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検査部タイムズバックナンバー

◆◆特集第11号◆◆        

検査室を飛び出そう!-ベッドサイド検査の現状-
              神経機能検査室 中村 真実子

【はじめに】
生理検査室では、通常患者さんに検査室に来ていただき検査を実施しています。
しかし、さまざまな理由で患者さんが検査室に来ることができないケースがあり、その際、 臨床検査技師が患者さんのもとへ伺って検査をしています。このような場合、検査室とは異なる環境であり検査を実施するにあたってさまざまな工夫が必要となります。
今回は、腹部・神経機能検査室の臨床検査技師が検査室を飛び出してどのように検査をしているのかベッドサイド検査を中心に紹介します。  

【出張する場所と実施している検査の種類】
検査室を出て検査する場所として最も多いのはICU(集中治療室)などの重症部門です。ICUの患者さんは容態が不安定であることが多く、また多くの点滴や人工呼吸器などの医療機器を必要としているため検査室への移動が極めて困難であり危険を伴います。そのため検査技師が検査の機械をもって病室に出張して検査しており、これはベッドサイド検査あるいはポータブル検査と呼ばれています。 腹部・神経機能検査室では脳波検査、腹部超音波検査、血管超音波検査、神経機能検査などでベッドサイド検査を実施しています。




[グラフ]は2013年度のベッドサイド検査の割合を検査種ごとに示したものです。2013年度の総数は14,991件でその内ベッドサイド検査は338件実施されていました。 当院では圧倒的に脳波検査の件数が多く、これは重症部門に入院されている患者さんはしばしば意識障害を伴っており脳波検査が意識障害の精査として依頼されるためだと考えられます。
神経機能検査も同様に脳機能の検査として依頼され出張することが多いです。

腹部超音波検査は主に肝臓、胆嚢、胆管などの評価、血管超音波検査は下肢深部静脈血栓(長期臥床等が原因で足の静脈にできる血栓)の探索の依頼が多いです。

【検査室で行う検査との違い】
検査室とそれ以外の場所で検査するのはどのような違いがあるのでしょうか。ベッドサイド検査の最も多い脳波検査を例に挙げて紹介します。
(1)検査機器
 ベッドサイド検査を行うにはまず検査機器を運ばなければなりません。検査室で使用している脳波計は大型で容易に運ぶことができないため、 ベッドサイド検査では一人で簡単に移動できる小型の脳波計を使用しています(図1)。


機械が小型であることは病室の限られた空間で検査する際にも他の医療機器等の邪魔にならず便利です。 しかし、当院のベッドサイド検査用の脳波計には患者さんの状態を記録するビデオカメラが装備されていないため、 検査技師が検査時の状態をメモにとるなどして詳細に記録する必要があるなど、機能面において検査室の脳波計より劣る部分があります。

(2)環境
 通常、脳波検査はシールドルーム(図2)と呼ばれる部屋で実施しています。


この部屋は脳波検査にとってアーチファクト(本来記録されるべき脳活動以外を由来とする波形) の原因の一つである電磁波を遮断することができ、脳波の記録には最適な環境です。一方、ベッドサイド検査をすることの多いICUには医療機器をはじめとするアーチファクトの原因が多く存在し、 脳波検査にとって必ずしも良い環境とはいえません。そのため、病棟スタッフに電源を切ることができる機器はコンセントを抜いてもらったり、 電源を切ることのできない機器は患者さんからできるだけ距離をとるなどして、検査にとってできる限り良い環境に近づける工夫をしています。




図3Aはベッドサイド検査にてアーチファクトが著明に混入した脳波です。線が太くなっているように見える部分(矢印)がアーチファクトの著明な部分で、 これらはすべて頭の左側に装着した電極で記録されたものです。これでは本来の患者さんの脳波を判読することができず検査をした意味がありません。
ここからが検査技師の腕の見せ所です。波形からアーチファクトの主な原因が交流障害であろうと予想し、前述したような対策を講じました。 しかし、脳波を判読できる程アーチファクトを除去することができなかったため、隣室やナースステーションなど病室外の環境の影響であろうと考え、 時間をあらためて再検査することにしました。
図3BがAの約4時間後に再検査して記録された脳波です。Aと比較してアーチファクトが軽減しており、判読が可能です。 おそらく病室外の電気的な環境が変化したためアーチファクトが軽減されたと考えられます。
このようにベッドサイド検査では検査技師の知識や経験が必要となる場面があり検査室での検査の”応用編”ともいえます。

