新生児科

新生児科部長 山川 勝

神戸市立医療センター中央市民病院
新生児科部長
山川 勝

成育医療の出発点 — 母体・胎児医療から新生児医療へ

当科は、新生児集中治療室(NICU)9床、新生児治療回復室(GCU)12床からなる新生児センターを運営し、神戸市医療圏における地域周産期医療の提供に努めています。救命救急センター併設総合病院の中にあって、産科、MFICU(母体胎児集中治療室)と共に総合周産期母子医療センターを構成し、切迫早産、異常妊娠・分娩などの産科合併症に加え、内科・外科合併症(心血管疾患、免疫血液疾患、腎疾患、感染症など)妊娠など母子にとってハイリスクとなるあらゆる出産に対し、専門各科と連携して、母体・胎児医療の延長線上にある新生児医療に取り組んでいます。

新生児医療は、すべての医療分野の中で最もチーム医療が発達した分野であり、医師、看護師、臨床工学士、薬剤師、理学療法士およびケースワーカーが緊密なコミュニケーションをとり、こどもたちに最善な医療の提供に努めています。

NICU診療と発達ケア(デベロップメンタルケア)

心エコー写真 準備中

〈NICU:新生児集中治療室〉

NICUとは、Neonatal Intensive Care Unitのイニシャルで、新生児集中治療室を意味します。 出生時の適応障害から呼吸循環不全を来した児、切迫早産や早期破水などにより予定日より早く生まれた児や先天的な異常を持って生まれた児を収容し、24時間体制で医師、看護スタッフが治療・看護に当たっています。新生児の脈拍数、呼吸数、血液中の酸素量、炭酸ガス量、血圧を正確に監視し、状態をきめ細かく観察します。診察やレントゲンに加え、超音波検査(心臓・頭部・腹部エコー)が頻繁に行われ、正確な診断に努めます。成人の集中治療室(ICU)と同様に人工呼吸や、中心静脈栄養が行われますが、新生児専用の人工呼吸器が用いられ、また血管カテーテルは髪の毛程度の太さです。さらに、未熟な肺を広げる人工サーファクタント療法、固く収縮した肺血管を拡張させる一酸化窒素(NO)ガス療法、心不全の原因となる“動脈管”を内科的に閉鎖し手術を回避するインドメタシン療法などは、NICU独自のユニークな治療方法です。

カンガルーケア写真 準備中

〈デベロップメンタルケア〉

NICUで重要なことは、治療を受ける児が発育途上にあることで、その成長発達をサポートするデベロップメンタルケアが行われます。これは、児の反応に合わせて環境や処置方法を工夫しながら行うケアで、光や音からの保護、児の姿勢など、光や音からの保護、児の姿勢など、お母さんの胎内に近い環境を提供します。また、愛着形成、親子関係の確立を支援するため、早期より両親の児へのタッチングをお勧めしており、これは児にとっても情緒が安定し眠りが深くなり、発達を促すなどの効果があるとされています。さらに、状態が安定した時期からカンガルーケアが行われます。これは、児と母(父)親の肌が直接触れ合うように、胸の間に児を抱くことで、その姿がカンガルーを連想させることからそう呼ばれています。カンガルーケアにより、赤ちゃんは呼吸が安定し、体重増加にもつながるとされ、母親は母乳分泌が促されます。一緒にいることで赤ちゃんの反応や個性の理解が深まり、愛着形成が期待されます。

かんがるートピックス

当院NICU、GCUでは年に1度NICU卒業生を招待し「かんがるートピックス」を開催しています。かんがるートピックスは、NICUを退院されたご両親から「交流や相談が出来る場がほしい」という声をきっかけに開始され、平成28年度で第20回を迎えました。

医師による講義やレクリエーションを通して、NICU卒業生やご家族、スタッフとの交流の場となっています。準備はスタッフ全員で行っており大変ではありますが、入院していた赤ちゃんが成長した姿を見せてもらえるので、スタッフ一同とても楽しみにしています。

かんがるートピックスの図
かんがるートピックス

成育医療センターとしての連携

当院は総合周産期母子医療センターとして産科、新生児科、小児科外来、小児科の3階フロアで密に連携を図っています。-特に新生児科では妊娠中から胎児や母体情報を元に病棟の受け入れ準備を行い、新生児科を退院した後は小児科外来や小児科病棟、地域の保健師へ情報提供を行うなど退院後の児の成長にも携わっています。

成育医療センターとしての連携の図
成育医療センターとしての連携