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◆◆特集第12号◆◆        

カビと臨床検査
              微生物検査室 内藤 拓也

 夏には食中毒(O-157など)が発生しやすく、冬ではインフルエンザといった感染症が流行します。
感染症は一般細菌やウイルスが多くを占めていますが、 細菌の中でも「真菌」によって起こる感染症もあります。 真菌は糸状菌、酵母に大きく分類でき、水や土壌、空気、動物などの環境中に多くが存在していることから菌を吸い込む肺や傷口といった皮膚からの感染が見られます。


<糸状菌とは??>
 菌類のうち、菌糸と呼ばれる管状の細胞から構成されるものの総称です。
いわゆるカビやキノコをイメージしてもらえれば分かりやすいのではないかと思います。
何だか汚いイメージしか浮かんでこないですが、日本では食卓に欠かせない酒や味噌、 醤油に大昔から使われ、現在でも医薬品として使用され続けていることからも、人類はカビと共生してきました。
(ex. 泡盛⇒アワモリコウジカビ、抗菌薬⇒ペニシリン など) 
足の指や足底、爪に発症するあの水虫もTrichophyton rubrum(トリコフィトンルブラム)などといった糸状菌による感染症です。
 感染部位によって深在性(内臓)真菌症、深在性(深部)皮膚真菌症、および浅在性(表在性)真菌症に分類され、代表される疾患には ①アスペルギルス症、②カンジダ症、③クリプトコッカス症が挙げられ、特に免疫力が低下している易感染者の場合に重篤な真菌症を引き起こしやすくなります。
今回は真菌の中でも糸状菌について、その検査法を紹介します。

<糸状菌の検査>
1.肉眼的観察
1)ジャイアントコロニー の作製
 患者さんの検体(痰、皮膚、血液など)を培養し、培地にジャイアントコロニー(巨大で単一の菌塊)を発育させる事で、その発育速度や色(裏表)、 コロニー表面の状態、菌糸の状態などを観察します。一般細菌の多くは24時間程度で発育しますが、糸状菌は数週間かかる場合もあります。
菌種によって発育条件(発育温度、培養時間)を考えながら行います。


     <Mucor.sp>              <Scedospolium prolificans>
      (ムコール)              (スケドスポリウムプロリフィカンス)
<特徴>・綿状                 <特徴>・若いコロニーは綿状、または湿潤、
    ・初めは白色で、後に灰色または          淡灰色~黒色
     灰色がかった褐色               ・成熟すると暗褐色~黒色
    ・発育速度は速い                ・古くなると白色の菌糸体が生じる


   
   <Syncephalastrum racemosum>          <Aspergillus fumigatus>
   (シンセファラストルムラセモスム)           (アスペルギルスフミガツス)
 <特徴>・白色の綿状から、やがて暗灰色~黒色に変化  <特徴>・表面はビロード状または粉末状
     ・発育速度は速い                   ・辺縁は幅の狭い白い帯状
                                ・裏面は白色~黄褐色

2.顕微鏡的観察
 顕微鏡による観察では菌糸の状態、分生子(菌が形成する胞子)の大きさ・形・構造などといった形態を確認します。 例えば、下図のたんぽぽの綿毛が飛んでいるようにも見える菌はAspergillus属ですが、Aspergillus属であればいくつかのポイントを確認して菌名を同定します。



このように、分生子がどのように形成されているかを顕微鏡で観察するために、
以下のような方法を行っています。

1)直接塗抹法(セロテープ法、捺印法)
 培地に発育したコロニーの胞子をセロテープにくっつけ、スライドガラス上でラクトフェノール・コットンブルー液(染色液)を用いて染色します。直接塗抹法は非常に簡便で迅速に形態を観察する事ができます。

2)スライドカルチャーの作製
 スライドガラス上の約5mm角の寒天培地に菌を接種し、培養の後に菌が付着したカバーガラスを顕微鏡で観察します。スライドカルチャーを作製すると時間はかかりますが、菌糸や分生子の形態的特徴をよりきれいに菌糸や分生子の形態的特徴を観察することができます。
さらにカバーガラスの周囲をマニキュアなどで封入(空気を遮断して密閉)することで長期間標本を保存することができます。







4.薬剤感受性
 菌の発育が見られるところでは、菌の生成する酸化還元酵素により指示薬の色調が青⇒赤(菌が発育:抗菌薬の効果がない濃度)に変化することを利用してどの薬がどの濃度であれば効果があるかを判定しています。
真菌症治療薬が予め塗布されているパネルへ、規定濃度に調整した菌液を分注して培養にかけます。
通常であれば培養から24時間で中間判定、48時間で最終判定を行います。



5.まとめ
 真菌の場合は発育が遅い菌種であったり、顕微鏡による観察も経験が必要ですぐに同定できるとは限りません。しかしながら、真菌の中には効果がある薬が限られていたり、効果があった薬が効かなくなっている場合(耐性化)もあります。特に深在性真菌症や血流感染の場合は迅速な同定が求められ、当院では分子生物学的方法により遺伝子配列から菌を同定することも併用しています。

 以前にも増して臨床検体から真菌を分離・同定しなければならない傾向にあり、一般に真菌は馴染みのない菌名や形態ばかりで戸惑うことの方が多いのが現状です。
しかし、これからも希少な真菌に遭遇する可能性は十分に考えられます。治療へ迅速に貢献できるよう、更なる努力で技術や知識の向上を目指していきます。

<参照>
①:病原真菌同定の指針 奥平雅彦 文光堂 1986
②:医真菌 同定の手引き(第5版) D.H.ラローンほか 栄研化学株式会社
③:http://www.bdj.co.jp/safety/articles/ignazzo/hkdqj2000005r4ix.html

