項目を輸血後感染症検査として行っています。

◎輸血後感染症検査はなぜ必要なの?
NAT導入で、安全性が高まったとはいえ、ウイルス感染のリスクをゼロにすることは不可能です。 そのために創設された「生物由来製品感染等被害救済制度」により救済を受けるために必要です。 また、輸血によるウイルス感染症が疑われた場合、それを早い段階で察知し早期に治療介入することで重症化を防ぎます。

◎救済制度を受けるためには、輸血前後の感染症検査が必要になるとのことですが、
 輸血前の検査は全員実施しているの?

輸血前に感染症検査を実施しない場合もあります。しかし当院では、輸血前の患者様の血液を一定期間保存しています。 万が一、患者さんに感染が認められた場合、輸血が原因でウイルス感染したことを証明するために、その血液を用いて詳細に検査することができます。

◎輸血後感染症検査はみんな受けているの?絶対受けないといけないの?
当院ではダイレクトメールを送った患者さんのうち60~70%の方が検査を受けています。検査を受けていただくことを推奨していますが、強制されるものではありません。

◎費用はどの程度かかるの?
検査費用は、健康保険3割負担で約3000円です
(別途、初診の場合は約810円、再診の場合は約210円がかかります)。

◎検査結果はいつわかるの?
検査結果が出るまで約2週間かかります。
結果については、担当医より説明がありますので外来受診をお願いします。

◎検査を受けたいです。どのように予約をとればいいの?
下記の当院輸血後感染症検査窓口までお電話下さい。
TEL:078-302-7173(平日の9:00~17:00)

◎ダイレクトメールに最後の輸血から3ヶ月後に検査が必要とありますが、
 5ヶ月後の検査でも大丈夫?

検査を受けていただくことは可能ですが、早期発見のため適切な時期として、最終輸血日から数えて3~4ヶ月後を推奨しています。 目安となる日が近づいたら(輸血後約2ヶ月後)、当院からご自宅宛てにダイレクトメールを発送し、適切な時期の受診をお勧めしています。

◎万が一、輸血が原因で感染症にかかったら?
輸血が原因で感染症にかかった場合、健康被害を受けた方の救済を図るための生物由来製品感染等被害救済制度があります。これは医療費、医療手当、障害年金などの給付を受けることができる制度です。

◎ダイレクトメールの対象となる血液製剤は?
赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤などの「輸血用血液」が対象となります。

◎アルブミン製剤や免疫グロブリン製剤はダイレクトメールの対象ではないの?
アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、凝固因子製剤、フィブリン製剤などの「血漿分画製剤」については、 当院からのダイレクトメールは発送していません。輸血後感染症検査の対象ではありませんが、 もし気になるようでしたら当院輸血後感染症検査窓口まで電話し検査の予約をお願いします。
ただし、保険対象外となります。

◎NATで感染の判定ができない時期(ウインドウピリオド)の目安は?
B型肝炎ウイルスは約34日、C型肝炎ウイルスは約23日、エイズウイルスは約11日です。 感染直後であるこの時期に献血された血液の場合、検査で感染の判定ができないため、 その血液が輸血されることがあります。そのため、輸血後3~4ヶ月後に検査を受けていただくことをお勧めしています。

◎他の病院で検査を受けてもいいですか?
大丈夫です。もし当院からのダイレクトメールや連絡があった場合は、 他の病院で検査する旨を伝えていただければ結構です。 検査結果についてはとくに当院に知らせる必要はありません。


 当院の輸血検査管理室では、より多くの患者さんが、輸血に対しての安全性を正しく理解したうえで、 安心して輸血を受けていただきたいと考えています。
 医師をはじめとする医療従事者、そして患者さんに、輸血と輸血後感染症検査はセットであるという認識を深めてもらい、 輸血後感染症検査の実施率をより100%に近づけていけるように尽力していきます。

検査部ニュース

------学術関係報告---------

【論文発表】
1. 野本奈津美、谷知子:心臓腫瘍. 循環器臨床を変えるMDCT –そのポテンシャルを活かす-
  :218-221、2015
2. 杤尾人司:翼状針の斜め持ち、検査と技術43:305, 2015
3. 杤尾人司:教科書には書いていない採血のコツ バトンリレースタイル法、検査と技術43:487, 2015
4. 杤尾人司:教科書には書いていない採血のコツ:駆血帯の下止め、検査と技術43:487, 2015

【学会報告、講演】
1. 川井順一:xMATRIXプローブを使用した心エコー検査の実際.第2 関西PHILIPS超音波セミナー
  神戸,2015.7.4
2. 岩崎信広:消化管の超音波診断-Lights and Shadows-GE Ultrasound Summer Forum2015
  名古屋、2015.7.26
3. 川井順一:心エコーのルーチンを変えるxMATRIXテクノロジー.第3回関西PHILIPS超音波セミナー
  大阪(大阪マータンダイズ・マート),2015.7.12
4. 森田明子:Anaplastic large cell lymphoma との鑑別に苦慮した Aggressive NK cell
  leulemia/lymphoma の2症例.第16回日本検査血液学会学術集会,名古屋(名古屋国際会議場)
  2015.7.12

あとがき

梅雨も明け、暑い夏がやって来ました。夏の鮮やかな色彩が大好きです。
とはいえ、暑いのも、寒いのも苦手なのですが…。
桃やスイカなどの果物の美味しい季節でもあります。また、夏野菜には体を冷やす効果のあるものもあるようです。 私の暑さ対策はスイカと寝具の工夫です。自分なりの工夫で猛暑を乗り切りましょう。こまめに水分補給して、熱中症には気を付けましょう。

涼しげな写真でもどうぞ。                    

 

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