放射線治療科

放射線治療科部長 小久保雅樹

神戸市立医療センター中央市民病院
放射線治療科部長
小久保 雅樹

安心安全で高品質の放射線治療を提供しています。

1980年以来わが国ではがんが死亡原因の第一位となり、高齢化社会の到来とあいまってその患者数はますます増加しています。

放射線療法は手術療法、化学療法とともに癌治療の三本柱のひとつです。放射線療法は他と比較し低侵襲の特徴を持っており、以下のような大きな利点を有しています。

  1. 患部を切除しないで治療するため機能・形態の温存に優れている。
  2. 手術のできないいかなる部位でも自由に治療できる。
  3. 手術や化学療法に比べて体の負担が少なく、合併症を有する患者や高齢者にも適応できる。

放射線治療は、抗癌剤と組み合わせることによって切らずに根治治療が可能となりますし、手術と組み合わせることによって切除範囲の縮小や再発防止に大きな役割を果たします。骨転移や脳転移などの緩和ケアにおいてもQOLの維持に貢献しています。高齢や心不全などで手術ができない方や手術による合併症を望まれない方は放射線治療が非常に良い選択肢となります。近年はIT技術の発展と共に治療機器・治療技術の開発・進歩が飛躍的に進み、根治的治療では更に侵襲の少ない強度変調放射線治療や定位放射線治療といった「高精度放射線治療」が普及しつつあります。

当科では最新の高精度放射線治療装置2台を駆使し、あらゆる悪性腫瘍(固形癌、血液腫瘍、肉腫)を対象に、定位放射線治療(ピンポイント照射)、強度変調放射線治療(IMRT)、などの高精度治療から、抗癌剤を併用した化学放射線療法、一般の外照射、さらには腔内照射、組織内照射、骨転移に対するメタストロン治療まで幅広く行っています。スタッフには放射線治療専門医、がん放射線療法看護認定看護師、医学物理士を揃え、安心安全で高品質の放射線治療を提供しています。隣接する先端医療センターとは緊密に連携し、適切な治療を適切な施設で提供する体制を構築しています。

さらに、総合病院の利点をいかして、外科や腫瘍内科などの関係各科と密接に連絡をとりながら、最大の治療効果が得られるよう、放射線治療を適切な時期に適切な方法で行えるようにしています。

また放射線治療科では悪性腫瘍の他に、聴神経鞘腫のような良性腫瘍や脳動静脈奇形(AVM)、甲状腺眼症、ケロイドなどの良性疾患も扱っております。

診療内容

放射線治療は、体の外から放射線を照射する外照射と、放射線を出す線源を体の中に入れて体の中から照射する内部照射に分かれます。
放射線治療を受けられる方の多くは外照射のみを行います。ただし内部照射のみを行ったり、外照射と内部照射を組み合わせて行う方が治療効果や副作用の面から優れていることもあります。当院では外照射と内部照射を両方とも行っています。

特長

放射線治療により切らずに治す低侵襲医療を提供

長らく日本において、がんの治療といえば手術が行われてきました。しかしながら医療技術の進歩により、手術を行わなくてもがんの根治が得られるようになってきました。放射線治療科では様々な放射線治療機器や治療技術を用いることにより、患者さんに負担の少ない低侵襲医療を提供しています。負担が少ない治療ですので、高齢の方や、心不全などの併存疾患等で手術ができない方でも可能です。

豊富なスタッフによる丁寧な診療

最新の治療機器を導入するだけでは満足な放射線治療は行えません。しっかりとした診療を行うためには、治療機器はもちろんのこと、治療機器に習熟したスタッフが十分に配置されていることが重要です。当院では放射線治療医6人(放射線治療専門医3人含む)、放射線治療専任技師4人、医学物理士1人、品質管理士1人、がん放射線療法看護認定看護師1人を配置し、治療にあたっています。この他、診察室には医療クラークも配置し、きめ細やかな診療を提供しています。

他の診療科との連携によりシームレスな治療が可能

がんが小さいうちに見つけた場合、放射線治療のみでも手術に匹敵する成績が得られるようになってきています。しかしながら放射線治療期間中、予想された治療効果が出ないことがあります。そのような場合、放射線治療を中断し手術などの他の治療法に移行することが悪性腫瘍の根治に重要になってきます。またがんが進行してから見つかった場合は、放射線治療技術が発達しても放射線治療単独では治りません。このような場合、手術・抗がん剤治療・ホルモン剤治療などを加えた集学的治療が必要不可欠です。当科では他の診療科と相談の上、患者さんに最適な治療を行うよう常に心がけています。
放射線治療期間中および治療後にはさまざまな副作用が起きてくることが予想されます。治療とは全く関係ない病気が偶発的に出現することもあります。ほとんどの症状は放射線治療医により対応が可能ですが、中には他の専門医の診察が必要になることもあります。当院は総合病院ですので、いち早く専門医に紹介し診察を受けていただくことが可能です。救命救急センターも備えていますので、365日24時間対応が可能です。
がん年齢の方は、がん以外にも様々な病気を有していることが多いですが、当院では放射線治療を受けつつ、他の病気の治療を行うことも可能です。

先端医療センターと連携

当院の南隣には先端医療センターがあります。先端医療センターには世界初の動体追尾照射が可能な三菱重工業社製高精度放射線治療装置 Vero4DRT (MHI-TM2000)が備えられています。先端医療センター放射線治療科は当院放射線治療科とは密接に連携しており、先端医療センターで放射線治療を受ける方が良いと判断した際には、先端医療センターで放射線治療を受けていただきます。当院放射線治療科の医師は全員先端医療センターと兼務し、また放射線治療用カルテ(Mosaiq)も同じサーバーを利用しているため、情報が共有されており安心です。なお放射線治療用カルテの共有に関しては、神戸市個人情報保護審議会で審議され、承認されております。