【臨床検査技師が検査室を飛び出すこと】
検査室で仕事をしていると他職種のスタッフと関わることが少ないですが、ベッドサイド検査では患者さんの体を支えてもらったりアーチファクト対策に協力してもらうために 病棟スタッフと必ずといっていいほど関わりを持ちます。
他にも検査について質問されたり、私たちも分らないことを聞くなどしてお互いの知識を交換することもあり、 専門外のことを学ぶことで視野が広がるというメリットがあります。検査室の検査では診療の中の検査の部分しか実際に見ることができませんが、検査室の外に行くことで視野が広がり、 検査が医師の診察や看護師のケアなどを含めた大きな診療の流れの一つであることを実感できます。
その中でどのような検査をしたら患者さんの診療に役立てるのかを考えるきっかけとなり、 臨床上有用な検査結果を報告する意欲へとつながると思います。 また、普段あまり見ることのない検査技師の仕事を病棟スタッフに見てもらうことで検査技師という職業を知ってもらう良い機会にもなっていると考えられます。
このような職種間の相互理解が少しでもあるとスタッフ間の連携がスムーズになり患者さんの診療もよりスムーズに進めることができるようになります。

【おわりに】
ベッドサイド検査を中心に検査室以外での業務について紹介しました。ベッドサイド検査は今回紹介した脳波検査に限らず、 装置や環境が検査室とは異なり、さまざまな工夫を要するため検査室での検査より大変な部分があります。しかし、病棟スタッフとの関わりを持つことで視野が広がり、 相互理解を深める機会にもなっています。 ベッドサイド検査以外にも感染対策チーム(ICT)や栄養サポートチーム(NST)、術中神経モニタリングなど検査室を飛び出して行う業務が多くあります。
いずれもさまざまな職種のスタッフの中で検査技師の専門性を発揮できる領域を見つけて活躍しています。 この他にも病院の中で検査技師の力が必要とされ発揮できる場所を積極的に見つけていきたいと思います。

検査部ニュース

------学術関係報告---------

【論文発表】
山城明子、菅沼直生子,柴田洋子、田村明代、老田達雄:検査相談室開設後6年間の報告.医学検査 63:366-373,2014

【学会発表】
1. 森田明子,井本秀志,丸岡隼人,老田達雄,上野寿行,丹羽欣正:当院で経験した小腸浸潤を認めた慢性骨髄単球性白血病(CMML)の一症例. 第63回 日本医学検査学会,新潟,2014.05.17-18

2. 田村明代,那須浩二,角田敏明,森田明子,仁木真理恵,内藤拓也,野本奈津美,中村真美子,成田祐美,老田達雄:当院臨床検査技術部における医療安全チームの取り組み. 第63回 日本医学検査学会,新潟,2014.05.17-18

3.岩崎信広:シンポジウム消化管超音波検査の進歩-腫瘍性疾患の超音波診断-目標とすべき診断レベル. 日本超音波医学会第87回学術集会、横浜、2014.5.11

4.成田祐美、杤尾人司、杉之下 与志樹、鄭 浩柄、今井幸弘、田村明代、岩崎信広、濱田一美、箕輪和士、猪熊哲朗:超音波にて肝血管腫の周囲に見られる低エコー域についての検討 日本超音波医学会第87回学術集会、横浜、2014.5.11

5.竹川啓史:真菌の基礎から臨床.福井県臨床検査技師会.福井.2014.7.12

6.竹川啓史:真菌同定の重要性 ~Exophiala dermatidisの症例を経験して~ .平成26年度近畿地区微生物合同研修会.大阪.2014.8.30

7. 岩崎信広:やってみたくなる!消化管エコー-小腸疾患を中心に. 第5回小児小腸内視鏡研究会, 大阪, 2014.7.6

8.岩崎信広:消化管の超音波検査 –TURUGI-. GE Ultrasound seminar 大阪, 2014.7.13

9.岩崎信広:消化管の超音波検査 –TURUGI-. GE Ultrasound seminar 東京, 2014.8.3

10.川井順一:EPIQの使用経験と3次元心エコー法の活用.関西Structural Heart Diseaseセミナー 大阪,2014.8.9

11.川井順一:ぜん息・COPDの予防等に関する講習会 スパイロメータを用いた肺年齢測定実習について.神戸市・独立行政法人環境再生保全機構(予防事業部)神戸,2014.8.25

あとがき

臨床検査技術部のHPが新しく出来てから約2年半が経ちました。
更新も今回でようやく10回目です。
3ヶ月に一度の更新ですが、更新を重ねるごとに”TEKARI“がよりてかてかと輝くように、自分自身も磨き、より良い情報を発信していきたい。 (O.M)
                                                       

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