検査部ニュース

------学術関係報告---------

【学会発表】

1. 丸岡隼人:血液シンポジウム フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピング. 第54回日臨技近畿支部医学検査学会 神戸国際会議場 2014.9.20

2. 吉田昌弘, 丸岡隼人, 藤原容子, 那須浩二, 老田達雄:悪性リンパ腫における免疫グロブリンL鎖再構成の検出系の確立.  第54回日臨技近畿支部医学検査学会 神戸国際会議場 2014.9.21

3. 森田明子, 堀香菜, 菅原雅史, 坂本紀子,松浦亮一郎,井本秀志,田村明代,老田達雄:当院での肺多形癌(Pleomorphic carcinoma)の細胞学的検討.  第54回日臨技近畿支部医学検査学会 神戸国際会議場 2014.9.21
4. 堀香菜,森田明子, 井本秀志,松浦亮一郎,田村明代,老田達雄:EBER-ISHにおける後固定の有用性の検討  第54回日臨技近畿支部医学検査学会 神戸国際会議場 2014.9.20

5. 成田祐美, 栃尾人司, 濱田充生, 簑輪和士, 老田達雄:超音波検査で指摘し得た下腰ヘルニアの一例. 第54回 日臨技近畿支部医学検査学会 神戸国際会議場 2014.9.21

6. 川井順一:【活用編】他メーカからのシステム更新と現在の運用(次期部門更新に思うこと). 第1回関西Vitaセミナー(生理検査部門システムフォーラム) グランフロント大阪ナレッジキャピタル 2014.9.13

7. 森本美咲,竹川啓史,野上美由紀,内藤拓也,野村菜美子,﨑園賢治、田中佑果:Syncephalastrum racemosumによる人工膝関節津感染の1例.第54回 日臨技近畿支部医学検査学会 神戸国際会議場 2014.9.21

8. 松下隆史:膵或いは膵周辺に腫瘤を形成した腹部悪性リンパ腫の1例. 第114回腹部超音波カンファレンス 2014.10.30

9. 玉木恵里子:膵NETの1例. 第114回腹部超音波カンファレンス 2014.10.30

10. 登阪貴子:膵外傷の1例. 第114回腹部超音波カンファレンス 2014.10.30

11. 岩崎信広:消化管の超音波診断. 第114回腹部超音波カンファレンス 2014.10.30

12. 岩崎信広:消化管エコーの光と影. 消化管エコーセミナー 大阪 2014.11.1

13. 丸岡隼人, 吉田昌弘, 老田達雄, 石川隆之:Pfaffl法を用いたNPM1変異遺伝子の定量解析. 第61回日本臨床検査医学会学術集会, 福岡 2014.11.23

14. 吉田昌弘, 丸岡隼人, 老田達雄:B細胞性悪性リンパ腫における免疫グロブリンL鎖再構成検査の有用性. 第61回日本臨床検査医学会学術集会, 福岡 2014.11.23

15. 森田明子,丸岡隼人,老田達雄, 越智陽太郎,今井幸弘:乳腺に浸潤を認めたCD61陽性・MPO陽性のAMLの1例. 第61回日本臨床検査医学会学術集会, 福岡 2014.11.24

16. 中野彩、谷知子、紺田利子、藤井洋子、中村仁美、三羽えり子、川井順一、菅沼直生子、野本奈津美、古川裕:重症度が異なるpradoxical low-flow low-gragient Aortic Stenosisの2例. 日本超音波医学会第41回関西地方会学術集会,京都,2014.11.22

17. 宮本淳子、谷知子、紺田利子、藤井洋子、中村仁美、角田敏明、川井順一、菅沼直生子、野本奈津美、古川裕:心エコー図検査がStructural valvular deteriotation(SVD)の診断に有用であった2症例. 日本超音波医学会第41回関西地方会学術集会,京都,2014.11.22

18. 栃尾人司、菅原雅史、今井幸弘、他:造影超音波の後血管相で転移性肝癌の周囲に見られるhyper enhance rim(HER)について:切除標本による病理組織学的検討.  日本超音波医学会第41回関西地方会学術集会,京都,2014.11.22

19. 岩崎信広:(講演〉消化管エコーの光と影. 消化管エコーセミナー2014 in 大阪,2014.11.1

20. 岩崎信広:(講演)画像診断におけるUSの役割-必要な知識と考え方- 第179回 大阪腹部超音波研究会,2014.11.14

21. 松下隆史、栃尾人司、杉之下与志樹、他:急性胆嚢炎を契機に腹部USで発見し得た胆嚢癌~Mixed Adeno NeuroEndcrineCarcinomas(MANECs)の一例~本超音波医学会第41回関西地方会学術集会,京都,2014.11.22

22. 玉木恵里子、栃尾人司、今井幸弘、木川雄一郎、他:「造影超音波検査を施行したmyeloid sarcomaの1例」日本超音波医学会第41回関西地方会学術集会,京都,2014.11.22


あとがき

最近めっきり寒くなりましたね。
話題の爆弾低気圧がやってきて、朝起きるのがかなりつらくなってきたこの時 期、皆様いかがお過ごしでしょうか。暑い時には熱いものを食べろとよく言いますが、寒い時にも熱いものはもってこい ですよね。
体の温まるものを食べると、外は寒くても体はポカポカです。
特に冬は大人数で囲む鍋が最高ですね!
大根おろしで好きなキャラを形作る3D鍋が近頃流行りのようですが、私たちはや はり王道の寄せ鍋が一番です。シメは雑炊でおなかいっぱいになるとなお良いですね。
これで寒い冬を乗り切りましょう!!
P.S.いつか神戸牛ですき焼きもしたいです☆  (M.K & K.H)
                     

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